第43話 俺の学校が怪談で持ちきりな件
ここで一つ裏話。
前回と前々回はハーメルンで毎日投稿していた時にライブ感で唐突に追加した話なので、実際の投稿順と執筆順が違います。
書いた順番としては40話→43話→44話→41話→42話になります。
ライブ感で書いた結果、部長の株が急上昇するって誰が予想したよ……。
「「ガタガタガタガタ」」
「おはよ~ってあれ、なんでお前ら震えてるんだ」
学校へ登校してくると、リュウがマホと勇子に何か話しており、その話を聞いていたのであろう2人が、互いに抱き合って身体をガタガタと震わせていた。
今は7月の中旬で天気は晴れだ。気温が異様に低い訳ではないし、むしろ外に居るだけで自然と汗をかくほどに暑い。かと言って冷房によって教室が凍える程寒いわけでも無い。
リュウから変な話でも聞いたのか? 2人が魔法少女なのを知ってるとか、妖精を連れ歩いてるのを見たとか。でもなぁ、2人の様子を見るに焦りで震えていると言うより、怖くて震えてるように見えるんだよな。
「力男知らないか? 最近噂になった怪談で、クラス中持ちきりだぞ」
「その怪談ってアレか? 今のお前みたいに地面から人が飛び出てくる話か?」
俺が考えを巡らせていると、ランが床下から登場してきた。
おま……窓や天井から出てくるのすら飽きて、とうとう床下から出てくるよう担ったか。てかこの下は2年生の教室だろ、お前どうやって出てきたの? 下半身だけ2年生の教室の天井に置いてきたの?
それにしてと怪談、ねぇ。最近の噂ってことは、定番の「こっくりさん」や「トイレの花子さん」とは違うんだろうな。つーかこの学校に怪談があるなんて初めて聞いた。
「先ほどマホさんと勇子さんにも話していたのですガ、、夜中に人体模型が動きだしたリ、誰も居ない教室から話し声がするって話ですネ。噂では幽霊の仕業なんだとカ」
何故だろう、俺は人体模型を動かしそうな人物に心当たりがある。もしかしてだけど、その人体模型の近くに、常識を覆す研究をしていて、自力で魔法少女の正体がマホ達だと調べあげた科学部の3年生が居たりする?
普通なら「怪しいってだけで犯人扱いするな!」と庇う場面なんだろうが、あの人なら「人体模型が動くのは作り話? ふっ、なら私がその常識を覆そうじゃないか」って言いそうなんだよなぁ。
ガク先輩なら深夜の学校に居ても違和感無いし、研究するために無断で学校に忍び込んでそう。あぁ、考えれば考えるほど、ガク先輩が犯人な気がしてきた。
あとでガク先輩に話を聞くとするか。それにしても、さっきから気になってたんだが……
「なぁリュウ。お前なんか震えてね?」
「ききキ、気のせいではないですかネ。僕は別にマホさんと勇子さんに怪談の話をしたの二、自分自身もビビったりした訳ではないですヨ」
「うん。全部言ってるな」
お前も幽霊怖いのかよ。
リュウが何処から噂を聞いたか知らないが、どうせ「魔法少女をビビらせてやりますヨ!」とでも考えたんだろうな。結局は三人揃ってガタガタ震えることになったが。
「力男、今日の夜中だが」
「却下」
「まだ何も言ってないんだけど」
「もう何言おうとしてるのか予想つくんだよ」
俺はランが何か言う前に却下した。
ランの事だから、怪談の正体を調べるために夜中の学校に忍び込むって言いたいんだろ? 嫌だよ、嫌に決まってんだろ。先生に見つかったら大目玉だわ。
そもそもガク先輩が関わってる可能性がある時点で俺は近付きたくない。一緒にゲームした翌日にガク先輩自身が話してたが、魔法少女について知ったのは自ら事件に巻き込まれに行ったのが理由だとか。あの人何故か一般人を自称してるけど、普通の一般人は事件に巻き込まれようとしないんだよ。
「オレは原因を調べたいんだよ~」
「1人で勝手にしてろって言いたいが……ランがそこまで言うなんて珍しいな。何かあったのか?」
ランがここまで原因究明に拘るなんて珍しいな。いつもなら幽霊なんて信じないで、むしろ自分の方が速いから幽霊より強いって言いそうなモノだが。
ランは別に幽霊に怯えるような性格じゃないだろうし、むしろ幽霊からアイツの方が幽霊だろ認定されてそう。そんなランがここまで言うなんて、まさか変なモノでも食べたか!?
