6 顔合わせ(3)
案内された先では、誰かが横になっていた。
「ここは、アルヴィスの寝室だ。」
公爵にそう言われたティナリアは、ギョッとした
(なんでいきなりそんなとこに……ということは横になっている人物はアルヴィス様ってことじゃないか)
銀髪碧眼、確かにアルヴィスの特徴である。
そんな事を考えているうちに、公爵がアルヴィスに声をかけ、アルヴィスはむくりと起き上がった。
「その方が、新しい婚約者なんですか」
そう言ったアルヴィスは、何処か不満そうだった。
「お初にお目にかかります。フィール伯爵家が長女、ティナリア・フィールと申します。」
と、ティナリアは綺麗なカーテシーをした。
だが、先ほどのアルヴィスの言葉を聞いたティナリアは、表情には出さなかったが内心では
(ヤバいヤバいヤバいヤバい……嫌われて婚約破棄とかマジであり得るか、あり得ちゃうのか)
とめちゃくちゃ焦っていた。
(嫌われないためにやることは……なんだ、なんなんだ)
必死に考えていたティナリアは、ふとアルヴィスの顔を見て思いついた。
(これ、前世の知識と魔法使って、病気治せないかな。そんで、私の有用性しめせれば、婚約破棄されて、伯爵家にかえることできなきても、くいぶちくらいならなんとかなる?)
そう考えついたティナリアは、善は急げとばかりに行動に移した。
「ランチェスター様は、どのような病気なのでしょうか?」