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俺のクラスメイトが魔法少女な件  作者: のろとり
~第3章~俺の学校生活が喧しすぎるで章
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第45話 俺の先輩が元凶な件

「すまないね、脅かすつもりは無かったのだが」


「誰だってアレ見たら驚くが?」


「咲黄くんは驚いていなかったではないか」


 人体模型を見て悲鳴をあげた俺と緑。俺が懐中電灯を天井、つまりは人体模型に向けてライトを当ててしまって怖さが倍増したのもあってか、緑は恐怖のあまり気絶してしまった。


 探索自体は終えているから、気絶している緑を引き摺ってでも帰ることは出来はする……が、夜中に無断で家を抜け出しているのだ。誰かに気絶している緑を託して緑の家族に引き取ってもらう、なんて事をしたら家を抜け出したのが一発でバレるだろう。


 そのためマホ達と合流するのは、気絶した緑が目覚めてからにしよう。でも気絶した緑を何処かで安静にさせたい、じゃあ良い場所は何処かと咲黄と話していると、ガク先輩が部室へ来るよう提案してきた。


 誰のせいだよと言いたかったが、ガク先輩も脅かせるつもりは無かったのだろう。多分、きっと、恐らく。そして俺達はガク先輩の提案に乗り、科学部の部室で緑が目を覚ますまで一時的な休憩をとることにした。


「私は人が突然現れるのに慣れてるからね」


「どんな体験したらそうなる」


「私が小さい頃、怪我しそうになるといつも、何処からともなくお兄ちゃんが現れて助けてくれたんだ。最初は驚いたけど、そんな事が続く内にいつしか慣れちゃって」


 もしかして部長って、スで始まってカーで終わる系の危ない人? 咲黄も咲黄でブラコンだが、部長も大概シスコンだな。


「部長くんは君の事が大切なのだろうな。あぁ、緑くんはそこに寝かしといてくれたまえ」


 咲黄の惚気話を軽く流し、ガク先輩は気絶している緑をここまで運んでくれた人体模型に指示を出し、ソファへと優しく置かせた。


 部室にソファがある部分も突っ込みたいが、それより先に人体模型だ。お前意志疎通出来るんだな、しかも雑に投げ捨てるとかじゃなくて優しく寝かせるとか紳士かよ。


「ここまで運んでもらって悪いな。えっと、人体模型って呼べば良いのか?」


「好きに呼びたまえ。一応、ちゃんとした名前はあるにはあるのだが」


「じゃ、じゃあ教えてもらえないかな?」


「秘密さ。そんなに気になるなら私の心でも読みたまえ。ま、一般人には不可能な話だがね」


 秘密って言われたら気になるじゃねぇかよ。

 正直に言うと、ムキになるほど名前が気になるか聞かれたら、答えはノーである。でもなぁ、そこまで言われたら気になるよなぁ! ほれ、テレパシーで名前を読み取ってやるよ!


❴(読んだところで答えるとは言っていないがね)❵


 キレそう。

 煽りか? 超能力に対する新手の煽りか? しかもこの人、俺がテレパシー使うこと読んでてこんな事考えてただろ。超能力使ったのに頭で上回られるのは中々に腹立たしいな。


❴(力男くん、もし私の心を読んでいるのなら3回瞬きをしてくれないかい?)❵


 俺はガク先輩に対して怒りの感情を抱いていたが、唐突な謎の注文によって、その怒りは沈静していった。


 わざわざテレパシー前提の話をしてくるって事は、さっきの言葉はあえて俺がテレパシー使うよう誘い込むための罠か。やっぱこの人一般人の枠組みに入らないだろ、頭脳だけで超能力相手に優位に立ってるんだけど?


 何回も瞬きする姿を見られるのは咲黄に不審がられるだろうと、俺は咲黄の後ろ───死角に入って咲黄に見られないよう───に立って、ガク先輩へ向かって瞬きを3回した。


❴(ふむ。ちゃんと伝わっているようだ、悪いがそのままテレパシーの使用してくれたまえ。咲黄くんや君が色々と事情を隠してる手前、正面から堂々と魔法少女や超能力の話は出来ないのでね)❵


「ところで力男くん、咲黄くん。どうして人体模型が動いてるか気にならないかね?」


「いや別に」


「少し気になる、かな?」


「おお、そうかそうか。二人とも気になるか」


 研究のしすぎで耳腐った?

