四十話 ぶつかった!
そのままチユとドニーと歩いていた。チユはやっぱりキーラ、怪しい、とずっと言っていた為、気を逸らすためにカフェに入りお茶をした。
意外にもチユは紅茶がいける口で、驚いた。僕のイメージではジュースしか飲まないと思っていたから。ちなみにだが僕は結構飲む方である。何故か分からないが、なんだか懐かしい気がするのだ。
「チユは紅茶が好きなの?」
「いーや?ただ……、好きな人が好きだったってだけ。」
と、懐かしそうに僕を見るチユの目を僕はまともに見れなかった。
そのままカフェを出て、歩いていると、ボーイッシュな女の子がこちらを走ってきた。いきなりのことだったので驚いたためかその女の子とぶつかってしまう。
「ごめん、大丈夫かい?」
そう、女の子に聞く。七歳ぐらいだろうか。青い髪色をしている。そして涙目でこちらを見ていた。何かあったのだろうか。
「何かあったのかい?」
すると、ばっ!と後ろを振り返る。
「なんか、変なおじさんが……。」
そう言って声を引っ込める。奥からそのおじさんが走ってこちらにやってきた。
「ひっっ!」
と、顔がどんどん青ざめていく。手は震えておりこちらに縋るようだ。
「た、助けて。」
絞り出したこの声は、僕たちがこちらに走ってくる男に対して怒りを覚えるのにそう時間はかからなかった。
走ってきた男は、すごい形相だった。こちらをチラッと見てから、
「ほら、いくぞ!」
と無理やり手を掴もうとしてくる。
どうやら、無理やり連れていくようだ。だが、この男は怪我をしているようだ。何があったのかは分からないが、こちらが気にすることではない。
「やめて下さい。この子、嫌がってますよ。」
「そうだぞ、やめといたほうが身のためだ。」
僕とドニーはそう言うが、男はこちらを睨み、何かするかと思ったが何をするわけでもなく、僕たちを無視し、無言で女の子の掴もうとするので、僕が男の腕を掴んだ。
「やめて下さい。」
もう一度言うと、男は頭に来たのか、こちらに殴り掛かろうとする。僕はその攻撃をかわし、女の子をチユに引き渡た。
チユは、女の子に話しかける。
「大丈夫だった?」
すると、女の子は震えた体で頷く。きっと大丈夫ではないだろうとチユは思った。
昔、私が中学生だった時、先輩にいじめられた事がある。体育館の裏に呼び出された。私は恐怖で何も覚えてないが、何かを、何かをやらされそうになった。その時助けてくれたのが私の世界で一番好きな彼だった。その時私は恐怖でその時、やってくれたこと……。
チユは女の子のことを抱きしめる。そして頭をポンポンする。耳元で聞こえるくらいの声で、
「大丈夫、大丈夫。」
と言いながら。
一方、レンは、この男の攻撃をかわしていた。ドニーはチユを守っている。僕はそろそろ反撃しようと、詠唱を唱えていると、男が凍った。
僕はドニーを見る。ドニーもチユもその様子を見ていたようで、ドニーは首を振る。
チユも目を丸めて、
「バビる。」
と言っていた。よく分からん。
僕は何が何だか分からず、止まっていると、まだ奥から走ってくる人影が見えた。
「おい!無事か!ミア!」
「お、おにーちゃん!」
どうやら兄弟だったようだ。それにしてもさっきのは魔術だ。この人がやったのだろうか。
「お前達も仲間か……って、聖女様!?」
と、彼は驚き、言った。お忍びだし、すぐには分かるはずがないのだが、何故この少年は分かったのだろうか。




