第48話 マホの友達が遊びに来たな件
サブタイの友達はペンヨウと読みます。
「力男、遊びに来たセイ!」
「夏なのに元気だなペンヨウ」
夏休みに入り、家で暇しているとペンヨウが自室の窓を外から叩いてきた。また空を飛んで俺の所にまで来たのだろうと辺りを付けて、俺は俺は窓を開けて自室へペンヨウを中へ招き入れた。
ペンヨウがマホ達から離れようとした一件以来、ペンヨウは俺に懐いたのか。それとも単に一緒に遊びたいだけなのか。定期的に俺の家に来るようになった。
いやさ、別れる前に「何かあれば相談しろ。話ぐらいは聞く」と言ったよ。言ったけど、来る用件がしょうもないのはどうにかしろ。
一々「マホと勇子は怖がりセイ。克服させる方法を聞きたいセイ」とか「最近見たアニメ面白かったセイ。力男の感想を聞きたいセイ」とか言われても知らねぇよ。お前単に適当な口実つけて俺の家に来たいだけだろ。
あまり外を彷徨かれると、第三者に姿を見られる可能性があるって言うのに。まぁペンヨウもペンヨウで、姿を隠し続ける生活にストレスが溜まってるんだろうな。ここは何も言わずに受け入れるか。
「ペンヨウ、今回もマホ達に黙ってきたのか?」
「黙ってないセイ。ちゃんと遊びに行くって伝えたセイ!」
「おうそうか。で、遊びに行く場所については?」
「きょ、今日は一段と暑いセイね~」
それで騙せる訳ねぇだろ。
俺は2階の自室から一階のリビングへと移動しながら、マホ達に俺の家に来る事を伝えたか確認したが、ペンヨウは下手な嘘で俺を誤魔化そうとした。
元敵幹部のアクロコ匿ってたり、ペンヨウの存在を認知してるって言う特大の地雷抱えてるから、黙ってくれてた方が正直助かるけどさ……マホ達心配するぞ。
俺達が1階のリビングへ行くと、そこには俺達の存在が気になったのか、ゲームをポーズ画面で止めて此方に振り向くアクロコが居た。
静かにゲームしてるアクロコをを見てると、敵幹部としての面影何処にも残ってないように思える。この世界の平和な生活に順応してきている証拠なのだが、お前初めて会った時の悪役らしさ何処行ったよ、完全に毒気抜かれてるじゃねぇか。
「ワーニャッニャッ! またやってきたワニか!」
「アクロコ……!」
「妖精ごときがワニャワに勝つなんて100年早いワニ!」
アクロコは一緒にリビングに来たペンヨウへと視線を向けると、高笑いしながらペンヨウを挑発した。ペンヨウはその挑発に乗るかのようにアクロコへと近付き、
「今日こそはレースで勝利を勝ち取るセイ!」
「いや、まずは勝つ負けに拘るより先にコースアウトしないよう練習しろワニ」
ゲームのコントローラーを握った。
俺の家に遊びに来る、つまりはその度にアクロコと顔を合わせていたペンヨウ。事あるごとに喧嘩をしていたが、ヒートアップして暴れられても困るので俺がゲームで決着つけろと言って勝負。
モノの見事に完敗したペンヨウだが、その時にゲームに楽しさを見出だしたのかアクロコと口では喧嘩しつつも、2匹並んでゲームをするようになったのだ。なお、プレイするゲームは対戦用に限る。仲が良いのか悪いのやら……
「お前らアイス食うか?」
「「食べるセイ!」」
やっぱお前ら仲良いだろ。
俺は2匹が一緒に盛り上がりながら、カートを選択するする光景に微笑みながら、2匹にアイスを渡すのであった。え、なに。2人ともスイカ味食べたいの? これ1つしか無いんだけど……ちょっ、おい喧嘩するな! 喧嘩するんだったらアイス抜きにするぞ!
