表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/23

18.ソフィアの想いと、精霊の帰還

 すべての準備が整い、生徒会メンバー全員が聖なる大樹のもとに集結した。

 大地の病は王国を蝕み続けており、これが最後の希望だった。


 エレノアは、大樹に手を触れ、目を閉じた。

 彼女の加護は、生徒会メンバーの協力によって強化されている。

 微かな精霊たちの声が、今、はっきりと聞こえてくる。


『……怖い……』『……戻りたくない……』


 精霊たちは、一度傷ついた大樹に戻ることを恐れていた。

 エレノアの呼びかけだけでは、彼らを動かすには力不足だった。


 その時、エレノアの隣にいたソフィアが、静かに彼女の手を握った。


「エレノア、あなたは一人じゃないわ。みんなの想いを、一つにしましょう」


 ソフィアの言葉に、エレノアは目を開けた。

 彼女の視線の先には、エレノアを信じ、共に戦ってきた仲間たちの姿があった。


「エレノア。君の力を、僕たちに預けてほしい」

 フェリックスが、真っ直ぐな瞳でエレノアを見つめる。

 彼の魔力には、王族の責務を超えた、エレノアへの信頼と、民への温かい愛情が満ちていた。


「……僕の完璧な理論では、君の力は理解できない。だが、君の『感覚』がなければ、この世界は完璧にならない」

 クロードが、初めて感情を露わに告げる。

 彼の言葉は、エレノアの存在が、彼にとって不可欠な「真実」であることを示していた。


「貴女の正義は、私の規律に勝る。この力は、貴女が思うように使いなさい。私が、盾となる」

 ライエルが、固い決意を表情に浮かべ、エレノアを守るように前に立つ。

 彼の正義は、規律ではなく、エレノアという存在を守ることになっていた。


「君の力は、僕の理論を超越した『解析不能な謎』だ。その謎の解明を、君にしかできない。

 だから、僕の傍にいてくれ」

 ノアが、エレノアの手を握りしめ、まるで告白のように独占欲に満ちた言葉を囁く。


 それぞれの想いが、エレノアの心に流れ込んでくる。

 それは、生徒会メンバーそれぞれの、エレノアに対する「愛」の言葉だった。


 エレノアは、彼らの想いを全て受け入れた。

 彼女は、自身の加護を、最大限に高めた。


「精霊さん……私たちは、ここにいます。みんなの『想い』が、あなたたちの温かい『家』です!」


 エレノアの言葉に、生徒会メンバーの魔力が呼応する。

 フェリックスの希望の光、クロードの完璧な調和、ライエルの規律の盾、ノアの真実の解析……そして、ソフィアの友情。


 彼らの力が一つに束ねられ、エレノアの加護に流れ込む。


 大樹が、まばゆい光を放ち始めた。

 その光は、王国中に散らばっていた精霊たちを優しく包み込み、大樹へと導いていく。


「……ああ、聞こえる! 戻ってくる!」


 エレノアの耳に、精霊たちの喜びに満ちた歌声が響き渡る。

 大地の病は癒え、枯れていた植物が次々と生命力を取り戻していく。


 この日、ユニティ魔法学園の名は、王国中に響き渡った。


 エレノアは、生徒会という「乙女ゲーム」のような日常の中で、それぞれのキャラクターが持つ魅力に触れ、彼らと「ユニティ」を成し遂げた。


 彼女の平々凡々な日常は、もうそこにはなかった。

 代わりに、彼女の傍には、かけがえのない仲間たちがいた。


 この物語は、今、ようやく本当のプロローグを終えたのだ。





 エレノアは、生徒会メンバーに囲まれながら、夜空に輝く満月を見上げていた。


「これで、もう畑仕事、しなくていいんじゃない?」


 ソフィアが優しく尋ねると、エレノアは笑って首を横に振った。


「いいえ。みんなで育てた作物は、きっともっと美味しいから」


 その言葉に、生徒会メンバー全員が、優しい笑顔を浮かべるのだった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


少しでもエレノアたちの物語を楽しんでいただけたら嬉しいです。


次回は、閑話を挟む予定です。お楽しみに!


感想やお気に入り登録をいただけると励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