第4話 私のクラスメイトが何か怪しそうな件です
「うーん……」
お昼休みの時間。この前勇子ちゃんに学校を案内されて以降、私のお気に入りの場所となった屋上でお弁当を食べている中、私はあることについて悩んでいました。
「マホちゃんどうしたの、授業で何か分からない所あった?」
「いや、そういう訳じゃないです」
確かに異世界からやってきた私にとって、この世界は今までの常識と違って、日常生活は勿論の事、授業に付いていくのも精一杯ではありますが、私が悩んでいるのは別の話です。
「悩みがあるなら誰かに相談するのが一番セイ!」
この世界で言うならペンギンと言う動物に近い見た目でしょうか。妖精の『ペンヨウ』が、私を励ますような言葉を言ってくれてます。
確かにそうですね、私一人で悩んでいても仕方がないですし、私が魔法少女に変身出来ると知っている二人にも知っておきたい事ですからね。
「実は、力男さんの事で少し悩みが」
「力男って……誰セイ?」
ペンヨウは力男さんについてピンと来ていないようで、疑問を浮かべています。私も昨日まではペンヨウと同じような状態でしたから、とやかく言えませんね。
「私達のクラスメイトだよ! ほら、この前アクロコとショッピングモールで戦った時に居た子!」
そんな疑問に答えるように、勇子ちゃんが補足をしてくれます。昨日、アクロコと戦っている最中に戦いに巻き込まれそうになった男の子。
その時は何も言わずともすぐに逃げてくれて助かりました。アクロコと怪人の猛攻でピンチになった時に勇子ちゃんが魔法少女に覚醒してくれたので助かりましたが、もし人質に取られていたら、そんな暇もなく倒されていたでしょうからね。
この世界に来てからと言うもの、勇子ちゃんに助けられてばかりですね。魔法世界からこの世界に来た時も、この学校に転校してきた時も……返せないほど恩があります。
「あー! あの子セイか!」
「ペンヨウ声がデカイよ!」
「勇子ちゃんも人の事言えませんが……」
ペンヨウは誰か分かったようで、大きな声を出す。一応ペンヨウの存在は秘密なので、大きな声は出さないとありがたいのですが。この前だって、勝手にカバンの中に入っていて、クラスメイトにバレるかと思いましたし。
『超能 力男』さん。ショッピングモールで会った時は偶然鉢合わせた一般人かと思いましたが、まさかクラスメイトだったとは……。
私はまだクラスメイトの顔や名前はハッキリと覚えられていませんが、勇子ちゃんは会った時から誰か分かっていたようです。
今日学校に来たら、ショッピングモールで会った男の子が居て驚きました。思わず「昨日はあの後大丈夫でした?」と聞きましたが、
『……? いったい何の事だ?』
惚けられてしまいました。私が戦っている所を見ているでしょうし、誤魔化す必要はないでしょうし。夢か何かを見たと勘違いしているんでしょうか。
「実は力男さんに、昨日の事に聞いたのですが惚けられてしまいまして」
「昨日って」
「はい。アクロコと戦った時の話です」
勇子ちゃんが魔法少女になったり、魂だけの存在となった妖精が何名かこの世界に来ていると判明したり、妖精が居ると言う事は私達以外に魔法少女になれる存在が居るかもしれないと……怒涛の展開でしたが、力男さんの事を忘れてはいけません。
巻き込まれただけとは言えど、クラスメイトと言う私達の近いに居る存在なのが理由でワルインダーの魔の手が伸びる可能性がありますからね。心配になってしまいます。
「マホちゃん。もしかしてなんだけど、良いかな?」
「はい?」
「あの時マホちゃん変身してたから、スカイブルーがマホちゃんだと気付いてないんじゃ」
「あっ……」
そういえばそうでした。あの時私は変身していたんでした。魔法少女に変身する前と変身した後は髪型や服装がガラッと変わりますから、気付いてないのも無理はないですね。うっかりしていました。
「私てっきり、力男さんが昨日の事について何も言わないので、ワルインダーに操られているのかと」
「考えすぎだよ~」
そうですよね、私の考えすぎですよね。なんだか力男さんが私の心を読んでいるかの如く、都合よく動いているように感じますが、ただの気のせいですよね。
それに、もしワルインダーに操られているのなら、ペンヨウを誘拐して魔法少女に変身出来ないようにしているでしょうし。
「ところで勇子ちゃん、昨日の妖精についてですが」
「『ライヨウ』の事だね」
昨日勇子ちゃんが「私を助けたい」と言う気持ちに応えて現れた妖精、ライヨウ。どうやら強い思いを感じて呼び寄せられるように勇子ちゃんの元へ来ました。
元は魂だけの存在のようでしたが、勇子ちゃんに思いに引き寄せられるように私達の目の前に現れて、ぬいぐるみのような姿に代わったようです。そのライヨウ曰く「自分のようにこの世界に降りた妖精が何人か居る」と言ってました。
もう少し本人に話を聞きたかったですが、朝になっても起きなかったので勇子ちゃんの部屋に置いてきてしまいました。学校で起きて大騒ぎ、なんて事になったら目も当てられないですからね。
「はい。そのライヨウが言っていた、強い思いを持っていそうな人って誰か心当たりありますか?」
強い思いを持っている人間が見つかれば、魔法少女の仲間を増やせるかもしれないですからね。前のようなピンチがいつ訪れるか分からない以上、仲間は一人でも多い方が嬉しいですからね。
「うーん、強い思いかぁ。あっ! 部活をしている人なら、大会で優勝したいとか、負けたくないとか強い思いを持ってるかも!」
確かにそれは強い思いではありますが、何処か違うような。でもそれ以外に手がかりがない以上、その部活とやらを見てみましょうか。ただ、
「勇子ちゃん、部活ってなんですか?」
部活ってなんでしょうか。クラスメイトが話していたり、学校の掲示板に何か貼ってあったりしますが、それがいったいなんなのか。もしかしてゴミを区分する活動でしょうか。
なら私にはあまり向いていないですね。自慢ではないですが、よくどれが燃えるゴミで、どれが燃えないゴミなのか分からなくなりますからね。
「あぁ、そういえば部活について説明してなかったね。部活って言うのは……」
勇子ちゃんから部活についての説明を受けていると、いつの間にかお昼休みが終わっていました。部活動って運動したり、創作物を作ったりする活動なんですね。転入初日に誘われた陸上部とやらも、その部活動の一つなんだとか。
早速放課後に見て回って見ましょうか。強い思いを持っている人、見つかれば良いのですが……。
【ペンヨウ】
マホ・ツカエールと共に魔法世界からやってきた、ペンギンのような見た目をしている妖精。悪の組織ワルインダーの魔の手から逃れるため、友達であるマホを巻き込むような形でこの世界にやってきた。
本編内でさらっと流しているが、魔法少女に変身するには妖精の力が必要。マホが変身するにはペンヨウの力が、勇子が変身するにはライヨウ(別の妖精)の力が必要。




