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聖女はギャル!  作者: 如月冬香
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四十八話 国王からのお叱り

 メーア町の浄化と謎の魔獣事件が終わり、僕達は王都に戻ってきた。帰る時もチユは馬車酔いをしておりまた戻しそうになったのを必死で我慢しながら王都に戻った。

 僕は馬車の中で最近夢に出てきたあの少女との記憶が気になって仕方がなかった。でも思い出そうとしても思い出せるわけがなく、悶々としていた。ドニーにも心配される程に。

 だがそれと同じくらいチユも様子がおかしかった。というのも、あの星を見てからチユは僕と目を合わせない。そして極め付けは、馬車を降り僕が護衛をしようとした時だった。

「ど、ドニーが着いてきて。レンはゆっくりしてね!じゃっ!」

 と、即座に立ち去って行ってしまった。それはもう鬼の様なスピードで。ドニーは引きずられていた。あんなにでかい図体していて引きずられるのはどうかと思うが。ドニーの黒い髪が見えなくなるまで僕は見送った。それにしても、これは本気で失恋したな。

 僕は王都についてから即時にこの国第一王子で、僕の友人のアーサーの元へと向かった。

「で?聖女様が目を合わせてくれないと。君たち、仲は良かったんじゃ無いのかい?」

 アーサーはソファーに座りながら僕に問いかける。僕も乾いた笑いが出てくる。

「まだ、仲は良かったと思うんだけどね。」

 すると、アーサーはニヤニヤする。やはりこの男に相談するのは間違っていただろうか。

「君が鉄壁の男だというのに、一人の女の子で悶々と悩んでいるのはとても面白いな。」

「うるさいな。大体、鉄壁というあだ名は僕にとっては不本意だ。本当に興味がなかっただけで普通に接してはいただろう?」

「交際の話になると、きっぱり断ることから鉄壁と呼ばれているんだよ。自覚あるだろう?」

 いや、自覚も何も。好きじゃなかったら断るだろう、普通は。という顔をしていると、アーサーは苦笑いした。

「そんな君でも、好きな人ができた事を嬉しく思うよ。失恋してしまったと君は思っているみたいだけどね。だが、失恋というのはまだ気が早いと、僕は思うけどね。」

 そうだろうか。まぁ、まだあれだけで、避けられているとは限らないよな。そう、ポジティブに思っておこう。と一人納得していた。するとアーサーは一つ咳払いをした。

「それともう一つ、話があるんじゃないか?」

「……まぁな。この前、僕の知らない記憶が流れてきたんだ。ほんの少しだけど。もしかしたら、昔の記憶かもしれない。」

 アーサーは、先ほどの笑顔から真剣な表情になる。そういうところが僕がアーサーを信用しているところなんだろう。

「君の師匠、キーラ・エルバァンに拾われる前の記憶のことかい?」

「あぁ。」

「そうか……。一応、キーラにも伝えといた方がいいと思う。」

 確かに、拾ってくれた師匠には伝えておかないといけないことだよな。

「そうだな。この後、国王に呼ばれているからその時に言うよ。」


 アーサーに相談した後、僕はチユを迎えに行った。何故なら、国王に報告しに行かなければならないからである。

「チユ、迎えにきたよ。」

「レン……。さ!ドニー行こう!」

 うーん、見事に避けられてる。これはなかなか辛いぞ。すると、すれ違い様にドニーに肩を叩かれる。これはドニーなりの慰めだろう。僕はドニーの後ろについて行ったのだった。

 国王の元に着くと、師匠が国王の前でしゅんとしていた。

「あれ?何事?」

 チユも、師匠が落ち込んでいるのに気づいた様だ。だが僕達は気にせず報告を続ける。

 無事浄化が終わった事を伝え、賊のこと、そして謎の魔獣のことについて話した。謎の魔獣を師匠が召喚したことについてはもう国王は師匠本人から聞いたため知っていた。師匠が落ち込んでいたのはもう国王からお叱りを受けたからだった。

「本当、君の師匠はどうなっているんだか。」

 と、国王は小言を言っていたが、聞かないことにした。国王は、話を続ける。

「浄化が終わったばかりで申し訳ないが、聖女様には東の国に行ってほしいのだ。」

 僕とチユは顔を見合わせる。それはツルさんが言っていた場所だからである。

 国王の話によると、東の国のある湖が最近汚染がひどく、どんどん作物が腐ってしまって魔獣が大量発生しているそうだ。そして、その国の王が、早く聖女をよこせとうるさいのだそう。まだ、ランネス王国にはもう一つ汚染されている湖が残っていると言うのに。

「分かりました!頑張ります!」

「よろしく頼む。と言っても帰ってきたばかりだろう。まだ行くにしても一ヶ月はある。ゆっくりするのだぞ。」

「はい!」

 こうして報告も終わり、僕は師匠に記憶のことを報告しようとした。が、師匠のあまりの落ち込みっぷりに何も言えず、報告は出来なかった。


 その後も、チユは僕のことを避け続けた。何故こんなに避けられているのか想像がつかない。

 しばらく避けられ、東の国に向かうのに二週間が切った頃、チユが僕の部屋にやってきたのだった。


 おまけ

 レンが僕の元に相談にやってきた後、僕の婚約者アイラがやってきた。

「アーサー様?何故そんなにニヤニヤされているのです?」

「いや、鉄壁と言われた男から恋愛相談されるのはとても楽しいなと思ってね。」

 するとアイラは、眉間に皺を寄せる。

「それは、レンとチユ様のことですか?」

 アイラも薄々分かっているのだろう。レンの気持ちが。だが、この前アイラから聖女様と恋愛話をしたと、僕は聞いている。アイラにとってはあまりレンの恋愛は応援できないのだろう。

「チユ様には想いを寄せる方がいるのですよ?」

「そうだとしてもね。聖女様のおかげでレンの色んな表情が見れる。それが面白いのだよ。」

 僕はただレンの恋愛模様を見守るのだった。


 


 

 

 

 

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