9 今後のこと
ティナリアは、帰りの馬車の中で悶々としていた。
(すぐに婚約破棄はされなかったけど、あの様子じゃあ信用されてないし、今後の言動次第ではされるかもしれないわね)
今日だけでも散々やらかしてしまった。アルヴィスは、婚約者ができることも嫌そうな様子であったし、病気の説明をしたティナリアを胡乱げな目で見ていた。だが、アルヴィスは公爵家の子息として育てられてきた人だ。初対面の人間をすぐに信用などしないだろう。
(まず、信用しでもらうためには、病気を治すことよねぇ。)
だが、ティナリアはアルヴィスに信用されていない。治す方法や症状にあう薬を伝えたところで、アルヴィスが信じて実行してくれるかというと、怪しい。
(最悪、公爵夫妻を説得すればいけるか?)
だが、きちんと症状を把握しなければ、どの薬がいいかなどわかるはずもない。それに、1つの症状でも薬の合う合わないや飲み合わせの問題もある。
(漢方は結構効くし、欲しいなぁ。あと、漢方私より詳しい人も)
この世界にも漢方があることは、本で読んだためわかっている。だが、入手するつてがない。
(困ったなぁ...まぁこの国にある薬でできることやるしかないかぁ)
そうしているうちに、馬車はフィール伯爵家に着いた。今日はもうベッドで寝てしまいたいが、そうもいかない。ティナリアは、これから起こる面倒事に今日何度目になるか分からないため息を吐いたのだった。