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5 顔合わせ(2)

公爵家の前では、執事と思われしき人物が立っていた。まずは、その人に声をかけなければならないのだが、ここで問題があった。

ティナリアは、重度の「社交不安症」なのだ。


「社交不安症」とは、またの名を「対人恐怖症」と呼ばれる。前世では、立派な精神的な病気の一つなのだ。日本人だとただの恥ずかしがりだと捉えられやすいが、立派な病気だ。ティナリアの場合、自分から話しかけることや人に見られていると感じたり視線を合わせることがだめだった。


 そんなティナリアを見かねたのか執事と思われる男性が声をかけてくれた。

「本日顔合わせをするフィール伯爵家の方でしょうか?」

ティナリアは、これ幸いとばかりに

「はい。フィール伯爵家のティナリア・フィールと申します。」

と答えた。自分からティナリアは話しかけることは苦手だが、話しかけてもらえればきちんとした受け答えはできるのだ。

男性は

「失礼致しました。ランチェスター公爵家の執事長のラルフと申します。どうぞ、こちらに」

と言って先導してくれた。


案内された先は、公爵家の応接室だった。そこには、ソファに座った公爵夫妻がいた。


(おやっ、アルヴィス様らしき人は居ないな。それほど体調が悪いのか?)

とティナリアは、これからのことに付いて少し現実逃避していたが、そうもいかない。

「今日は、君一人なのかい?」

公爵に開口一番にそう言われ、ティナリアは現実に引き戻された。

「はい、父が公爵家の方々との顔合わせに同席しておらず、大変なご無礼を申し訳ございません。」

ティナリアには、正直に謝る以外の手はなかった。

「いや、良いよ。………伯爵家は本当に噂通りかもしれないな」

ティナリアは、公爵が最後何を言っていたのか聞き取れなかったが、許してもらえたことに大変安堵していた。

「それより、こちらもアルヴィスが居なくてすまないね。」

「いえ、こちらが先にご無礼を働いているので……それに、体調が悪い方にわざわざ同席していだだくのも申し訳ないので」

公爵夫妻は、ティナリアのその返答を聞いて何処か満足そうにしながら

「付いておいで」

と言って何処かに先導しだした。





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