「くっ、中々やるセイね」
「コースアウトして勝手に最下位になった奴が何か言ってるワニ」
途中で俺も混じり、1人と2匹でレースゲームで勝負をしていた。
ペンヨウよ。いかにも接戦した雰囲気出してるけど、お前がしたのは何度も壁にダイレクトアタックしたり、加速アイテム使う度に敵巻き込んで一緒に奈落に落ちただけだ。
「別のゲームに変えるか」
俺とアクロコ、ペンヨウとの間での力量差がありすぎてちょっとペンヨウに勝ち目が無さすぎる。平等とまではいかないまでも、もう少し力量差を埋められるゲームがあれば良いんだが……ペンヨウにやりたいゲーム選んでもらうか。
「このゲームで勝負したいセイ!」
「それは1人用のゲームワニ」
ペンヨウは都市開発系のゲームを選んだ。
悪いなペンヨウ、そのゲームは1人用なんだ。あとそのゲーム意外にも人がバンバン死ぬヤツだから。唐突に工場爆発して周りに住む住民消し飛ばしたり、隕石落ちてきて街壊滅ENDがあるゲームだから。
前にアクロコがどうしてもやりたいって言ってプレイさせたら、人が1人死ぬ度に「う、嘘ワニよね」と意外にも精神的ダメージを受けていた。悪役とは言え倫理観がちゃんとあるアクロコでさえこれなのだから、ペンヨウがプレイしたら一生立ち直れないと思う。
「え? じゃ、じゃあ此方で勝負セイ!」
「それは協力するゲームワニ」
ペンヨウはゾンビを撃ち倒す系のゲームを選んだ。
悪いなペンヨウ、そのゲームは協力ゲーなんだ。一応言うとそのゲームを人が死ぬ。正確には、元人間のソンビを撃ち抜く。
一応フレンドリーファイア機能があるんだが、それ教えるとゲームが進まなくなるから秘密だ。どうせコイツらの事だから、ゲーム始まった瞬間にゾンビ無視して味方撃つだろうな。
それにしても、ピンポイントで人が死ぬ系のゲーム選びすぎだろ。対人じゃなくても、島開拓系や横スクロールアクションとかあるのに。ついでにクソゲーもある。
「力男、何か対戦出来るゲーム無いセイか?」
「ならこれはどうだ? 相手を崖から落とすか画面外に吹っ飛ばしたら勝つゲーム」
前にアクロコとランと一緒にやったゲームだ。チーム戦で強いNPCをペンヨウの仲間に入れたり、NPC含めて8人ぐらいで遊べば力量差誤魔化せるだろ。
「それにするセイ。アクロコ、今度こそは負けないセイよ!」
「ワニャアの実力に震えるがいいワニ!」
\ピンポーン/
「ん、誰だ?」
いざ俺達がゲームをしようとした時、自宅のインターホンが鳴った。宅配を頼んだ覚えは無いし、俺の家を知ってる奴と言えば俺の両親かランの二択だ。
両親なら帰ってくる時に連絡の1つは入れてくるし、ランなら外から大声で叫ぶだろう。インターホン使えよと突っ込みたいが……そこはまぁ、ランだからなぁ。
他の候補とすればガク先輩になるが、俺はあの人には連絡先しか教えていない。最初は教えるのを渋っていたが、夏休み直前にガク先輩に「夏休みの間は顔を合わせられない。万が一の事態に遭遇して、助けを求められないと困るだろう?」と言われて、仕方なく連絡先を交換したのだ。
「お前らは一応ここで待っててくれ。玄関を覗きに来るなよ、絶対だぞ?」
「分かってるセイよ。これは『フリ』セイね!」
「焼き鳥にするぞこの野郎」
お前の為に言ってるんだけど?
