第15話 俺のクラスメイトが飼ってほしそうな件
今回はシリアス風味のギャグです。
すまないな主人公。君は真面目に行動してるんだが、肝心の作者がふざけないと死んじゃう病に掛かってるんだ。
「取りあえず呼吸は安定してきたな」
ソニックブームを撒き散らしながら街中を走るランは沢山走って満足したのか突然止まり、ちゃんと俺の家に向かってくれと釘を差してから家の場所を教え、手当したアクロコを机の上に寝かせた。
超能力使って身体にバリア張ってなかったら、スピードに耐えれなくて吐いてたんだが。てか急に止まって「ふぅ、追手を欺けたぜ」とか言ってどうした。追手何処だよ、お前には何が見えてんだよ。
家を向かう道中に聞いてみたが、ランは「オレの勘だ」と言って会話が成立しなかった。何言ってんだコイツ。いやまぁ、お前の勘はテストの時とか、アクロコ見つけた時とかで発揮したの知ってるから、多少の信頼はあるけど、行動に突拍子が無さすぎて、その信頼が地に落ちてってるんだが。
「それにしても、二足歩行のワニなんて信じられないな……はっ、まさか妖怪の仕業!?」
「妖怪より妖怪してる奴が言うと説得力がちげぇや」
意識を失っているアクロコは動かない。つまりは歩いてすら無いのだが、身体の形からしてアクロコが四足歩行ではなく二足歩行だと推測したのだろう。
本人は妖怪うんぬん言っているが、コイツが妖怪なら人類の身体能力を超越してるお前はなんなんだよ。
俺のように超能力を扱える人間が居るのだから、ランをそういう人間として思うようにしているが、そもそもランは人間の範疇に納めて良いのかと、下向きながら頭を押さえた。すると俺はある違和感を覚えた。
「……なぁラン、家に運んでから思ったけどコイツの傷浅くなってないか?」
未だボロボロな状態に変わりは無いが、アクロコの傷が若干浅くなっているのだ。とは言え、まだ眼を覚ますにしては回復してないようで見た目以外に変わった様子は無い。
「オレの元気を与えたから、カナ?」
「はいはい凄いね」
アクロコの手を握って触感を楽しんでいるランを他所に、俺は傷が浅くなっている理由を考えていく。まずランが「元気を与えた」と言ってるのは無いだろう。そもそも悪の組織の一員が元気なんて陽のパワーで回復するってなんだよ。それは正義側がする事だろ。
アクロコの回復力が高い可能性もあるが、マトモな治療もしていないのに回復なんてしないだろう。仮に生命力が凄くて生き長らえているとしても、短期間で傷が浅くなるかは不明である。まぁ、なんにせよ……
「それよりコイツどうすんだ?」
問題はそこだ。少しずつ回復しているとは言えど、動けるようになるまでは時間がかかるだろう。それに意識が無いためテレパシーを使って事情把握も出来ないのだ。
傷を癒すにしても、病院とかに運んだ方が良いんだろうが、そもそも二足歩行のワニなんて連れていったら、珍しいって理由で即刻研究所行きだろう。そうすると、ワルインダーの情報を手に入らなくなるため当然だが却下である。
「そろそろワニを食べないと死ぬぜ!」
「食うの? ねぇ食うの!?」
「冗談に決まってるだろJK」
キレそう。コイツ、人が真面目に考えている時に……でもランはアクロコは見たことあっても《ref》第二話にて「ワニが現れてからみんな突然動かなくなって心配した」とランが言っていた事が判明している《/ref》、魔法少女との因縁はあまり知らないのだろう。ならワニを食べたいと冗談を言うのも理解は出来ないな、うん!
「まだ安静にさせた方が良いだろうし、誰かの家で一時的に保護するか」
「先に言おう。オレの家はちょっとした事情でペット禁止だ」
「事情?」
家族がペットを飼うのを禁止しているのだろうか。それとも、マンションに住んでいてそこの決まりで禁止されているのか。
「実は小3の時にニシキヘビを飼ってたことがあってな」
「ニシキヘビ」
ニシキヘビとは、全長は大人の身長を優に越えるヘビである。ペットとして飼うのは一応許可されていた筈だが、人間を丸のみにされたと言うニュースが時折流れるほどに危険な生物でもある。
「ちょっと油断したら飲み込まれちまった事が、自力で脱出したんだが、飲み込んできた仕返しとして蒲焼きにして食べたら親に怒られた」
「ちょっと何言ってるか分からない」
化け物かてめぇ。小学生が飲み込まれて自力で脱出してる点もそうだけど、一番おかしいのは蒲焼きにしてる部分なんだよなぁ。ニシキヘビが無抵抗で焼かれるなんて無いだろうから、倒してから食ってるんだよなぁ。
「そんなことがあって、オレがペットを食べるからって理由で飼うのを禁止されたんだ」
「飲み込まれたからじゃなくて、食べたから禁止されたのかよ」
お前もそうだけど、両親もちょっとズレてるんだな。うーん、ランの家なら草加ランって言う人類最終兵器が居るから安全かと思ったけど、止めておくか。
まぁ止めておく理由はペット禁止じゃなくて、アクロコが何か粗相したら、ランに食われる可能性があるからだけど。他にも病院とか駄目だし、学校は魔法少女に見つかる可能性がある。
「なら俺の家しか無いか」
「拾ったのはオレなのに力男に押し付ける形になっちゃったな。本当に申し訳ない」
そうなると残った選択肢は俺の家だけである。アクロコを襲った奴に、匿ったのが理由で命を狙われるリスクを背負うから避けたくはあったが、選択肢が無い以上仕方ない。最悪、情報を聞いたら魔法少女達に押し付けるか。
「気にすんな。取りあえずコイツの容態は明日、学校で伝える」
その時にマホと勇子の心も読んでおくか。下手したらアクロコの事を何も知らなくて情報を得られないかもしれないが、まぁ二人が犯人じゃないと知れるだけでも、アクロコを押し付けても安全となるので、充分な情報となるだろう。
「じゃあまた明日~」
「またな~」
アクロコの件はそこでお開きとなり、俺はランを玄関まで送って再びアクロコの容態を見に来ると、既に傷が塞がっていた。
え、なに。俺があんなにリスクとか匿う場所考えてた時間無駄だったの? つーかコイツ回復力高すぎだろ、誰だよ回復力高くてもマトモな治療してなかったら殆ど回復しないなんて言った奴は……そうだよ俺だよ!
「はぁ、寝よ」
さっきまでの努力が無駄になったと知ると、ドット疲れが押し寄せてきて俺はベッドにダイブしてそのまま寝るのであった。
ラン視点が無いので分かりにくいですが、ランとしてはアクロコを「フリフリした服装した人にやられた不審者」として考えてます。もっとマトモな感想あるだろオメー
あとラン視点を書かないのは、単純に書けないからです。あんな8割ネタ台詞で構成されてる奴の視点なんてどうやって書けばエエねん。




