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13.こっそり相談してもいいですか?

 生徒会室での会議を終えたエレノアは、心臓が痛むほどの重圧を感じていた。


 王国全体を蝕む「大地の病」。

 そして、その唯一の解決策が自分の「加護」に懸かっているという事実。


 フェリックスたちは彼女に期待を寄せているが、彼らの期待が重くて、押しつぶされそうだった。


「……ソフィア」


 放課後、人通りのない校舎裏のベンチで、エレノアはソフィアにだけ、すべてを打ち明けた。


「精霊の声が、聞こえなくなってきているの。昔はもっとはっきり聞こえたのに……」


 彼女は、自分の加護が弱まっていること、そしてその原因が、この「大地の病」にあることを話した。


 ソフィアは、エレノアの手を握りしめ、静かに耳を傾けていた。

 彼女は驚くことなく、エレノアの言葉を信じてくれた。


「……私に、何ができるかな?」


 エレノアは、涙をこらえながら呟いた。

 自分の力が、王国を救うにはあまりにも小さく、頼りなく感じられたのだ。


 ソフィアは、エレノアの不安を理解し、冷静に思考を巡らせた。


「ねえ、エレノア。あなたの加護は、『共感』に似ているって言ってたわよね?」


 ソフィアは、生徒会書記として学園の歴史を学んだ知識を活かし、エレノアの能力を分析し始めた。


「古文書によると、過去に似たような現象が起きた時、王族の魔力と大地の精霊の力が、共鳴して回復したとあるわ。

 でも、あなたの加護は、魔力とは全く違う『精霊との対話』の力でしょ?」


 ソフィアは、エレノアの不安を和らげるように、優しく続けた。


「あなたの力が弱まっているのは、精霊たちがあなたに『助けを求めている』からかもしれない。

 あなたを通して、精霊たちの声を聞いてほしいって」


 ソフィアの言葉に、エレノアの心に一筋の光が差し込んだ。


 彼女の力は、消えかけているのではなく、むしろ、精霊たちからの「SOS」を、誰よりも強く受け取っていたのだ。


「……ソフィア、ありがとう」


 エレノアは、ソフィアに抱きついた。

 誰にも言えなかった不安を共有することで、彼女の心は少し軽くなった。


「エレノア、あなたは一人じゃないわ。生徒会のみんなもいるし、私もいる。

 あなたの声は、私たちがみんなに届けるから」


 ソフィアは、エレノアの背中を力強くさすった。


 彼女は、エレノアの「加護」と、生徒会メンバーの「魔法」を繋ぐ、重要な橋渡し役となることを決意したのだ。


 二人の友情が、王国を救うための第一歩となった瞬間だった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


少しでもエレノアたちの物語を楽しんでいただけたら嬉しいです。


次回は、フェリックス王子との絆が深まる場面が描かれる予定です。お楽しみに!


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