 ガク先輩に文句の一つでもぶつけたいが、わざわざテレパシーを使うよう伝えてきたって事は、何かしら重要な話があるのだろう。はぁ……文句を言うのは話が終わってからにするか。


「実は最近、私は元気パワーなるエネルギーを見付けてね」


「元気パワー?」


 俺はすっとぼけた様子でガク先輩へと聞き返す。

 一応ワルインダーが何故か集めてる謎エネルギーなのは知っているが、それはアクロコ経由での情報だ。アクロコについてはガク先輩にも、咲黄達魔法少女にも伝えていない。ここで知ってる前提の話をすると、咲黄に怪しまれて、ガク先輩に詰められるだろうな。


「詳しいことはまだ分からないが、生物非生物関係無く持っているエネルギーのようでね。どうやらこの惑星(地球)自身も持っているようだ」


❴(そしてワルインダーなる組織が集めているエネルギーであり、魂だけとなった妖精の形や魔法少女の変身を保つためにも必要なモノのようだね)❵


 なにそれ初耳。

 この世界独自のエネルギーなのかもしれないけど、元気パワーってわりとそこら辺にあるんだ。生命力の類いなのか? つーか魔法少女の変身にも必要って事は、逆に言えばその元気パワーが無くなれば変身出来なくなるのか。


「私はそのエネルギーに目を付けて、人体模型を動かそうと思ったのさ」


「前半と後半の話が繋がらないんだけど?」


 おい待てガク先輩。

 生物非生物問わず持ってるエネルギーなのは理解した、魔法少女や妖精に重要なモノなのも理解した。


 けどそのエネルギー使って人体模型動かすってなに? 前半と後半の文脈がおかしいんだけど、ガク先輩ちゃんと国語の授業出てる? それかこの場に時間を消し飛ばすス〇ンド使い居る?


「えっと、その元気パワーがあればなんでも出来るの?」


「なんでもは出来ないさ。実際、この人体模型も幽霊にエネルギーを与えた結果の副産物さ」


「何言ってんだこの人」


❴(新聞部によって掲載された咲黄くんの写真を部長くんと誤魔化した対価として、妖精の身体を調べる権利と、マホくん達に浄化技を撃ってもらった元気パワーを回収した甲斐があったってものさ)❵


 この世には「何を考えてるか分からない」って言葉が存在する。逆に言えば、考える事さえ分かればその人物を知れるのだ。だが世の中には例外がある、それがガク先輩だ。


 テレパシーで考え読んでるのに理解が追い付かないんだけど。えっと、つまりはあの人体模型は元は幽霊で、部長のフリフリ衣装はガク先輩が一枚噛んでいて、マホ達を助けた対価として変な事を要求したって話で良いのか?


「幽霊にエネルギーを与えたって、いったいどういう……?」


「おっと、私としたことが説明が足りなかったね。幽霊、正確には意識だけとなり宙を漂っている魂に元気パワーを与えることで、意志疎通が出来るようにしたのさ。尤も、今はまだ喋るも実体化する事も不可能で実質的に意志疎通は厳しい、だから仮の肉体を与えてジェスチャーだけでもと思って、人体模型に入ってもらっているのさ」


「「…………?」」


 なるほど分からん。

 幽霊、いや魂に元気パワーを与えて意志疎通? 実体化? 仮の肉体? あれおかしいな。俺らは人体模型が動く理由を聞いてた筈なのに、いつからオカルト話にすり替わったんだ?


❴(ペンヨウくん達以外の妖精は魂だけとなっている。しかし何かに呼び寄せられるようにこの世界へとやって来て、実体化して身体を得た。私の用意した魂が完全に実体化に成功しないのは、恐らくだがエネルギーが足りない、もしくは別の「何か」が欠けているのだろう。後者は兎も角として前者は地球と言う膨大なエネルギーが眠っている場所から吸収すれば簡単に溜まるだろうが、問題としてはどうやって回収するかだ。それに、万が一吸収量を誤れば地球は───)❵


「ガク先輩、話は終わったか?」


 俺はパンクしそうな頭を抱えながら、ガク先輩の話を終わらせようとした。

 ガク先輩の話がややこしすぎる。もっと分かりやすく説明してくれ……ほら見ろ、咲黄なんか情報が処理仕切れなくて頭から煙噴いてるぞ!

