第23話 俺のクラスメイトが買い物中な件
今回はマホ・ツカエールの回です。
現時点でのマホの設定は「素直」「嘘つけない」「異世界人」「ですます口調」の四つです。話が進む度に設定が生えます。
また、現時点での勇子の設定は「元気」「凄い元気」「めっちゃ元気」「勇子is元気」の四つです。
「えっと、こっちの道を……いえ、此方でしょうか」
「よ、マホ。地図なんか見てどうした?」
休日、俺は街をブラブラ歩いていると地図とにらめっこしているマホを見つけた。そういや休日に会うのはショッピングモールの時以来か。
アクロコとの戦いを見た件はもう突っ込まれること無くなったけど、こいつら見られたこと忘れてないよな? いや、忘れてくれてた方が追及かわせるから楽で良いけどさ。
「あ、力男さん。実は買い物に来たんですが、道に迷ってしまって」
「そういやマホは海外から来たんだったな。まだ日本の風景や道には慣れない感じか」
「はい、海外から来ました! 嘘では無いですよ、全然別の世界から来たとかじゃないですから!」
「お、おう」
誰もそこまで言えとは言ってねーよ。両手を目の前で振って「誤魔化してないよ」って仕草してるが、どう見ても誤魔化せてねーよ。あまりにも怪しすぎるわ。
もしこれをリュウの目の前でこの行動をすると考えるとゾッとしてくるな。素直なのは良いことだし嘘が付けない性格なのはむしろ誇ることだが、せめて魔法少女に関する内容は言わないでくれよ……?
「勇子を誘った方が良かったんじゃないか? ほら、いつも2人で行動してるし」
「いつもはそうなんですが……今日は4人で頑張ってみようと思いまして!」
「で、この有り様と」
「うぅ」
挑戦するのは良いことだが、その結果道に迷ってるなら目も当てられない。透視でマホの荷物の中身を確認したが、ペンヨウとやらの姿は無かった。おま……こんな状態でワルインダーに襲われたらどうするんだよ。
「何処に行くんだ?」
「え?」
「付き添うぞ」
マホは驚いたような顔をしているが、俺の方が驚いているんだが。もしかして、俺とマホの認識の違いが原因か? 俺自身はワルインダーの幹部が学校に潜入してたり、作戦立ててるのは知ってるけど、マホからすれば相手が裏で色々動いてるなんて想像が付かないんだろう。
なんか心配になってきたな。知らないからこそ平和ボケするのは仕方無いが、万が一に備えて一緒に居るか。戦いになっても……まぁ、うん。大丈夫だろうな。最悪の場合、超能力でリュウを妨害する。
女児が見るようなニチアサ世界だから、そんな簡単に人が死ぬとは思わないが、深傷負って変身出来ませんなんてなったら困るからな。それに比べたら超能力使えるのがバレた方がマシだ。マホが助かる代わりに、俺の安全は保証されなくなるがな!
