第12話 私の友達を狙う敵が最終局面な件だよ!
「行くワニ!」
アクロコはその言葉と共に、一目散に河川敷に潜っちゃった。さっきのように突撃してくるのかと思っていたから、予想外の行動に思わず固まったけど、警戒は続けている。
そこから10秒ほど経ったけど、アクロコが河川敷から一切出てこなくて不審に思っていると何か変な音が聞こえてきた。なんだろうこの音、河川敷から聞こえてる?
「この音はなんですかね?」
スカイブルーにも聞こえているようで、私の空耳じゃないようだった。風を切るような、扇風機が回っている音に近いね。
「ッ! スカイレッド!」
「もう遅いワニ!」
アクロコが何をしようとしてくるかスカイブルーには分かったようで、私の名前を呼ぶけど、行動に移すより前にアクロコが河川敷から空中へと飛び出てきた。
飛び出してきたアクロコは体全体に水を纏っていて、それはまるで球体のようだった。仕掛けてくると思った瞬間、アクロコは空中で独楽のように回り始めた。
「『アクアロール』ッ!」
そうアクロコが叫ぶと、纏っていた水がアクロコの体から離れていき、弾丸のように四方八方へと飛んできて私たちを襲った。
「きゃあ!」
「くっ……」
私はその攻撃に当たって吹き飛ばされて、スカイブルーはかわせてはいるけど、その顔は厳しいものだった。まさか水を飛ばしてくるなんて……。
「声が聞こえるってことは、倒せなかったワニか。ならもう1度ワニ!」
「声が、聞こえる?」
私たちが体勢を整える頃には、アクロコはまた河川敷に潜っていて手が出せない状態になっていた。ワニは川に住む生物だから、川の中で戦ったアクロコの方が強いだろうし、かといってずっとここに居ても攻撃が出来ない。
どうすれば良いんだろ。いつも怪人を当てている浄化魔法をアクロコに当てる? でも元気な状態だと抵抗されて浄化が効かないってペンヨウが言っていたし、そもそも河川敷に入られたら正確な場所が分からないから魔法を当てられないよ!
「スカイレッド、1つ良い案を思い付きました」
「え、本当!?」
私がどうしようか悩んでいると、スカイブルーが案があると言ってきた。す、凄い……私、作戦なんて1つも思い付かなかったのに。テストでも高得点取っていたし、やっぱりマホちゃんは頭が良いんだね。
「はい。ただ、ちょっと無茶を押し付けるような形にはなりますが」
「大丈夫、私に任せて!」
ペンヨウ達を守る為に魔法少女として戦っている以上、無茶の1つや2つ痛くも痒くも無いよ。それに私は最近テストって言う辛い壁を乗り越えたばかりだからね。今の私に不可能は無いよ!
「ありがとうございます。では、さっきの攻撃を捌いて下さい」
「分かった……ってえええ!」
いやいやいや、それは無理だよ、不可能だよ! あんな四方八方に飛んでくるのを全て捌くなんて私には出来ないよ!
「何も全部じゃなくて良いんです。私はアクロコが攻撃し終わった瞬間を狙って懐に入り込むので、私に向かってくるのだけで良いんです」
「で、でも」
「この前も苦手な勉強を頑張っていたじゃないですか。私はスカイレッドはやれば出来る子だと信じています。だから、頼みましたよ勇子ちゃん」
「…………うん、マホちゃん任せて!」
友達にそこまで言われたらやるしかないよね。私はやれば出来る子、苦手な勉強にも挑戦出来たんだから、今回もきっと上手く行く!