「実は……部長が幽霊怖いって、常に大量のお守りを持ち歩くようになったんだ」
「いや知らねぇよ、坊さんでも呼んでこい」
行動理由あの人かよ!?
俺の周りに幽霊怖い奴多いと思ってたけど、一番の怖がりあの人かよ!? 何してんだよ部長、もしかしてアレか。さっき校門で先生が荷物検査してる時に、大量のお守り持ってたけど、あれ部長が原因かよ!
「部活中に聖書読んで木魚鳴らしながら走るし、取り憑かれたくないからって死角を無くすため常時回転し続けてるんだよ!」
「怪談より怪談してるんだが?」
そんな奴見たら幽霊でも裸足で逃げ出すわ!
何も知らない相手から見れば、光速で走る部長が常時回転し続けながら、聖書読む声と木魚を叩く音が一瞬にして通りすぎてるのか。しかも速すぎて通りすぎた相手が部長かどうかも認識出来ない。部長は新しく怪談でも作る気かよ……。
「兎に角オレは今日、夜中の学校に忍び込んで原因を調べる! そのために協力してくれ!」
「協力って……何をすれば良いんだよ」
「一緒に学校に忍び込んでくれ。そして幽霊を見付けたらオレの名前を呼んでくれ、オレの方が速いってことを証明する!」
「うん、ごめん。話が全く見えないんだが」
怪談が噂として流れるように原因を調べたいのは分かる、発生時間的に深夜の学校に忍び込むのもまぁ分かる、ただし幽霊と競う意味が全く理解出来ない。
もしかしてお前の前世、戦闘民族だったりする? 現世だと張り合える相手が部長しか居ないから、とうとう死人にまで勝負仕掛けるようになったの?
「オレより脚が速い部長は今幽霊を怖がっている。だが、オレと幽霊が競争してオレが勝ったら部長が勝ったのと同じ。つまりは部長は幽霊より強いと証明されて、怖がることはないって話だ!」
「オーケー、何一つ理解出来ない」
俺にはランの理論が理解出来ない。悪いが翻訳を呼んでくれ……え、居ない? じゃあ理解するの諦めるか。わー、今日も空は綺麗だなぁ。あの雲メロンパンに似てるね、なんだかお腹空いてきちゃったなアハハ~
さて、現実逃避は止めるとしよう。
年齢や性別も関係あるんだろうが、あの人ランより速かったんだな……それ以外があまりにもポンコツすぎるけど。具体的に言うと、勉強出来なくて咲黄に泣きついたり、幽霊怖くて奇行に走ったり、何故かフリフリの衣裳で街に繰り出したり。
正直、俺としては学校に忍び込むのはあまり進まない。進まないが、ここでランを1人にすると何をするか分からないのが怖い。翌日には今までの怪談が全て消えて新しく、校舎中を爆走する謎の女子生徒って怪談が出来上がりそうで不安だ。
「はぁ……分かった分かった、俺も一緒に行く」
「おし! それじゃあ時間は」
「待ってくださイ。学校に忍び込むなんて校則違反ですヨ」
え、お前がそれ言うの?
