11 アルヴィスの治療
ちょっと長めです。
あれから数日後、やって来ました公爵家。
イェーイ、パフッパフッ
なんて、気分ではない。そもそもティナリアに公爵家にお招きされて、テンションが上がることなどない。緊張しっぱなしである。
だが、無理やりでもテンションを上げないとやってられない。
今日は、アルヴィスの病気の治療?(治療と言っていいのか分からないが)のためにやってきたのである。
公爵家に入ると、公爵夫妻は歓迎してくれた。
「よく来てくれたね、フィール嬢。アルヴィスのこと頼むよ」
「お招きありがとうございます。頑張らせていただきます。」
優しい人達である。アルヴィスは、やはり半信半疑といったところだが、前回よりましだ。
「えぇっと、ランチェスター様の症状をもう一度教えていただいてもよろしいでしょうか。」
「婚約者なんだし、フィール嬢。アルヴィスと呼んだらどうだ?」
「ふぇっ」
公爵がいきなり提案をしてきた。
「あら、いいわね。ランチェスターじゃ誰を呼んでるか分からないもの。アルヴィスもいいわよね。」
公爵夫人もノリノリで、アルヴィスに聞いた。
「.....わかりました」
アルヴィスもしぶしぶと言った感じだが、了承した。
「え、えぇっと」
「そうだ、フィール嬢っていうのも寂しいし、ティナリアちゃんって呼んでもいいかしら?」
「えっ、あ、は、はい。」
何故か自分の呼び方まで聞かれてしまった。
「義娘になるんだもの。よそよそしい感じじゃあダメよね。私の事は、お義母様って呼んでちょうだい。この人のことは、お義父様でいいわ。さ、アルヴィスの方進めましょ。」
全て公爵夫妻の、特に夫人のペースでいろいろ進んでいった。驚きのコミュ力である。
「アルヴィスの症状だったね。アルヴィスの症状は、頭痛にめまい、腹痛に吐き気などがあったね。他にもあるかい?アルヴィス。」
「あまり眠れないこともありますね。」
「なるほど、めまいは、起き上がった時や湯浴みが終わった時などではないですか?」
「ええ、まぁ」
「なら、水分を多めにとってください。それと、塩を周りより少し多めに、えっと、1日に5gほど人より多く、それでも良くならない場合はめまいに効く薬を飲んでください。ほかの症状には、基本的に症状にあう薬を飲んでください。」
「それだけか?」
「あとは、体力を落とさないために散歩などの軽い運動でしょうか。」
「そんなのでいいのか?」
「基本的にこの病気には、決まった治療方法はなくて、対処療法なんです。あっ、あと前に起き上がることを考えただけで、体調が悪くなることがあるって言われてましたよね。それは、ストレスが原因で、体調を崩してるんです。ストレスの対処法も少し知っているので、おしえますね。」
こうして、この日は終わった。