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聖女はギャル!  作者: 如月冬香
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七話 聖女の舞

 「え、えええぇぇ‼︎」

と、現在、聖女様ことチユは叫んでいる。そして、僕と、僕の師匠キーラの舞っている動きが止まる。部屋がシーンと静かになった。何故こんな状況になったのか、それは少し前まで遡る。



 やっと舞を教えることになり、まずはキーラが手本として舞うことになった。

「師匠、本当に舞えるの?見たことないけど……。」

そう、僕が言うと師匠は、ふふふと気持ち悪い笑いを浮かべ、

「こんな事もあろうかと、過去の文書と睨めっこしたり、我が家に伝わる舞を思い出したりしてここ数年、沢山練習したのさっ!」

「マジか!」

と、チユはおぉ〜と手をぱちぱちしている。

「やっぱり俺が選ばれてると思ってたんだよ……血筋的に近いしまぁ、魔導士だしね。はー、本当に練習してて良かった。」

と、師匠がボソッと言っている。多分チユにも聞こえているのだろう、そりゃ大変だと言っている。師匠は準備してくるねー、と部屋を出ていった。

「……師匠って相変わらず心配性だな。」

と、僕は呟くとチユは不思議そうに頭を傾ける。

「そうなん?」

とチユの方言でなまった言葉で聞き返す。これは、チユの国の言葉なのだろうか。と前に聞くと、そうだと言っていた。

「あぁ。プレッシャーに弱いタイプだからか、準備も凄い勢いで色々するんだよ。だからか、本番は完璧。」

 僕は昔のことを思い出す。あれはそう、遠征に魔物を討伐をする為に魔導士も行くことになり師匠が任命された時のことだ。

 師匠は最近は魔石の研究に励んでいた為、久しぶりの遠征ということもあり張り切っていた。僕はそんな師匠に

「師匠、頑張ってください。」

と伝えると、急に顔を青くして、

「や、やめろー!俺に期待をするんじゃない‼︎」

と叫び出した。あの時は、謙遜しているのかな?と思っていたのだが……ガチでそう思っていたらしい。なぜなら聖女と魔導士の子孫だからか期待がすごく失敗は許されない。本人は相当プレッシャーだったのか、当日まで部屋から出なくなった。大丈夫かと心配していたのだが、結局遠征で成果を上げて帰ってきたのだった。

「なんだ、師匠そんなに焦らなくてもよかったんじゃないですか。」

そう、僕は帰って来た師匠に言うと師匠は、いや〜と頭をかきながら、急に真顔になって、

「いや、本当にあの魔術とか、アレとかアレとか……練習して良かった。あの魔石も持って行ってて良かった……。」

と呟いていた。なぜ部屋に引きこもっていたのか聞くと、不安すぎて何かあった時の魔石作りやら魔術の練習やらを必要以上にしていたらしい。そんな話をチユに話す。

「成程ねー、でもそうやって頑張れるのって凄くね?」

「あぁ、まぁ尊敬している。」

そう話していていると、

「何の話をしてるんだいー?」

と、準備が終わった師匠が戻って来た。

「別に、なんでもないですよ。」

「えっ?えっ?俺の話だったりする?気になるぅ!」

と、目をキラキラさせて来たのでめんどくさくなって話を変える。

「もう、いいですよ、早く舞って下さい。」

そう言うと師匠は渋々頷く。ちなみにチユは、あっら〜?照れてんの〜?とニヤニヤした顔で僕をつついていた。


 師匠は、刀を手に持ち動きやすい格好をしている。そして、師匠は鞘から刀を出し静かに舞い始めた。

 最初は目をキラキラとさせ見ていたチユだったが、途中から、

「ん?え?……ん?」

と、難しい顔をしている。やはり舞うのは難しいだろうか。そう思っていた矢先ことだった。舞が途中まできた時、


「え、えええぇぇ‼︎」


と、冒頭とに戻る。

 急にチユが叫び出す。そして、周りの空気が止まる。シーン……と文字が浮かび上がるぐらい静かになる。僕はその場にそぐわずシーンって誰かが考えた言葉なんだっけ、と考えていた。それほどびっくりするぐらい静かだったのだ。

「えと、チユ様?何かあったのかい?」

そう、師匠の戸惑った声が聞こえる。こんなに大きな声で叫んだんだ。何かあったのかと僕も心配になる。するとチユは、

「やっばぁーーい!」

と、笑っている。……さっきの緊張感はなんだったんだ!と、少しだけど思った。少しだけ。

「何がやばいの?」

すると、こっちをガバッと向き言った。

「この舞、私知ってる‼︎これ、禾舞いねまいだ‼︎」

と、またまた叫んだ。

「これ、小さい頃舞ったことある!中ニか中三が本来舞うんやけどちびっこなんちゃら?ってやつで通ってたんよ!」


と、いうことは……、とキーラと僕は目を合わせる。中二とか中三とかは分からないが、

「チユはこの舞が出来るってこと?」

「チユ様はこの舞が舞えるってことかい?」

と、二人の声が合わさる。


 チユは自信満々に頷いた。

「勿論‼︎」


 そして、勿論!と自信満々に言ってから三十分後、見事に舞え……なかった。


「……。」

「……。」

「……。」

 三人が無言になる。因みに、チユは壁に顔をつけて俯いている。心なしか耳が赤い。

「……一から教えようか。」

そう、師匠は言う。

「よっよろしくお願いします……。」

と、こちらを向く。と言っても体だけであって頭はまだ俯いたままである。僕は堪えきれず、少しクスッと笑ってしまうと、チユはガバッと顔を上げ、

「わ、笑わんでよぉ〜!ちっちゃい頃、舞ったことがあるから体が覚えてるかな〜って、漫画……物語みたいに神秘的〜!みたいになるかなって思ってたのに!全然覚えてなかった〜‼︎」

 うわーん、と頭を抱えるチユを見て、師匠もたまらず笑い出してしまった。そして僕も爆笑してしまう。それを恨めしい目でチユは僕たちのことを見ていたのであった。



 それからというもの、舞の練習前に、この世界についての勉強、そして舞を師匠に一から教えてもらう毎日が始まった。といっても流石に小さい頃に舞ったことがあると言う事もあり、上達は早く、たったの二週間で舞えるようになった。歴代聖女様の中でも、元々舞える者もいれば全然舞えなかった人もいた為、全然舞えなかった人に比べればとても早いと言える結果だった。後日、

「ほらね!ちゃんと舞えるんだから!」

と、何故かチユは自信満々に僕の前で仁王立ちになって言っていたので、僕はまた爆笑したのであった。


最近は水曜日に投稿していたので今週もその予定だったんですけど、今週は色々重なり、一日遅れです。

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