2 侍女
ティナリアは部屋に戻ると、ベットにダイブした。
ティナリアの部屋は、ボロボロな物置部屋だ。
それでも、埃はなくきれいに片付けてある。ティナリアは、父親をはじめとした異母妹や継母には嫌われていたが、使用人たちには、とても慕われていた。
そこに、コンコンとドアをノックされた。
「ティナリア様入ってよろしいでしょうか」
次に聞こえてきたのは、ティナリアの侍女であるエマの声だ。
「良いわよ」
ティナリアが返事をすると、
「失礼します」
と言ってエマは、ドアを開けて入ってきた。
「いつも、入室の確認なんてせずに入っていいって言ってるのに」
とティナリアがめんどくさそうに言うと、エマは至極真っ当に
「主であるティナリア様に許可をもらわずに入るなどできません」
と真顔で返すのだ。
「エマ、あなたの雇い主はあの父親でしょ」
ティナリアが言うと
「なぜそんなことを言うのですか?アレは私の主ではありません。私の主はティナリア様です」
そんなことを言ってくる。いつもと変わらないエマのようだが、何か雰囲気が違う。
「エマ、何か怒ってる?」
ティナリアが聞くと
「当たり前ではないですか。あのゴミ勝手にティナリア様の婚約なんて決めやがったのです。しかも、あの噂の相手ですよ。ふざけてんのかと思っています。」
予想以上にキレていた。めちゃくちゃ口が悪い。
「そうでもないとは思うけど。だってあの父親たちのことよ荷物まとめて出ていけとか言いそうじゃない?そうすれば、あのクズな父親とも暴力女たちともおさらばよ。」
「確かに言いそうですね。まあ、その点だけ見ればありがたいですね。ですがやはりあの噂は……」
エマは噂が気になるようだ。
「エマ、噂だけで判断するものじゃないわ。それに、私はさまざまな本の知識があるわ。そのなかの知識が使えて治せるかもしれないし」
「そうですね。ティナリア様は、知識が豊富ですし」
(まぁ、私の知識の情報源は、それだけじゃないんだけど)
「あっ、出ていく場合私も連れて行ってくださいね。絶対、ずぇ~たいですよ。」
「ふふっ、分かっているわ」
「まぁ、もしだめって言われても勝手に、付いていきますが」
「私がエマを置いていくわけないわ」
そうして、2人は笑い合ったのだった。




