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ED.クロード・ソレル「愛という変数」

 クロードは、エレノアの加護の「真実」を知って以来、彼女を以前にも増して観察するようになっていた。

 彼の視線は、もはやデータを探るものではなく、エレノアの些細な表情や仕草を追いかける、熱を帯びたものに変わっていた。


 ある日、クロードはエレノアを誰もいない温室に呼び出した。


「……君の加護は、依然として非論理的だ。だが、その力に触れると、僕の心が揺らぐ。

 これも、君の能力か?」


 クロードは、エレノアの手を取り、自分の頬に当てる。


「君は……僕の完璧な世界を、たった一人でかき乱した。その責任を取ってもらおう」


 エレノアが戸惑っていると、クロードは彼女の耳元で囁いた。


「君の『感覚』が、僕の人生に必要だ。僕の傍にいて、僕を君の色に染めてほしい。

 君の全てが、欲しい」


 彼の言葉は、告白であり、独占欲に満ちた命令でもあった。

 彼の瞳には、これまでにない情熱が宿っていた。


「愛している。私の全てを、君の論理で塗り替えてくれ」


 クロードのキスは、完璧な制御を失い、情熱的で、エレノアの心を乱した。


 彼の完璧な世界に、エレノアという「愛」が、永遠に刻み込まれたのだ。




 クロードは、エレノアとの関係が公になってからも、変わらず完璧主義者だった。


 生徒会室での業務は、以前にも増して効率化され、彼はエレノアの能力を最大限に活用するようになった。


「この植物の最適な育成環境は、魔力濃度0.342、湿度78%だ。

 ただし、君の『心地いい』という感覚に、0.012%の誤差が生じている」


 クロードは、エレノアの「感覚」を彼の理論に組み込み、完璧な育成マニュアルを作成していた。

 彼は、エレノアの言葉を「データ」として扱うことで、彼女の能力を解析しようと躍起になっていた。


 ある日の放課後。


 クロードは、エレノアを学園の温室に呼び出した。


「エレノア。僕は、君の加護を完全に解析することができた。

 だが、一つだけ、どうしても解析できない『要素』がある」


 エレノアが不思議に思っていると、クロードは彼女を抱きしめた。


「……君の温かさだ。君の体温に触れると、僕の心が乱れる。

 この感情は、僕の理論では説明がつかない」


 クロードは、エレノアの額に優しくキスを落とした。


「君は、僕の『完璧』を乱した唯一の存在だ。そして、君がいなければ、僕の完璧は完成しない。

 僕の傍で、僕を一生乱し続けてくれ」


 完璧な理論を追い求めた天才は、エレノアという予測不能な「愛」という変数を手に入れ、幸せな日々を過ごしていくのだった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


少しでもエレノアたちの物語を楽しんでいただけたら嬉しいです。


次回は、ライエルとのエンディングが描かれる予定です。お楽しみに!


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