可能性としては低いが、ペンヨウを捕まえにワルインダーがこの家にやってきたかもしれないのだ。まぁただの考えすぎで、近所の人が回覧板を届けに来ただけかもしれないが……誰かにせよ、ペンヨウとアクロコの姿を見られるのはマズいだろう。
「ペンヨウは野郎じゃなくて女の子セイよ」
「え、そうなの? それは悪かった……じゃねぇよ。本当に顔出すなよ、見つかったら研究機関に送られて解剖されると思っとけ」
妖精に性別の概念があったことに驚きながらも、俺は2匹に脅しをかけてリビングから出ないようにさせた。カーテンと窓は閉めてるし、家の構造的に玄関からどう頑張ってもリビングは見えないからな。2匹がリビングから出なければなんとでもなる。
「ったく、本当に誰だ?」
俺は廊下に出て、玄関から少し距離を取りながら透視を使う。玄関に覗き穴はあるが、透視の方が扉の外に居る相手の全身が見えるから此方の方が便利である。
「え、なんで?」
俺は思わず疑問の声を洩らす。
透視を使った先━━━玄関前に居たのは、マホ達魔法少女であった。4人して何か喋っているようだが、透視しか使っていない今の俺にその内容は分からない。
俺アイツらに家の場所を教えた覚え無いんだけどなぁ。情報源と言えばランとペンヨウの2択だが、勝手に人の個人情報を喋る真似は2人ともしないだろう。
常時行動が予測出来ないランだが、誰かに迷惑を掛けるような非常識な行動はしない。仮にランが個人情報をベラベラ喋るようなを性格をしていたら、とっくのとうにマホやリュウにアクロコを匿っている事がバレているだろう。
ペンヨウに関してはそもそも除外だ。住所なんて把握してないだろうし、嘘が下手なあまり口が滑ったとしても「力男の家に遊びに行ってるセイ」程度だろう。空飛んで道全部ショートカットして時点で、俺の家までの道なんて説明出来ないだろ。
玄関に1番近い位置に居るマホにテレパシー使って、ここに来た理由を探ってみるか。千里眼+念聴でも良いのだが、わざわざ口に出してここに来た理由を語るようなマネはしないだろうという考えの元である。
❴(ペンヨウはこの家に入ったと、尾行していたライヨウ達が話していました。ペンヨウ、私達に黙って何をしているんですか?)❵
「あー……うん。なるほどなぁ」
アイツ何やってるの?
ねぇ、思いっきり身内にバレてるんだけど。なんなら尾行されてたんだけど?
てかよく考えたらマホがペンヨウの行動を怪しむのは当然か。マホは一度ペンヨウが側から離れたトラウマがあるだろうし、肝心のペンヨウは場所も理由も言わず1匹で外に遊びに言ってるし。
妖精と言うこの世界には存在しない貴重な生物なのに加えて、ワルインダーと言う敵も居る。そら心配になるような。
俺は透視とテレパシーを使うのを止めて、千里眼と念聴に切り替える。その標的は当然、マホ達である。
玄関を吹き飛ばす。なんて野蛮な事はマホ達の性格から考えてしないだろうが……玄関開けた瞬間に攻撃されないか聞かれたら、無いとは言い切れない。
マホ達からすれば、この家はペンヨウが自ら入ってきて姿を最後に見た場所である。もしワルインダーの秘密基地と勘違いしていれば、扉を開けた瞬間に先手必勝と称して攻撃の1つや2つ、ぶつけてきても不思議ではない。
『チャイムを鳴らして良かったのかしら?』
『人の家に勝手に入るのは駄目だからね!』
『その通りだけど、堂々と正面から行くのね。何が待ち構えてるか分からないのに』
『何があろうとも、私達はペンヨウを助ける。それだけです!』
『あれ、表札に書いてあるこの名字ってもしかして』
うん、ごめん。凄い気合い入れてるけど、この家は俺の自宅なんだ。そんな構える必要無いし、ペンヨウはゲームしてるだけなんだ。