 あの成績優秀で常に学年トップの咲黄でも処理出来てないんだ、俺も分かるわけねぇだろ!


 つーかガク先輩頭脳どうなってんだよ。年上で知識豊富な部分で地頭に+αされてるとしても、学生トップの俺や咲黄が付いていけてない時点で他の奴らも無理だろ。ガク先輩の頭脳と同等、もしくは勝てる奴が居たら見てみたいモノだ。


「あぁ、すまないね。少し思考の海に浸かってしまっていた。夜の学校に実験を繰り返していく内に、昼夜逆転して夜の方が頭が冴えるようになってしまってね。今日もそのせいで、起きたら登校時間を過ぎてしまっていて、そのまま家で過ごしていたさ」


 今日休みだった理由それかよ。

 しかもこの人、昼夜逆転するほど何回も学校に忍び込んでる常習犯なんだけど。研究に力入れるより先に、学生として学校に来てくれ。


「駄目だよガク先輩。ちゃんと生活リズムを整えないと」


「善処しよう」


「そろそろ良いか? マホ達も探索終えてるだろうから、合流しておきたい」


「おっと、マホくん達も学校来ていたのか」


「怪談の正体を調べるためにな。まぁ何も無かったと伝えておく」


 どうせマホ達の方も何も無いだろうし、俺達の方も何も無いと分かれば三人とも、噂は噂だったと信じて怪談なんて忘れるだろうからな。


 それに、ガク先輩の研究は邪魔しない方が良さそうだ。行動については理解出来ないが、わざわざマホ達をや妖精の名前を出していた。何かマホ達(魔法少女)にとって重要な研究でもしてるんだろうな。


「それは助かる。この実験を誰かに見られるのは避けたいからね」


「へいへい。おい緑、起きれるか?」


 俺は部室を出ようと、ソファの上で気絶している緑の頬をつついて、意識があるかを確認する。

 本当は頬を叩いて確認する場面なのだろうが、目を覚ます為とはいえ、女の子の頬を叩くのはちょっとな。


「う、うぅん。ここは」


「科学部の部室だよ。緑ちゃん、気絶しちゃってたんだよ」


「そうなのね。あれ、でもなんで気絶してたのかしら」


 緑は意識を取り戻したが、驚いたショックか直前の記憶は失っているようだった。世の中知らない方が良いことがあると言うが、気絶した理由はさすがに教えておくか。この気絶が原因でまた変な(怪談)が立つと面倒だし。


「説明は道中でするから、今はマホ達と合流するぞ」


「わ、分かったわ」


 集合場所の下駄箱へ向かうまでに、俺と咲黄は緑に動く人体模型に驚いて気絶した事、怪談の元凶は全てガク先輩である事、元気パワーとやらで人体模型を動かしていた事を話した。


 緑が「ガク先輩許さない」と密かに怒りを抱いた頃、俺達は下駄箱でマホ達とランと合流し、無事帰宅するのであった。


 俺達は何も無かったけど、お前らの方はどうだった? え、なに。幽霊と競争して勝った? ランが幽霊連れてきた? 3人でその幽霊から逃げた? あー、うんうん。凄い、凄いねー。

※補足

もしこの話を読んで「ガク先輩が何言ってるか分からない」と思った人へ。前提知識が足りない状態での説明を意識してるので、それが仕様です。


 例え話をすると、ドラゴンボール知らない人に「ドラゴンボールには『陰湿なブロリー、地球で復活したブロリー、ドロドロなブロリー、女版ブロリー、優しいブロリー』が居るけど、ブロリーは合計で何人居る?」と聞くようなモノです。


 主人公達の理解出来ないって反応してるのも、前提知識が無いからと言うのもありますが、読者にも「この説明だと理解難しいよ!」ってアピールするためです。

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