第36話 俺の先輩が科学部な件
作品書いてて思ったこと。
「コイツら、全然情報共有してねぇ! いや、力男はまだ話すつもり無いし、魔法少女達は力男が色々知ってるの知らないけどさ!」
各自で情報隠してるせいで、読者には色んな情報行き渡ってるのに、みんな手探り状態で物事を進めてると言う……。情報共有回はいつかやりたいですね。
「お邪魔しま~す」
「ふむ。やっと来たか」
ある日の放課後。勇子がテストの追試を受けている中、科学部の部室へとやってきていた。科学部と言っても、部員は1人しか居ないけど。
本当は脚を運びたくないが、行かないと面倒な事になる。一度呼び出しを無視したことがあるが、その翌日、学校に登校するとずっと引っ付かれて「放課後部室、放課後部室」と耳元でずっと囁かれた。ついでにランがそれに対抗して「陸上部は良いぞ、陸上部良いぞ」と洗脳してきた。あれは本当に地獄だった。
その経験から俺は逃げるのを止めて、呼び出しがあるとちゃんと科学部へ顔を出すようにしている。俺、帰宅部なんだけどなぁ……呼び出しの頻度が低いのがせめてもの救いだろう。
「悪い、補習の方でちょっと遅れた」
「君は補習を受けるほど頭が弱かったとは記憶してないが……当日休んでたのか?」
「いや、補習を受ける奴にギリギリまで勉強を教えてた」
「なるほど。それが理由か」
ここに来る直前、俺は今日追試がある勇子にギリギリまで勉強を教えていたのだ。テスト前と喫茶店での勉強会の成果もあってか、余裕で合格ラインは越えれる筈だが、勇子が「不安だよ~」と泣き付いてきたのだ。
咲黄やマホに教師役を変わってもらうのも手だったが、直前に今までと違う教え方をすると、勇子が混乱すると思ったので、俺が最後まで面倒を見ることにしたのだ。ちなみにだが、赤点を逃れたリュウは提出物を出し忘れて先生に呼ばれている。
「ところで、今日俺を呼んだ理由はなんだ『ガク先輩』。超能力の解析でもしたいのか?」
ここで俺の発言に疑問を持った人が居るだろう。
どうして超能力者であることを隠してないのかを。その理由はとてもシンプルだ、俺の目の前に居るガク先輩は、俺が超能力者であることを知っているからである。
『お邪魔しまーす』
時は遡り4月、マホが転校するよりも前の話。
俺は俺と同じように、不思議な能力を持った人物が居ないか学校を探索していると、部員が1人だけの部活があると噂を聞いた。
俺は先生からその部活、科学部の部室の場所を聞いたが言うのを渋られたため、テレパシーで心を読んで部室の場所を知った。そうして俺は体験入部と言う体で科学部へとやってきたのだった。
『君は顔は見覚えがないな。つまりは新入生か』
『はい、新1年生です!』
『元気なのは良いことだ。ここに来たってことは、科学部に興味があるんだろうね』
『はい! どんな部活なのか気になって』
当然だが嘘だ。
部活の活動に興味があるのではなく、1人で活動している理由に興味があって来たのだ。俺はこの答えに対して相手が何を考えているか、テレパシーで読み取ることにした。
入るのに肯定的でも否定的でも、例えば1人の方が伸び伸び出来るから入らないで欲しい、人手が多い方が助かるから入って欲しいなど理由はある筈だ。もしその理由が能力に関するモノならば……俺はそう期待したのだ。
❴(この部活を勧める人間が居るなんてね。私は新入部員は募集してないのだがね……そもそもポスターも何も作ってないから、教師ぐらいしか部室は知らない筈だ。そうなると、教師の誰かから聞いた? いや、有り得ないな。少なくとも周りから見た私は1人で部活をしている変わり者だ、変わり者相手に新入生1人だけ来させるのは違和感がある。なら誰から聞いたんだ? それとも、そもそもの前提自体が違うのか? 例えばそう、聞いたのではなく心を読み取ったのではないか。それなら教師が口を割らずとも場所を知るのが可能だな)❵
『ッ!』
しかし俺の予想は外れた。
ガク先輩に特殊な能力は無かった。だが、些細な違和感から考察を交え、常識取っ払ってまで答えを導こうとする変わり者であった。
