第37話 私たちのお昼スポットが暑すぎな件です
「あつーい!」
時は7月、ジメジメとした雰囲気は消えて暑い日々が続くようになった今日この頃。私、勇子ちゃん、咲黄ちゃん、緑ちゃんの四人はペンヨウ達妖精と一緒に屋上でいつものようにお昼ご飯を食べていました。
しかし今日はいつもより日差しが強く、暑いのが嫌になったのか、勇子ちゃんが雲一つ無い空に向かって大声で叫びます。
こんなにも大声を出す勇子ちゃんはいつぶりでしょうかね。
ニワヨウとお別れをする時? それとも緑ちゃんが魔法少女になった時 それとも追試を合格した時? こうやって思い返すと、結構大声を出してますね。
「落ち着きなさい。こういう時は涼しい事を考えるのよ」
「涼しいこと、涼しいこと……あっ! じゃあクーラーの涼しい風の事を考えよう!」
「良いアイデアね」
「「この風はクーラー、この風はクーラー」」
勇子ちゃんと緑ちゃんは眼を瞑ってひたすら呟き始めました。そんな時にタイミング良く風が吹きました。尤も涼しい風ではなく、熱気がこもった風、つまりは熱風ですが。
「「やっぱりあつーい!」」
「ペンヨウは暑くないですか?」
「ペンヨウは大丈夫セイ。それよりマホは大丈夫セイ? なんだかマホが3人に見えるセイが」
「ペンヨウ、それは幻覚です! しっかりしてください!」
私は幻覚が見えているペンヨウにお水を飲ませます。他の妖精の皆さんも暑さにやられているせいか、カバンから出てこようとしないですね。
「みんな暑いの駄目なんだね」
「咲黄は平気そうね。何か理由があるの?」
「私は小さい頃から外で遊ぶお兄ちゃんに付いていってたから、暑いのには慣れてるんだ」
この中で暑さに唯一耐性があるのは咲黄ちゃんだけのようですね。私も少し辛いですし、今はまだ7月の上旬ですのでこれからもっと暑くななります。この暑さですと、いつか熱中症になるかもしれないですし、屋上以外にもお昼スポットを探した方が良いかもしれないですね。
「こんな暑いと食べるどころじゃないよ~!」
「なら新しい場所を探さないとね」
「でもそんな場所あるかしら?」
「教室はどう!? 教室ならクーラーがあるから涼しいよ!」
「勇子ちゃん、教室だと人の目があるのでペンヨウ達を出すことは出来ませんよ」
「あっ、そうか」
今まで雨が降った時は屋上に続く階段に座って食べていましたが、この暑さですと日光が直接当たらなくなるだけで、暑いのは変わらないですね。
かと言って教室は人が多いですからね。もしペンヨウ達を見られた時に誤魔化せる自信が無いです。机に置いておくだけなら人形として誤魔化せるかもしれませんが、動いているのが見られたら騒ぎになりますからね。さすがにそれは避けておきたいです。
「咲黄、生徒会室を使うことは可能かしら」
「うーん……お昼の生徒会室は他のみんなが会議で使ってるから難しいね」
「そう」
生徒会の咲黄ちゃんが居れば貸してもらえると思いましたが、既に使っているのなら難しそうですね。無理言って貸してもらうのも忍びないですし。
「じゃあ今からみんなで探さない? 新しいお昼スポット!」
「良いですね!」
「そうね。探してみましょうか」
「う、うん!」
もしかしたら使われてない場所があるかもしれないですからね。私達は校舎を見て回って、何処か空いている場所が無いか探すことにしました。
「うぅ、見つからないよ~」
それから私達はお昼休みを使って校舎見て回りましたが、条件に合う場所は見当たらなかったです。やはり人気が少なくて、涼しい所を見つけるのは厳しかったでしょうか。
「やっぱり厳しかったでしょうか」
「クーラーがある場所、って言う条件が難しいわね」
