10 異母妹の怒り
ブクマや高評価ありがとうございます。
暑い日が多いですが、皆さん熱中症にお気をつけて。
伯爵家の玄関ではティナリアの異母妹のカティアナが待ち構えていた。
そして、ティナリアを見るなりわ怒りの形相で怒鳴りつけた。
「なんで、なんで、なんで、あんたなんかが私のドレスを着るのよ。そのドレスは、お気に入りだったのに....あんたが着たせいで汚れて、もう着れないわ。どうしてくれるのよ。」
ティナリアが着てしまったのはドレスは、カティアナのお気に入りだったらしく観劇に行ったので、多少怒りは収まってないかなと思っていたティナリアの予想ははずれてしまった。
基本的にカティアナは、1度着たドレスは着ることがないが、ごく稀に気に入ったドレスを2、3度着ることがある。
ティナリアが今着ているドレスがそれだったようだ。
父は、カティアナが1度着たドレスは着ないことを知っているため、このドレスにしたのかもしれないが、
カティアナを怒らせる結果となった。
まぁ、あのカティアナだ。着ていないドレスを着ても、どっちにしろ怒っていたのかもしれないが、お気に入りのドレスを着てしまうよりかは、まだマシだったかもしれない。
(はぁ....あの父親を呪いたくなるな....めんどくさい)
めんどくさいが、ここでそれを言う訳にはいかない。
言ってしまえば、あの父親からもグチグチ言われるし、カティアナに反抗してもいい事などないのだ。
「ごめんなさい、カティアナ。あなたのお気に入りのドレスだとは、知らなかったの。」
「知らなかったじゃないわよ。」
そう言うと、カティアナはティナリアに大股で近づき、ティナリアの頬を叩いた。
叩かれたティナリアは、その勢いのあまり倒れてしまった。さすがに使用人達もざわめき、それを聞きつけた父親や義母がやってきた。
「どうしたんだい、カティアナ。そんなに怒って。」
「お父様。やっぱりお気に入りのドレスをお義姉様が着たことが私許せなくて....」
「そうかい、そうかい、ごめんなカティアナ。父さんも、あんなのにドレスなんか着せたくなかったんたが...そうだ、新しいドレスを作ろう。カティアナの好きなようにオーダーメイドするといい。」
「本当!!ありがとう、お父様。」
茶番劇である。今まで何度同じようなことがあったか。そして、この後の言葉もお決まりである。
「お前は、夕食は抜きだ。部屋でカティアナを怒らせたことを反省しなさい。」
(怒らせる原因作ったのお前だろっ!!!その理屈ならお前が夕食抜いて、部屋で反省しろよ。)
まぁ釈然としないが、いつものことだ。
ティナリアは疲れていたので部屋に戻って、すぐに寝てしまった。