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聖女はギャル!  作者: 如月冬香
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四十九話 揺れ動くチユの気持ち

私は今、非常に悩んでいる。しかもこの悩みは中学生以来していなかったものだ。そう、その悩みとは恋というものである。

 恋とは異性に愛情を寄せることである。中学生の時にスマホで調べた。

 何故、その恋について悩んでいるかというと、私がレンに恋をしているかもしれないからである。

 あの日、星を見た日、レンはツルさんにキスをされていた。まだ口じゃなかっただけマシだったが、あの時、私は「嫉妬」をしていたのだ。最初は混乱し「星が綺麗だね〜。」とか言って誤魔化した。嫉妬なんてしてない事にした。だが、馬車の中で冷静考えると、やっぱりどう考えても嫉妬していたのだ。それも恋愛の方で。

「はぁ……。」

 私は一人部屋でため息をつく。私には思い人がいる。それは同じ中学校で、彼氏の柚木蓮くんだ。だが、彼は今意識不明で、入院している。そして私は今異世界にいる。もう会えないかもしれない。でも、それでも私は柚木くんに会いたい。

 それだというのに、私はレンに恋心を抱いてしまった。

 最初は見た目がそっくりだった。柚木蓮と瓜二つだったのだ。だから私は最初にレンと出会った時、名前を言った。半分、柚木くんじゃないかって期待して。そして見事に名前を当てることに成功した。だが、同じ名前のレンでも、違う人なんだってすぐに分かった。何故なら、私を見る目が全然違ったのだ。

 だが次第にレンは異世界にきて不安だらけだった私の心を癒して、そして助けてくれた。きっとそれで私はどんどんレンに惹かれてしまったのだろう。それともう一つ、レンといると柚木くんのことを思い出してしまう。

「きっと私はレンに柚木くんを重ねてしまっているんだろうな。」

 そう無理やり結論づけて、部屋を出る。国王様に会いに行くためだ。するとレンが迎えにくる。レンを見た瞬間、また私は避けてしまった。

「ど、ドニーが着いてきて。レンはゆっくりしてね!じゃっ!」

 やってしまった。やっぱり私はレンのことが好きなのかもしれない。でも、この感情はどうしたら……。

 私はこの後もレンを避け続け、東の国に向かうのに二週間が切った頃、私の元にアーサーとアイラがやってきた。

「アーサーと、アイラ?どうしたの?」

 するとアイラはアーサーをチラ見する。するとアーサーは苦笑しながら入っていいかい?と私に聞いてきたので、私は部屋に入れた。

「で、何のご用で?」

「最近、レンのことを避けているらしいね。どうかしたのかい?」

 今一番触れられたくない話である。私は、ゔっ!とカエルが潰れたような声を出してしまう。これはアーサーが怒ってる⁉︎そう思い。私は恐る恐るアーサーを見る。アーサーはニコニコしている。やはりこの話をしなければならないのだろうか。アイラも心配そうに私を見ている。

「最近、レンに対する気持ちに整理がつかなくて……。私、好きな人がいるの。柚木蓮って言うんだけど、レンがその人に似てて……、私好きな人にレンを重ねているのか、それともレンのことが好きなのか、分からないの。」

「そうだったのですね……、チユ様……。」

 アイラが複雑な表情をする。私は苦笑いして言った。

「この前、星をレンと見たのは、柚木くんと星を見に行ったのを思い出したからだったのに……、こんな気持ちになるなんて。」

 するとアーサーは、何かに気づいたような顔になる。そして、いくつかの質問をし始める。

「似てるって、顔とかがかい?」

「う、うん。顔だけじゃなくて、声も、身長も、喋り方も……。」

 すると、アーサーは信じられないといった顔をする。流石のアイラも心配なようでチラチラとアーサーの方を見ている。

「その大切な人は、チユ様がこの世界に来る前、どんな様子だった?」

 その質問はアイラが代わりに答えてくれる。私はそれに頷く。

「その大切な人は、意識がないのですよね。」

「そう、もうだいぶ前だけどね、一年前くらいに何もないところで倒れて今も眠ったままなの。特に異常はなかったのに。」

 アーサーはまだ質問も続ける。私は戸惑いながら答える。

「……チユ様、その金髪の姿の前は黒髪だったのですよね。」

「そう、黒髪のロング……だったかな。」

 すると、アーサーは一息置いて話し始める。急にレンの話を。

「まさかとは思うけど……、レンは僕と出会った頃より前の記憶がないんだ。どこから来たのか、自分はどんな人だったのか、唯一覚えていたのはレンという僅かな名前だけ。気づけば森にいて、キーラに拾われたそうだ。」

 急にそんな話をし始めて戸惑う。話が見えない。ただただ、そんな過去があったのだと驚くばかりである。丁度太陽が雲に隠れて私の部屋は暗くなる。

「レンはよく夢を見るようだ、自分を呼ぶ黒髪の女の子の声。でも、顔はよく見えないそうだ。でも、この前星を見た時、少し思い出したようだ。」

 その思い出した記憶は、その黒髪の少女と星を見に行ってその少女に、

「星が綺麗だね。」

 と言われたこと、そしてその星は大きくて暗い部屋で見たそうだ。

 それを聞いた私はあることを思い出した。それは、柚木くんとプラネタリウムを見に行った時である。そこには図書館もプールもあるところで、夏休みに図書館で勉強した帰りに柚木くんとプラネタリウムを見ることになったのだ。

 上映が始まり、私は星を見て柚木くんに感想を言った。

「星が、綺麗だね。」

 その時、柚木くんは、

「うん、綺麗だね。あのね、渡したいものがあるんだ。」

 私は柚木くんの方を見る。なんだろうか、渡したいものって。すると、柚木くんはネックレスを持っていた。なんで……と言おうとした時、柚木くんは照れくさそうに笑った。

「安いやつだけど、似合いそうだなって思って買ったんだけど、いつ渡せばいいか悩んでたんだ。」

「……いいの?こんな私がもらっても。」

「それは禁句だろう?こんな私がなんて言葉。これは千癒、君にもらって欲しいんだ。ほら、彼氏からのプレゼトー!なんちゃって。恥ずかしいな、自分で言うなんて。」

 私はネックレスを見る。銀色でリボンの形をしているネックレスだった。私は嬉しくて、柚木くんを見た。

「ありがとう!」


 私はその思い出を思い出して、あることに気づく。

「もしかして、その大きな部屋って、プラネタリウム?」

「やっぱり何か、共通点があるのかい?」

 私は頷く。心拍が速くなり手が震える。まさか、そんな事って。

「その大きな部屋って、もしかしたら私の元の世界のものかもしれない。似たようなものがあるから。でも、もしそうだとしたら……、レンはなんでこの世界に?」

「それは分からない。キーラに聞いてみるしかないな。」

「私……、レンのところ行ってくる!」

私はアーサー達を置いてレンの元へと向かったのだった。

 

 

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