第19話 僕の体験入部先が人外魔境な件でス
「おお、よく来たな! ワイは陸上部部長の部長だ! 気軽に部長と呼んでくれ!」
「今日はよろしくお願いしますネ、部長さン!」
魔法少女と交遊関係である方の懐に潜り込むたメ、僕は彼女が所属する部活に潜入しましタ。引っ張られるような形で案内されるのは予想外でしたガ、今後の事を考えればその程度は許容範囲でス。
彼女が所属する部活に関わることで仲を深められるでしょうシ、万が一失敗しても僕自身の交友関係は広がりますからネ。時間こそは掛かりますガ、1人1人と交友を深めてジワジワと学校を支配するのもありですネ。
僕はそんな内心を隠すようにしテ、部長さんに挨拶をしましタ。ククク、実に筋肉バカでチョロそうな男ですネ。簡単に操れそうですガ……僕が学校に居ると魔法少女にバレたら作戦が台無しですからネ。今は見逃しますヨ。
それにしても人間の身体は不便ですネ。能力が使えないですシ、身体能力も本来の姿よりグンと下がっていまス。まぁ魔法少女に正体がバレる可能性が低くなると考えれバ、メリットかもしれませんがネ。
「おう、ワイは部長だ。だから部長と呼んでくれ!」
「エ? えっト、部長さン?」
「おう、ワイは部長だ。だから部長と呼んでくれ!」
僕の声が小さかったですかネ。でも雑音があるわけではないですシ、2回も呼んでいますからネ。となるト、他に理由がありそうですガ……あぁなるほド、理解しましタ。
「ブ、部長?」
「よろしくな!」
呼び捨てが良かったんですネ。部長と言うのは役職ですのデ、呼び捨てと呼ぶには少し違うかもしれませんがネ。この人、中々に個性的ですネ。
「早速体験してもらう前に……1つ確認するぞ。リュウは海外から来たのか?」
「最近来ましたヨ、両親の都合でしてネ」
事前にこの世界の人間について調べてはおきましたガ、何処でボロが出るか分からないですからネ。この国の人間を名乗るよリ、外から来たと言えば多少は誤魔化せそうですからネ。万が一この国に詳しいのは何故かとを突っ込まれてモ、ハーフだから片親に聞いていたと言えますからネ。
唯一の懸念点と言えば両親の存在ですガ、何か言われるより前に魔法少女を片付ければ何も問題は無いですネ。僕の計算ですト、慎重に動くこと前提でも魔法少女の命はあと二週間も持たないでしょうかラ。
それに僕の親はコマツール様1人ですからネ。例え潜入のためだろうとモ、有象無象を親とするのは虫酸が走りまス。
「なら日本にはあまり慣れてないのか! だが安心してくれ、困ったらワイが色々教えるからな!」
「ありがとうございまス」
おっト。少し予想外ではありましたガ、使えそうなコマが出来ましタ。この人を使っテ……
「部長だ!」
部長を使って学校の内情を知れバ、魔法少女の友情を破壊する作戦をもう少し早められるかもしれないですネ。あとなんでナチュラルに人の思考に入ってきてるんですかねこの部長ハ。
「今日転校してきたとなると、この学校にも慣れてないってことだな。なら今日はあくまで、ここで出来る全種目に軽く触れる程度にするか!」
「おヤ、それだけですカ?」
「ああ! 見知らぬ環境に居ると、知らず知らずの内に負荷が掛かるからな! 特に知らない土地に1人で居ると尚更だ。無理にして学校に来れなくなるのは嫌だろうからな!」
「おっト、気遣いでしたカ。これは失礼しましタ」
「気にするな!」
優しいですねこの人……
「部長だ!」
だから人の思考に入ってくんナ。それにしても部長は優しいですネ、ですがその優しさがいつしか自分や周りを苦しめるのに気付かないなんテ、まだまだ青いですネ。
「本当ならワイが色々と教えたいが、人に合わせるのが苦手でな! 悪いが他の部員に紹介してもらう!」
「いえいエ、そこまで気にする必要は無いですヨ。それに僕は優しく接してくれた部長に教えてほしいでス」
本当は彼女と関わりたいですガ、ここはこの部で1番偉い人物に頼んだ方が自然でしょウ。
彼女に指導を頼みたいと無理を言うことも可能ですガ、ここで「絶対に彼女の指導を受けたイ」と言っテ、悪目立ちするのは避けたいですからネ。それニ、部長と交友を深めてこの部を占拠するのも良い作戦でしょウ。
「そこまで言ってくれるとは……! ワイは感激だ!」
部長は僕の言葉に大粒の涙を流しましタ。ソ、そこまで泣くことですかネ。僕はただ部長に教わりたいと言っただけなんですがネ。マ、まぁ良いでしょウ。好感を稼げたと思えば儲けものでス。
「最初は短距離、定番の100mだ! スタートからゴールまでを全力で走るんだ! 今から手本を見せる……と言っても、全力で走るだけだから手本も何も無いけどな! なんにせよ、全力で走るんだ!」
「全力しか情報が入ってこないんですガ?」
