第30話 俺の居候が気まずそうな件
「「…………」」
「あー、その、あれだ。何かゲームするか?」
「やらないセイ」
「やらないワニ」
「お、おう。そうか」
ペンヨウとの話が終わった俺は、部屋に放っておいたアクロコを回収して、リビングへと移動させた。アクロコとペンヨウが敵対していて、尚且つ妖精の住んでる国を滅ぼしたことを忘れたまま。
やっべ、やっちまった。アクロコを魔法少女及び妖精に会わせるのは、リュウが片付いてからだって決めてたのに。
コイツら睨みあったまま1時間以上動いてないんだが。にらめっこですらもう少し動きあるぞ、我慢大会に出てみたらどうだ、なんて冗談言う雰囲気じゃ無さそうだな。
あークソ、前世の事を思い出してから、どうにも頭が回らねぇな。今までアクロコを魔法少女達に会わせないよう、気を配ってたことも忘れて凡ミスするし。はぁ……飴舐めて糖分取るか。
「なんで、お前がここに居るセイ」
「コマツールに川に流されたあと、力男に拾われたセイ」
「正確には一緒に居たランに拾われて、俺の所で面倒見てるんだけどな」
そういや、組織内で2番目に偉い奴の名前は『アヤイト・コマツール』で、リュウの本当の名前も『スリュウ・コマツール』だよな。もしかして親子だったりするのか?
それか組織内でのコードネーム……あれ、じゃあアクロコの場合は『アクロコ・コマツール』になるのか? うわダセェ、これだったら普通にアクロコ単体の方が良いな。
「生きてたセイか」
「あくまで運良く、ワニ。あんなに傷だらけになったのは、記憶にある限り初めてワニ」
「記憶ある限りセイ……?」
「気にするなワニ、それよりお前はどうしてここに居るワニか?」
「それは…………」
「怪人にされた友達相手に手出し出来なくて、これ以上魔法少女が傷付くのを見たくなかったんだとよ」
敵対してたから仕方無いとは言え、そんな互いに敵意出しながら喋るのは止めてくれ。それにしてもアクロコの記憶かぁ……ワルインダーや魔法少女の方に気を取られてたけど、アクロコの記憶を戻す方法も探さないとな。記憶が無い状態は可哀想だからな。
「怪人にされたワニか? どういうことワニ?」
「惚けるなセイ! 怪人の元はペンヨウと同じ妖精だって知っているセイよね!?」
「なにワニ、それは……」
「え、本当に知らなかったのかアクロコ。お前の組織って報連相出来ない系?」
「聞いた覚えが無いワニ。ワニャワは幹部で一番新人で下っ端ワニ。ワニャワが知っているのは組織内での方針や、幹部連中の名前と容姿ぐらいワニ」
お前の居た組織大丈夫? 確認事項あっても「誰かが確認するからヨシ!」って状態になってない? 悪の組織に言う言葉じゃないけど、報連相出来ない組織はいつか潰れるぞ。あ、魔法少女に現在進行形で潰されようとしてたんだったな。
「嘘付くなセイ! お前、お前のせいでペンヨウの国は……!」
「おい落ち着けよ」
俺はアクロコに怒りをぶつけるペンギンを掴んで、アクロコに怪人に関する情報を聞く。ここで怒った所で話は進まないからな。
それにしても、俺もアクロコも初めて聞く内容だな。てかアクロコが知らなかったのはなんでだ? わざわざ始末しに来たってことは、誰かに知られると不味い情報を握ってるかと思ってたが、予想が外れたな。
つーか、組織内で報連相出来てない部分から推測するに「アクロコに重要な情報渡したっけなぁ……分かんないから消すか!」って言うギャグみたいな理由で、アクロコを始末しに来た可能性が出てきたのが嫌なんだが。
「アクロコ、怪人を作ったのは誰か知ってるか?」
「それなら知ってるワニ。コマツールワニ」
「またアイツかよ」
幹部始末したり、怪人作ったり、思ったより忙しいんだなアイツ。組織の2番手みたいだし、中間管理職系の仕事内容だったりする?
てか報連相出来ないのお前かよ!? 今まで強キャラに思ってたけど、今の話聞いて思いっきり強キャラからポンコツキャラまでに株下がったぞ!
「ペンヨウ、一旦深呼吸しろ。そんな状態だと話が進まない」
「スゥー、ハァー、落ち着いたセイ」
アクロコを睨んだままではあるが、今すぐにでも掴みかかるような様子は無くなったな。目の前に仇が居るってのに落ち着けるなんて強いなペンヨウ。
…………ホント、強いよお前は。俺だったら誰かに止められようとも、仇が目の前に居るなら事情を聞く暇もなく、問答無用で掴みかかるってのに。
「そうか。アクロコ、お前はどうして妖精の住んでる国を滅ぼしたんだ?」
「総帥に命令されたワニ。その時一緒に居たコマツールが、何やら『貴方にしか出来ないことだから頼みましたよ』と言ってたワニ」
詐欺じゃねぇか。それどっからどう見ても、詐偽を働く奴の言葉じゃねぇか。貴方にしか出来ないとか、詐偽でしか聞いたこと無いんだが。
100%嘘臭い台詞に乗せられて、まんまと国を滅ぼしたって訳か。まぁそんな言葉無くとも、記憶が無くて右も左も分からない状態で組織に居たから、結局は自分の居場所を守るために滅ぼしてただろうが。
「アクロコにしか出来ないって、どういうことセイ?」
「どうせ適当な事言ったんだろ。で、滅ぼす理由とかは言ってたか?」
「まだワニャアが組織に居た頃、総帥は魔法少女の事を恐れていたワニ。恐らくそれが理由で妖精国を滅ぼすようにしたワニ」
「魔法少女、ねぇ」
恐れてたにしては、魔法少女対策結構ガバガバだな。いや、魔法少女が生まれないよう、初手で妖精国滅ぼしてる時点で本気なのは伝わってくるんだが、それにしては直接魔法少女を叩きに来ないのは気になるな。
動けない理由があるのか、そういうお約束なのか、それとも何か別の理由か……兎に角今は置いとくか。考えたところで推測に過ぎないし、それを答え合わせする方法も無いからな。
俺はフル回転させた頭を休ませようと、飴玉を舐めようとした時、誰かの腹の音が鳴る。俺の音なら「誰か」なんてわざわざ言わないし、ペンヨウはさっきオムライスを食べた。そうなると、
「ワニャアワニ。お腹空いたワニ」
アクロコしか居ないだろう。時計を確認して見ると、時刻は18時を指していた。ペンヨウを拾ったのが昼過ぎだったが、いつの間にか夕方になっていたようだ。
「よし、夕飯作り始めるか。お前ら、何か食べたいものあるか?」
「オムライス食べたいセイ!」
「ファ〇チキ食べたいワニ!」
「分かった分かった。お茶漬けだな」
「「ちゃんと話を聞くセイ!」」
ならお前らは栄養バランスを考えような? ペンヨウ、お前はさっきオムライス食っただろ。アクロコは毎日のようにファ〇チキ食べようとすんな、身体壊すぞ。
主人公の転生設定、ただの飾り状態になってたのが気になったので、第29話執筆時に無の状態から設定固めました(生やしました)。その結果、主人公に重そうな過去が追加されました、イエーイ!