「日光が当たらない場所ってだけなら候補はあるけど、この暑さだとちょっとね」
「「「「うーん」」」」
「おや、君たち何か困り事かね」
私達が悩んでいると、白衣を着た女性が声をかけてきました。見たこと無い人ですが、上履きの色が私達と違って緑色ですね。確か私達1年生が青、2年生が赤、3年生が緑ですので、この人は3年生となりますね。
「えっと、貴方は」
「む、自己紹介が遅れたね。私は科学部の部長をしている『力学 心』と言うんだ。気軽にガク先輩と呼んでくれ、敬語も不要さ」
「よろしくガク先輩! 私は勇子だよ! 青い髪の子がマホちゃん、黄色のが咲黄ちゃん、緑の子が緑ちゃんだよ!」
「もう少しマシな説明は無かったのかしら……」
「ふむ。君たちが例の子達か」
「何か言いました?」
「いや、なんでもないさ」
ガク先輩がボソッと何かを呟いたように聞こえましたが、内容は聞き取れなかったです。聞き返しても答えてくれないですね、気になりますが本人がなんでもないと言ってるので、置いておきましょうか。
「それより、クーラーの置いてある場所を探しているんだろう?」
「そうなの! いつもは屋上でお昼を食べていたんだけど、最近暑くって」
「なら良い場所を一つ知っている。来るかね?」
「良い場所を知っているの?」
「勿論だとも。ただ……そろそろ次の授業が始まる時間だ。放課後にまたここで会うのはどうだい?」
予鈴はまだ鳴っていませんが、お昼を食べてから校舎を回っていたので、次の授業まであまり時間が無いですね。かと言って、確認もせずに決めるのは悩みます。ここはガク先輩の提案に乗るとしましょうか。
「それでは」
「ちょっと待ちなさい。貴方、やけに親切ね」
「ちょっ、ちょっと緑ちゃん失礼だよ」
咲黄ちゃんが緑ちゃんの口を抑えて喋れないようにしようとしますが、緑ちゃんはそれを簡単にかわして、ガク先輩に背中を見せるような形で私達に集まるようジェスチャーをしてきます。
「私達が探しても見つからなかったのに、こんな都合知っていて譲るなんて怪しいじゃない」
「それは、そうだけど……」
「もしかしたらワルインダーの罠かもしれないわ」
「わ、罠!?」
|学校に居る時に襲撃された事《第1話参照》はありますが、緑ちゃんの考えすぎだと思います。あの時以降、学校で何か仕掛けてくる様子は無いので、罠があったり襲ってきたりする可能性は少ないと思いますが……。
私はチラリと、ガク先輩の方を確認しますが、私達が隠れて小声で話している事に違和感を感じている様子は無いですね。むしろ微笑ましく見守っています。
「考えすぎだよ緑ちゃん」
「そうかしら」
「言われてみれ確かにば怪しいとは思います。ですがここは再度、放課後に合流して部屋を見てからでも遅くないのでは?」
このままですと話が平行線ですし、時間があまり無いですからね。ここは放課後改めて話し合ってから決めた方が良いと思います。
「結構悩んでいるようだね。ま、怪しく思えるのは自覚しているさ。返事は部屋を見てからで構わない。それじゃあまた放課後に会おうか」
「あっ、はい!」
私達の様子を見てか、ガク先輩は放課後に会う約束を一方的にして何処かへと行ってしまいました。まるで嵐のような人でしたね。
それにしても、科学部ですか。聞き覚えの無い部活ですね……緑ちゃんは罠じゃないかと心配しているようですし、少し科学部について先生に聞いてみましょうか。
Q.早速ガク先輩が魔法少女と接触していますが、この事態について力男さんはどうお思いで?
A.いやぁ……はい。まさか警戒しようと思ってから数日後、しかも自分から接触してくるのは予想外でしたね。もしかしてあの人、俺が居ないタイミング測って接触したんですかね?