情報量が少ないですネ。分かりやすいから助かりはしますガ、全力以外の説明は無いんですかネ。それにしてもたったこれだけの距離ですカ。今のような人間形態なら人間としては速い程度のスピードしか出せませんガ、元の姿なラ
「行くぞ!」
こんな風に突風を起こすほどのスピードを出せますけどネ。部長のようなことをするのハ、人間には到底不可能でしょう。そう、人間には人間である部長のスピードを出すなんテ
「…………ハ?」
疲れているんですかネ。人間には到底出来ないスピードで部長が動いていたような気がするんですガ。人間どころか僕よりも速いスピードを出していたように見えたんですガ。
「記録は6秒! ウォーミングアップとしては充分だな!」
「お前一度ウォーミングアップって言葉を辞書で引いてこいヤ」
「ん、何か言ったか!」
「いエ、なんでもないですヨ」
部長は魔法少女のようニ、体内に元気パワーでも取り込んでるのかヨ。おっト、口調がおかしくなってしまいましタ。冷静にならなければいけないですネ。
スゥ~ハァ~……よシ、深呼吸して落ち着きましタ。今のはただの偶然でしょうネ。偶然では収まらない気がしますガ、誰がなんと言おうと気のせいでス。
一度は偶然、二度は必然ではありますガ、今のは一度目ですからただの偶然でしょうネ。少し動揺してしまいましたガ、ここからはもう動揺すること無ク、体験入部しに来た人間として接しなけれバ。
「次は砲丸投げだ。これはこの球を遠くまで投げる競技だ! 手本を見ておけよ! ドリャア!」
「すみません部長、僕の目には球が何処に行ったか見えないんですガ」
「ああ、校舎の屋上に落ちたからな!」
「ここ校庭なんですガ? なんなら校舎4階建てなんですガ?」
「安心しろ、屋上はもの凄く固く出来てるから砲丸程度だと傷一つ付かないぞ!」
「安心要素何処だヨ」
動揺しないと言いましたネ、やっぱ無理でス。部長絶対におかしいんですガ、僕が調べた限りですと人間はそんなこと出来ないはずなんですガ。そもそもこの鉄の球って何キロあるんですかネ、少なくとも屋上に簡単に届くほど軽く無いんですガ。
「次は走り幅跳びだ! ルールは簡単、ここから走って砂場の前に引いてある線から思いっきりジャンプするんだ!」
「もう嫌な予感がしまス」
「これのコツとしては、何回も空中でジャンプすることだな! そうすれば何千メートルも距離を稼げるんだ!」
「人類が出来ることを教えてくれませン?」
確かににルールは簡単ですネ、ルールハ。でも誰がバグみてぇな挙動教わりたいって言ったヨ、ちゃんと人間が出来ることを教えてくださいヨ。
「最後は長距離だ! これは体力と気力が必要な種目だ! コツとしては自分のペースで走ることだ! 速く走りすぎるとスタミナが無くなるからな!」
「残像が見えるほど速いんですガ」
「俺は鍛えてるからな!」
「鍛えただけでそうなるわけねーだロ」
スタミナが無くなるから速すぎるのは駄目と言っていましたガ、どう考えても速いんですガ。残像が見えるスピードで動けるなんテ、鍛えただけでなれるはずないでしょうヨ。
「これがワイ達の陸上部でやってることだ!」
陸上部から人外魔境部へ改名しロ。もうこの人外とは関わりたくは無いですネ、魔法少女を倒す前に僕の方が気疲れで倒れそうでス。
部長と交友関係を深める作戦は無かったことにしましょウ。そのプランよりモ、当初の予定であった友情を破壊する方を進めるとしましょうカ。
「へいリュウ! 話終わったならオレと一緒に長い距離走ろうぜ! 安心しろ、オレは部長のような動きは出来ないから!」
おっト、噂をすればなんとやらですネ。そっちから来てくれるなんテ、なんて都合が良いんでしょうカ。部長の動きには驚きこそはしましたガ、あんな例外がそうポンポン居ることは無いでしょうからネ。
たかが人間の運動に全力を出すのは面倒ではありますガ、手を抜くと舐めた態度を取ったと思われて今後が困りますからネ。貴方には悪いですガ、前を行かせていただきますヨ!
翌日、僕は全身筋肉痛となりましタ。なんデ、なんであんなに速いんですカ……しかも途中から腕捕まれて振り回されましたシ。もう人外魔境部に近づくのは止めようト、僕は心の中で決意するのでしタ。
コマツールがシリアスしたしわ寄せが、リュウにギャグとして襲いかかる───!
真面目な話をすると、敵キャラにも親しみのある奴が欲しかったんですよね。敵全員外道とかにすると、主人公にも被害が出ますからね。そしたら流石の主人公も戦おうとはするので、そのままシリアス続いて日常何処? ってなるので。
部長との絡み書いてる時に、リュウの今後について決まりました。設定は後付けするもの、展開は後から生えてくるもの、思い付きは勢いで。細かい事は良いんだよの精神です。




