四十一話 青髪の彼は
僕たちは今、先ほどの女の子の家にお邪魔している。目の前でお茶を入れている青髪の彼、見れば見るほどどこかで会むたことがあるような気がするのだ。だがどこで見たのか思い出せない。
また、彼は魔術が使えるようだ。あの少女を襲った男を凍らせたのはきっと彼なんだろう。だが、魔術が使えるのなら魔塔にいるはずなのに……、もしかして魔塔で会ったことがあるのだろうか。
青髪の彼は僕たちにお茶を出す。そして、少し気まずそうに目の前に座った。
「あの、さっきはすみませんでした。てっきり弟を襲った仲間かと勘違いして……、まさか聖女様達だとは思いませんでした。」
僕はこの言葉を聞いて戸惑う。ドニーもチユも、ん?となっているようだ。
「弟?」
チユが戸惑ったように聞く。すると、彼は当たり前のように頷く。
「弟ですけど……?」
僕とドニーとチユは恐る恐る弟と呼ばれるあの子を見る。確かに服装は男の子っぽいが……、てっきり女の子かと。
「てっきり女の子かと思ってた!」
「あぁ、顔立ちは母さんに似てて、よく間違えられるんですけど、男の子ですよ。」
「そうなんだ!」
僕はその会話を聞きながら質問をする。
「そういえば、君、名前は?どこかで会ったような気がするんだよね。」
そうすると、また気まずそうな顔をする。そして、少し躊躇ったように話し始めた。
「俺の名前はヒメル。騎士団に入ってる。だから会った事があるんだと思います。ブルーメ村の時に少し、話したことがあります。」
時々敬語を忘れているが、きっと普段は敬語を話さないのだろう。
それから、僕はヒメルが言った言葉で思い出した。のちに温泉となったあの湖の説明をしてくれたのが、ヒメルだったのだ。とここでもう一つ思い出す。僕はあのときどこかで見た事があると感じたのだ。あの時感じたのはなんだったのだろうか。
「そっか、そっか!だから私が聖女ってことも分かったんだ!よく分かったね、お忍びしてたのに!」
すると、ヒメルは言いづらそうに、
「分かりやすかったですよ。」
と、それはもう言いづらそうに言った。
「マジか……。」
「マジか……。」
「マジか……。」
と三人とも同じ反応をしたが、「マジか」と言う言葉に馴染みがないヒメルは首を傾げて不思議そうにしていた。
「でも、君魔術が使えたよね。魔塔には行かなかったの?」
そう僕が聞くと、ヒメルは難しい顔をした。僕は、あまり触れてはいけない話題だったのだろうかとヒヤヒヤしたので、
「話しにくかったら全然話さなくても大丈夫だよ。」
そう言うと、ヒメルは首を振る。むしろヒメルの方が何やら話すことがあるようだ。
「俺の方こそ、悩んでいることがあって。」
「悩んでいる事?」
ヒメルは自分の入れたお茶を一口飲み、話し始めた。
話によると、父親がどうやら魔塔に所属しているのだそう。ヒメルに魔術の適正があるのが分かってからというもの父親はヒメルを魔塔にと指導をしていたそうだ。だが、ヒメルは騎士団に行きたく、父親の反対を押し切ってまで騎士団に入った。そこからと言うもの父親との関係が悪く、気まずいのだそう。
なので、騎士団に入ってからは、父親が帰ってくる時期とずらして実家に帰っていたそうだが、今回、ある調査の関係で実家に戻ってきたら父親と鉢合わせてしまい、それはもう気まずいそうだ。
「……ちなみにお父さんの名前を聞いてもいいかい?」
ドニーが聞く。すると、ヒメルは多分知っていると思うと前置きし、
「エディー、と言います。」
と言った。僕たち三人は目を合わせる。あのニコ先輩⁉︎と言わんばかりのドニーの目。
そして、僕たち三人は声を合わせて言った。
「結婚してるだと⁉︎」
そして、僕たちはまたヒメルを見る。すると、チユが一言。
「似てないね。」
と、失礼すぎる発言をかましてしまう。僕とドニーは焦りながら、
「お黙り!」
といい、チユの後頭部を軽く叩いた。そして、ヒメルに入れてもらったお茶を飲み一呼吸おく。
「その力は騎士団では使わないの?」
「使いますよ?二刀流でやらせてもらってます。ただ父はシュックが大きかったのか関係が悪いままなんですよね……。」
と、しゅんとする。
「ま、それでも別に俺は困ってないけど。父さんの勝手だし?」
だが、急にツンとなった。なんだか猫と似てる気がしてきた。
ただヒメル的にはお母さんと弟達が心配しているのと見てどうにかしたいなと言う気持ちが大きくなったのだそうだ。
「それともう一つ、なんと調査でここに来た?」
と、ドニーが聞く。
「それは……。」
最近この町で起こっている女児連続誘拐事件、頻繁に発生している為、騎士団も調査する事になったようだ。それを担当しているのがヒメルだそうだ。
「さっきの男、捕まえられてよかったです。弟を攫おうとしてたみたいで。何か手掛かりになればいいんだが……。」
と話している時、ガチャとドアの音がした。その方向を向くとニコ先輩がこちらを見て固まっていたのだった。いつものニコニコ顔ではなく真顔で。




