8 アルヴィスの病気(2)
遅くなりました
「起立性調節障害?とはどんな病気なんだい?」
「アルヴィスは治るの?」
公爵は、聞いたことがないという感じでティナリアに聞いた。
公爵夫人は、不安のようだ。
ティナリアは、それを聞いてまあ、そうだよなと思った。聞いたことがないのは、当たり前だ。前世でもこの病気を知っている人は、ティナリアの周りにもあまりいなかった。
なので、ティナリアは丁寧に説明した。
「この病気は、10歳くらいから13歳くらいの時期に発症しやすい病気です。とある国では、13歳から15歳の10人に1人は発症するようです。そしてこの病気は、18歳ぐらいには、完治します。」
ティナリアの最後の言葉を聞いた公爵夫人は、安心したように息を吐いた。
「原因はさまざまですが、主な原因は自律神経という神経の乱れだったり、体質や遺伝的なものだったり、生活習慣の乱れや精神的なストレス、あとは、思春期と呼ばれる時期にホルモンバランスが乱れることですね。」
ここで、今まで黙っていたアルヴィスが口を開いた。
「なぜ君が、公爵家の医者でさえ知らなかった病気を知っている」
そう言ったアルヴィスは、とても疑わしげだった。
ティナリアは、焦った。流石に、「前世の記憶があるんです。」なんて、言えない。そんなことを言った日には、変人扱いだ。
「それは...わ、私の趣味で薬草学にはまってまして、薬草を調べるうちに病気のことまで詳しくなってですね......」
流石に苦しいかと、思いながらもこれ以外にティナリアに言い訳は思いつかない。ここで、思わぬ助け舟が出た。ティナリアの侍女であるエマだ。
「失礼を承知で、発言よろしいでしょうか」
「ああ、いいよ」
公爵が許可を出した
「ティナリア様は、大変聡明であられます。それをたかが公爵令息ごときが...」
「わぁぁぁぁぁぁぁ」
エマの言葉をティナリアは遮った。
(何を言い出すんだこの侍女は...)
こんな問題発言不敬罪で一発アウトである。なんなら、連帯責任でティナリアの首まで飛んでしまう。前世の年齢より早く死ぬのはごめんだ。ティナリアは、勢いよく頭を下げた。
「も、申し訳ありません、私の侍女がとんでもない暴言を...」
「いやいや、大丈夫だよ。こちらにも非があるからね。」
公爵は笑って言ってくれた。なんて、優しい人だろうか。今日1日で疲れたティナリアは公爵の優しさに感動したのであった。