私は自分の頬を両手で叩いて、スカイブルーの前に立つような形で攻撃に備える。私は攻撃を捌くだけ、それだけに集中すれば良い。あとはスカイブルーがなんとかしてくれるだろうから。
「これで終わりワニ! 『アクアロール』ッ!」
アクロコがさっきと同じように、水を纏いながら河川敷から姿を表す。そのまま回転して、四方八方へと水を飛ばしてきた。当然、スカイブルーにも飛んでくる。
1つ1つが早くて多く、パンチで落としていったら間に合わなくて、スカイブルーや私が攻撃を受けちゃうだろうけど、不思議と今の私なら防げる気がする。それはきっと、スカイブルーが、マホちゃんが私を信じているから。
そして私もマホちゃんを信じている。だから、だからこんな所で躓いたりはしない。私はマホちゃんを守る、貴方にマホちゃんの邪魔はさせないんだから!
「私は、友達を守るんだあああああ!」
私のその叫びと共に、私たちの目の前に赤くて半透明な壁が出現する。その壁は飛んできた水を弾いて、私とスカイブルーを攻撃から守った。
「え、これって……」
バリアってやつなのかな。今までは浄化魔法以外使えたこと無かったのに。もしかして、マホちゃんを守りたいって思いが通じたのかな。
「今です!」
「ぐうっ!」
アクアロールによって飛んできた水が全て無くなると、スカイブルーは陸上部で体験入部した際に学んだと言っていた、走る直前にするポーズ、クラウチングスタートをすると共に、勢いよく空へと跳んでアクロコへとパンチをお見舞いする。
「なんでワニか、ワニャアの攻撃は当たったはずワニ!」
「当たったはず、やっぱりそうですか」
「やっぱり?」
アクロコはどうして私たちが倒れていないのか不思議な様子で、一方のスカイブルーはアクロコが動揺している事に納得いった様子だった。やっぱりってどういうことなんだろう。
「アクロコ、さっきの『アクアロール』とやらを使っている時、周りの状況が見えてませんね。見えているなら、声で私たちが倒せたか判断する必要は無いですし、当たったはずとは言いませんからね」
「あっ!」
言われてみればそうだ。アクロコは「声が聞こえるってことは倒せなかった」や「攻撃は当たったはず」と言っていて、自分の目で見て確認したとは言っていなかった。
「はぁ、はぁ……バレてたワニか」
「この世界の言葉ですと満身創痍、でしたかね。この勝負、私たちの勝ちです」
「嫌ワニ! ワニャアは絶対に負けられないワニ!」
スカイブルーのパンチによって地面へと落ちたアクロコは傷だらけだけど、諦める様子は無くまた河川敷へと入っていった。同じ手は喰わないよ!
「ワニャアは、ワニャアはこんな所で終われないワニ!」
「スカイレッド!」
しかし私の予想とは裏腹に、アクロコは同じような攻撃をする事はなく、水中に凄い速さで泳いで、その勢いのまま地上へ出てきて私に突撃してきた。
予想外の攻撃と私の名前を呼ぶスカイブルー。さっきまでならピンチだったかもしれないけど、今の私は不思議と焦る気持ちが1つも無かった。
「『スカイバリア』ッ!」
アクロコの攻撃から私たちを守った半透明な壁、名付けてスカイバリアを展開して、アクロコの突進をガッシリ受け止める。
「これで終わりです!」
そして無防備になったアクロコの体目掛けて、空に跳んでいたスカイブルーが両足でキックするような形で着地をする。
「無念、ワニ」
スカイブルーの留めの一撃を喰らったアクロコは、無念と一言呟いてその場で気絶するのであった。
【アクアロール】
水の「アクア」とワニが相手を捕食する時にする「デスロール」を組み合わせて出来た名前。
デスロールとは、ワニが噛み付いた相手に対して喰いちぎるために、横回転する捕食方法。それやったらニチアサの世界から血生臭い世界になるので、纏った水を回転しながら四方八方に飛ばす技になった。
【スカイバリア】
必殺技考えてなかったな。どうしよ……あ、そういやプリキュアは一世代に一人はバリア要因がいるって聞いたな。よっしゃバリア採用だ! で決めた。
名前悩んだけど、魔法少女の名前が「スカイ〇〇」だから、それになぞって技名の最初にスカイと付けることにした。
自身の前に赤くて半透明な壁を出現させて身を守る。




