14 商会作ろうぜ(2)
長くからなりすぎたので、ふたつに分けました。
「販売する商会はね、今から作ろうと思って。」
「ふぇ?」
驚きすぎてティーカップを落としそうになるティナリア。
そんなティナリアを見てクスクス笑うアルヴィス。
「ふふふ、可愛い反応だね。驚いてくれて嬉しいな。まぁ、前から思ってたんだ。ティナリアは、たまにうちの領で人気のない特産物なんかの販売方法を教えてくれるからね。」
「で、出しゃばりました。」
一般的に貴族の女性が前に出すぎるのは、あまりよく思われない。たが、ティナリアはたまに前世の知識を使って口出ししてしまうのだ。
「そんなことないよ。おかげでうちの領は潤っているからね。」
(それに、ティナリアの才能を知る人間は、少ない方がいい)
「それでティナリア、やってみないかい?」
「や、やらせていただけるのなら、是非。」
「引き受けてくれてありがとう。それはそうと、ティナリアさっきから呼び方が違うよね。」
「えっ!?い、今気づきました。」
「ふふふ、いいよ。その代わり、次からアルって呼んでくれなかったら、キスしようか。」
「ふぇっ!?キ、キ、キスですか?や.....え....ちょっと」
ティナリアは男と付き合ったことは無い。
なんなら、前世では、趣味に全力を注ぐ喪女だったのだ。
そういうことに関して免疫がないのである。
顔を真っ赤にして、慌てるティナリアにアルヴィスは更なる追撃をする。
「僕とのキスは、嫌?そうなら悲しいな。」
そう言って悲しそうな顔をするアルヴィス。
「い、嫌というわ、訳じゃな.....なくて、そ、その
は、恥ずかしくて........」
羞恥心で、だんだんしりすぼみになっていくティナリアの言葉に、悲しそうな顔から一変ニコニコとした笑顔のアルヴィス。
「そうかい、嫌じゃないのなら良かった。なら、キスしても、問題ないよね。」
「えっ.....そ、それとこれとは別問題じゃあ.....」
「問題ないよね。」
笑みを深めて繰り返し聞くアルヴィス。
「は、はい。」
ティナリアは、アルヴィスの笑顔の圧に屈した。
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後日、ルーナ商会と名付けた商会は、王国一の大きな商会になり、ティナリアは情けない悲鳴をあげるのだった。