本来なら止める方が正しいし、俺たちがしようとしてるのが悪い事なのは分かってるけど、お前にそれ言われると罪悪感が凄いんだが。
「リュウよ、こんな言葉を知っているか? 赤信号、みんなで渡れば怖くない。つまり集団で幽霊に挑めば怖くなくなるんだ!」
「それは本当ですカ!?」
「おい待て言いくるめられるな」
リュウは一度人を疑うことを覚えろ。
ほら、思い出せ。リュウはどうしてこの学校に来た、マホ達を倒すためだろ? 今のお前は端から見れば学校生活をエンジョイしてる学生だから、使命も何もかも忘れた子どもになってるから……なんで俺はリュウを説得してるんだろ。
しかしそんな俺の思いは届かず───いや、本来なら届かない方が良いのか───リュウはランの言いくるめられた。これでメンバーは幽霊に会ったら暴走しそうなラン、一応は敵だから背後任せるのが怖いリュウ、そして俺の三人か。
不安しか無いパーティーだ。怪談の正体はガク先輩で特に何もありませんでした~が一番平和だが、リュウが一緒に居るのは怖いな。リュウが悪事を企んだ時に抵抗出来る人物が居ない……よし、マホと勇子も誘うか。
「マホと勇子も一緒に来るか?」
「よ、夜中に出歩くのはちょっと止めておきます」
「わ、私も止めておこうかな~」
まぁそうだろうな。最初から行く気のランと、簡単に言いくるめられたリュウは兎も角として、この2人はわざわざ深夜の学校に忍び込む理由が無いのだから。
「来る来ないは自由だし、夜中に出歩くのは危ないが……お前ら、ちゃんと寝れるか?」
「「!?」」
理由が無いなら作れば良い、実に簡単な話だ。とは言っても幽霊を怖がっている2人だからこそ通じる作戦だけどな、もしこれが幽霊が平気なランだったら「朝と昼と夜しか寝れない」って返してきただろう。
「ねねねね、寝れますよ! 別に話を聞いてから怖くて、今日は勇子ちゃんに抱きついて寝ようとか考えてないですから! だだだ大丈夫ですよ、1人で寝れますから!」
「え、私今日1人で寝なくちゃいけないの!?」
「幽霊を退治、もしくは噂の原因を突き止めれば怯える必要は無くなるが、まぁその状態だと無理そうだな。家で休んどけ」
「確かに退治出来ればッ! いやでもしかし」
「自分自身の目で退治したのを見れば、安心して眠れるだろうけどなぁ~。3人だけだとちゃんと退治出来るか不安だなぁ~」
「なら…………い、行きます。私も一緒に連れてってください!」
その言葉を待っていた!
俺の挑発、もとい作戦は無事成功したようで、マホは身体を震わせながらも、深夜の学校に忍び込むことを決意した。あとは勇子だが、マホも決意したなら勇子も付いてくるだろうな。
仮に付いてこなかった場合、勇子は1人で寝ないといけないからな……前に勇子の家を透視した時もそうだったが、お前らいつも一緒に寝てるのか。親友なんかが良い表せないぐらい仲良くなってるんだな。
「幽霊だかなんだか分かりませんが、私にかかれば簡単に倒せますよ! えぇ、私の全てを掛けてでも解決しようじゃありませんか!」
「誰もそこまで求めてねぇよ」
「ちょっと待ってよマホちゃん! じゃ、じゃあ私は今日1人で寝ないといけないの?」
「すみませんが、私には幽霊を消滅させる使命があるので」
「おーい、なんか物騒な言い方になってるぞー」
元々は原因究明だったのに、いつから俺たちの目的は幽霊の消滅になったんだ? そもそも幽霊が噂の原因かはまだ判明してないし。
「なら私も行く! マホちゃん怖がりだから、私が着いていないとね! あと1人で寝れないから」
「何か言いましたか? よく聞こえませんでしたが」
「なんでもない、なんでもないよ!」
そうして俺たちは新たにマホと勇子を仲間に加えた。
あぁそうだ、HR始まる前にガク先輩に怪談の件聞いておくか。千里眼でガク先輩の場所を調べて……っと。あ、ガク先輩学校来てないな。今日休みか。




