3 ティナリアの才能
ティナリアには、前世の記憶があった。
ティナリアは、前世では、読書と音楽鑑賞が趣味だった。まぁ、趣味がインドアだったためか、本人の本質かは、分からないが休日は基本的に家から出ない引きこもりだった。読書では、ラノベを多く読んでおり、音楽鑑賞もクラシックなどではなく、ボカロやアニソンばかり聴いていた。そのため、転生した当初は、物語を読んだり、音楽鑑賞もしてみたが、この世界の物語はありきたりすぎてあまり面白くないし、ボカロやアニソンなど現代の音楽もあるわけがないためすぐに飽きた。幸い、前世では友人の影響で薬や薬草に興味があったためそのような本を読んでいたが、数年もすれば、家にあった本はすべて読み尽くしてしまった。
そんなティナリアは魔法があることを知ると、飛ぶように喜んで、魔法を勉強した。
ここで、ティナリアには嬉しい誤算があった。
それはティナリアの、カメラアイと呼ばれる特殊な記憶能力とティナリアの魔力量が馬鹿みたいな量だったことだ。ティナリア自身正確に測定していないため知らないが、ティナリアの住んでいるディルナ王国内でも五指に入るほどだった。
もともと、前世の記憶のおかげで、成人並みに賢かったティナリアは、魔法の天才だった。それだけでは、飽き足らず、前世の知識を使ってさまざまな魔法を編み出した。そのなかには、世紀の大発明と言われてもいいものもあったが、ティナリア自身は、継母や父親に知られれば、道具のように扱われるか権利を奪われると思ったため信頼できる執事長のトーマと侍女のエマにのみこっそりと教えた。なので、フィール伯爵家で、ティナリアの才能を知っているのは、2人だけだった。
そんなティナリアは現在、自室で
(婚約しても、魔法の研究は続けたいなぁ)
と呑気に考えていた。