つーか勇子や妖精たちは何処に居るんだ? もしあっちが1人で戦うような事態になったら影でサポートしたり出来ないんだが。取り敢えず千里眼で場所を調べて……あー、うん。そこに居るのか。
「そこまでしてもらうのは流石に」
「なら1人で着けそうか?」
「そ、それはその……そうですね。不束者ですが、よろしくお願いします」
「よろしくな。あとその言葉の使い方はちょっと誤解を生むから気を付けような」
それを学校で使ってみろよ、学校中で変な噂がたつぞ。俺はマホの目的地へと一緒に移動しながら、尾行している人物たちに向かって『念聴』───本来なら聞こえない音を聞こえるようにする超能力───を使った。
遠くに居る相手の声が聞こえる便利な能力だが、知っている相手で尚且つ、何処に居るのか知らないと使えない、ちょっと使い勝手の悪い能力だ。日常的に使う場面も無いから、宝の持ち腐れみたいなものなんだよなぁ。
『マホちゃん大丈夫かな~』
『心配なら一緒に行くのはどうセイ?』
『で、でもマホちゃん1人で買い物するって凄い張り切ってたから』
『それで結局尾行してた意味が無いセイ』
『そうライ。意味ないライ』
『も~! ペンヨウもライヨウもそんなこと言わないの!』
尤も、今回は珍しく役に立ったが。お前ら何してんだ……千里眼で気づいているが、一応後ろを振り向くと、バレバレな変装をしている1人と、その1人に抱かれてる2匹が居た。
『あっ! せ、セーフ』
アウトだよ。勇子は俺が振り向いてから数秒ほど、見られてることに気付いて妖精2匹を抱いて建物の身を隠したが、身体半分ぐらい出てるんだよなぁ。
なんなら周りから奇異の目で見られてんだよ、気付かないマホもマホだが、それで隠れられてると思ってるお前もなんなんだ。
マホに勇子が居ることを指摘しても良かったが、勇子今の気分は初めてのお使いなのだろう。マホもやる気だし、勇子も無事買い物出来るか心配なんだろう。
マホもさっき「今日は1人で頑張ってみる」と言っていたし、一から十を全て教えるのはあまり好ましくないだろう。ならあまり口出しせずに、間違った道を進もうとした時だけ教えるとするか。
「この地図によりますと……なるほど、此方ですね」
「逆だぞ」
「ええ!?」
あの、すまん。早速不安になってきたんだが。俺は目的地に着くまで何回道を間違えるハメになるんだろうと、頭を抱えるのであった。
「ほれ、ここだな」
「ありがとうございます!」
「別に礼言われるほどの事じゃないぞ」
あれからマホが道を間違えること30回、紆余曲折ありながらも、なんとか目的地であるスーパーへとたどり着いた。うん、ホント……着いてきて良かった。
尾行してる勇子達もマホが道を間違える度に慌ててたし、マホってもしかして方向音痴なのか? 目的地まで着いたのは良いけど、ちゃんと帰れるよな。家まで辿り着けるよな!?
「それじゃまた」
「はい! 学校で!」
まぁそこは勇子に任せるとするか。これは帰りも案内するのが面倒になった訳じゃなくて、単純にマホが何処に住んで居るのか知らないからである。
知らない場所に案内するよう頼まれても、俺からは言えるのは無理の一言である。そもそも中学生が簡単に家借りれないよな、なら誰かの家、魔法少女の秘密を共有してる勇子の家に居候させてもらってるのか? 仮にその通りだとしても、勇子の家の場所知らないから結局案内出来ないな。
「まず、これがキャベツですね。レタスと言う野菜と似てるのは知っていますが、私は間違えませんよ!」
いや、その手に持ってるのはレタスなんだが? なんならちゃんと商品名にレタスって書いてあるんだが。マホの奴、商品名見ずにカゴに入れやがった。
「わぁ、デザートってこんなにあるんですね。ひ、一つぐらい買っても……い、いえ今日は必要な物だけを買うと決めたじゃないですか! で、でも」
「なんか心配になってきた」
「ひゃあ!? り、力男さん。帰ったはずじゃ」
「不安になったから戻ってきた」
レタスとキャベツ間違えたり、自分の欲望に負けそうな奴に買い物任せたら何買うか分かったもんじゃねぇ。ほら、そのデザートは此方で買ってやるから、買うものリスト見せてみ。キャベツ、卵、天かす、この3つか。
「マホ、色々言いたいことはあるが、まずこれはレタスだ。ここに名前が書いてあるだろ?」
「あっ、本当ですね。気付かなかったです」
「キャベツかレタスか分からなくなったら、商品名を確認した方が良いぞ。次に卵だけど、卵は此方の方にだな」
そうして俺は道を教えるついでに、マホとスーパー見て回るのであった。スーパーを出る頃には勇子も尾行を止めており、偶然を装って俺たちと合流し、勇子はマホを連れて帰っていくのであった。
【念聴】
遠くに居る相手の声が聞こえるようになる超能力。ただし超能力の強さは『日常的に役に立つ程度』と決めてるので、ちゃんと使うための制限をかけた。
使う条件として「知っている相手に対してのみ使用可能」と「相手の場所が分からない場合のみ使用可能」を付け足した。
ちなみに勇子家の今日の夕飯はお好み焼きでした。マホはその材料を買いに行ってました。