今考えると予想が外れた相手がガク先輩だから良かっただろう。もし同じような考えをする人物が敵だったらと思うだけで、俺は冷や汗が止まらない。
『ん、何故驚いたような表情をするんだい。私はただ、興味があるのか聞いただけではないか』
『そ、それは』
『まるで私の思考に反応したみたいじゃないか』
『なんのことか』
『右手が震えているぞ』
❴(本当は左手だがね)❵
俺は思わず左手を見る。
手は本当に震えていたが、ガク先輩が言ったのは「右手」だ。そして俺が今見たのは左手、明らかにおかしい動きである。
『おっと、左手を見たとなると、まさかのドンピシャかね? 確信自体はあまり無かったから、冗談半分で言ったんだがね』
『えっと、その……』
『落ち着きたまえ。私は君のような能力を持った人間はこの15年間で見たことは無いが、居ると確信している。こう見えても、常識を覆す研究をしていてね。交換条件と行こう、その能力を黙っておく変わりに私の研究を私の研究を手伝ってくれないか?』
『…………はい』
何処のラスボスだよ。
俺はそんな思いを飲み込んで、ガク先輩の研究を手伝う事にした。逃げるのも手だったが、何故かこの人から逃げられる気がしなかった。
結果的に見れば、複数の超能力を組み合わせる───例えば、透視とテレパシーを組み合わせて壁越しの相手の思考を読み取るなど───事が出来るようになったりと、それなりの恩恵はあるのであまり強く出れなかったりする。
「今は君の超能力に興味は無いさ。それより興味のある内容を最近見つけてね……まぁ、紅茶でも飲もうではないか」
「容器が試験管なんだけど?」
「ふむ。今時の中学生はこれで喜ぶと聞いたが……情報を間違えたかね?」
「あんたも今時の中学生だろうが」
試験管で飲むなんて初めての経験だな。つーか試験管だと中に入る飲み物の量少ないだろ、この部室にビーカーとか無いのか?
「で、興味がある事ってなんだ? ろくでもないだろうが」
「街に居る魔法少女について興味があってね」
「ブーッ!」
俺は紅茶を吹き出した。
なんで知ってんだよこの人、俺ガク先輩に魔法少女の話もマホ達の話もしてないぞ。もしかしてマホ達がバラしたか? でもガク先輩とマホ達って接点無いよなぁ。
「汚いな。後で掃除したまえよ」
「ゴホッ、ゲホッ……何処で魔法少女の事を?」
「色々あってね。マホ・ツカエールについて黙っていたのは、何か理由があるんだろう?」
「そこまで知ってるのかよ」
何処で情報仕入れたんだよこの人。
戦いが終わった後は魔法少女やワルインダーの記憶が消えるのは確認済みだが、この人だけ記憶が残っていたのか? ランも記憶が残ってるようだし、可能性としては有りそうだな。
ランだからって理由でスルーしてたけど、記憶が残る条件ってなんだ? よく考えると知らない事だらけだ。知らない内に取り返しの付かない事態引き起こしたりしてないよな……? ちょっと不安だ。
「今度私に紹介してくれよ」
「ヤダ」
「やはり駄目か。仕方がない、今は諦めるとするか」
「今はって言った? なぁ、今はって言ったよな?」
やっぱこの先輩危険かもしれない。
俺はガク先輩とマホ達を会わせないようにしようと、ソッと心の中で誓うのであった。
【力学 心/ガク先輩】
作中で『ガク先輩』と呼ばれてる中学3年生で、科学部の部長。地味に18話(リュウ転校)で、部活の勧誘をしている。
名字の『力学』から抜き取って、渾名をガク先輩にした。力学にした理由はあまりなく、単純に科学って名字だと普通すぎると思ったので、少し捻っただけ。
常識を覆す研究をしている謎の人。作中からの評価は変わり者であるが、言うてランや部長とどっこいどっこいな気がする。
頭良いキャラ作りたいな~と思って作ったら、常識捨ててる危ない人になった。この人あれだ、主人公サイドに居る敵みたいな人だ。これがわたしの頭が良いキャラの限界だ!
のちに本編でも本名を出す予定ですが、フライングで後書きに載せました。