「人の家の前で何話してんだ」
「力男さん!?」
「力男くん!?」
「力男!?」
「あっ、やっぱり力男くんの家だったんだ」
俺が玄関を開けると共に、3人が驚きの声をあげる。
咲黄だけは俺が玄関を開ける直前に表札を見て、誰の家か予想がついていたようで、やっぱりと言う顔をしていた。
「気付いてるなら早く言いなさいよ咲黄!」
「今さっき気付いたんだよ。それをみんなに言おうとしたら、丁度力男くんが出てきて」
「何か用か?」
「え、えっと。それはですね……」
❴(ど、どうしましょう。ペンヨウの事を直接聞けないですし、かと言ってどう誤魔化せば)❵
そらそういう反応になるよな。
マホ達からすれば、誰にも言えない秘密を抱えてると思ったペンヨウが、同級生の家へとお邪魔していたのだ。困惑して当然である。
そしてマホ達の視点の俺は、家の場所を教えたことの無い同級生が、何故か自宅にゾロゾロと来た図となっている。しかも魔法少女の事もペンヨウの事も一切話していない。
秘密を話す訳にはいかない。かと言って、ここでペンヨウの姿を見たのは事実。秘密を隠しつつ、ペンヨウについて切り出す方法を悩むだろう。
そうして硬直状態が続くと思われた矢先、咲黄のカバンがガサゴソと動き始め、そこから動くフクロウのぬいぐるみが飛び出してきた。
「ペンヨウがこの家に入るのをしっかりと見たフク。早くペンヨウを返すフク! 返さないと、この妖精国の王様フクヨウが相手になるフク!」
「「「「わあああああああ!」」」」
咲黄が夢で妖精を見たと言う話を聞いただけで姿を見たことはなかったが、咲黄が連れている点、容姿がフクロウに似ている点、語尾の「フク」をつけてる点から考えるに、コイツがフクヨウなのだろう。
フクヨウは飛び出すや否や、俺に突っ掛かってきたが4人が同時に騒いで俺にフクヨウの姿を見えないように隠す。
「え、えっと……あはは。福が、福が訪れてほしいですフク~。なんちゃって」
「それで騙せる訳ねぇだろ」
ペンヨウが自宅に来るのを見られてしまい、俺もフクヨウの存在を見てしまった。俺としても、マホ達としてもこれ以上魔法少女について誤魔化すのは難しいだろう。
ここで俺がフクヨウを見たのを黙っておくと言うのは簡単だ。だが、それではマホ達の問題が解決しない。元々マホ達は理由も告げずに消えるペンヨウを追って、ここまで来たのだ。
ペンヨウについて知らないフリをするのは難しいだろうし、もししらばっくれたら俺の家にペンヨウが入ったのを知っているマホ達は「力男はペンヨウの事を隠している」と無駄な警戒をさせてしまうだろう。
俺としても、マホ達としても秘密を隠し通すのはここが限界だ。お互いが秘密を知っているのにこれ以上無駄に隠そうとしたら、酷い結果になるのは目に見えてる。
「取り敢えず、暑いだろうから家に入れ」
あーもう、滅茶苦茶だよ。
今まで気遣いが全て水の泡になった疲労感によって、発生している頭痛を押さえながら、俺はマホ達を自宅へと招待するのであった。
魔法少女のターンと言ったな? あれは嘘だ
と言う冗談は置いといて、第四章は本当に魔法少女達の話が中心になります。それはそれとして、力男の出番は一応ある。
Q.タグの「性格の濃い一般人」について一言
A.ふむ。私は一般人の部類ではあるが、部長くんや本編ではまだ面識の無いランくんのように、性格が濃い訳ではない。賢い程度ではこの作品では埋もれてしまうだろう。イメージチェンジを図るべきか……?
あんたもこのタグに入ってるんだよガク先輩。一度自分の行動を見返してこい、充分癖強いよ。




