三十九話 二人は何しに?
「二人はどうしてここに?」
現在、ドニーとチユと僕とで町を探索していたところ、師匠ことキーラ・エルバァンと、ニコ先輩ことエディー先輩とたまたま会った。
そして、二人が何故、ここにいるのか僕たちは聞くことにしたのだった。
「で、仕事ですか?それとも私的な用事でも?」
「え、でも珍しっ、二人が仲良くいるところ見たことなかった。」
すると、ニコ先輩は、ニコニコと話し始めた。
「実は、俺は今帰省しててなぁ、そうしたらたまたまここにキーラのやつがいてよぉ?それで町を案内してたって訳だわ。」
成程、という事はニコ先輩はここが地元なのかな?そういえば、ニコ先輩って結婚してたっけ。
僕は今までのニコ先輩のことを思い出す。だが、酔って結婚のことを話したこともないし、普段もその様子がない。なんならずっと王都にいるイメージだ。まぁ、たまに帰省している話は聞いたことがあるが。それに、仕事が終わってから何故か帰ってくるのが遅いところがある。そんな調子じゃ、彼女もいないだろうと噂になったぐらいだ。……結婚してないだろう。
「どうした?そんなに考えて。」
「いーえ?別に。」
すると、ニコ先輩は珍しくむっとして、
「どうせ、失礼なことでも考えていたんだろ?」
と僕に肩を組んできた。面倒だったので払ってやったよ。
「それで、youは何しにメーア町へ?」
チユがなんだか変なノリで話す。僕はなんだか聞き覚えがあるようなないようなフレーズでモヤモヤしたが。
僕は師匠を見た。するとなんだか気まずそうだった。これは……何か隠しているな?
「早く話してくださいよ。」
と言っても返答はなし。えーと、うーんと、としか話しておらず話が進まない。
「し、仕事だよ。ハハッ。」
「嘘だな?」
僕がそういうと、目を逸らすキーラ。
「い、いや?嘘ではないさ。ただ、ちょっと言えないだけさ。」
「本当に?」
やっぱり目を逸らすキーラ。嘘をついているのは確定してるが、それが何なのかは分からなかった。
「やっぱり嘘ついてると思うんよねー。」
と、お得意の方言を言いながらチユはこちらを見る。
「ね?レン。」
僕の目の前に出て振り返る。その様子に僕は不意にもドキッとしてしまった。だが、だめだ。チユには他に好きな人がいる。気にしないようにしないと。そう思っていると、
「レン?」
と、こちらを覗き込むチユ。
「う、うわぁぁ!」
僕は驚いたのか、ドキッとしたからなのか分からないが飛び退いてしまう。
「え、え?」
チユは困惑しているようだ。ドニーは笑いを堪えているのか後ろを向いていた。
「え、なになになに?どしたん?」
「いっ、いや?そ、それで、師匠が嘘をついているって話だったか?僕もそう思うよ。」
「あ!やっぱり?」
ドニーも後ろから同意の声が聞こえる。
「あれは嘘しかないでしょー。」
と。まだ声が笑っていたが、気にしないことにした。
「でもなんだろうね、キーラの嘘って。」
「うん、師匠、大の心配性だから珍しいよ。あんなに嘘ついていたの。何も起きなければいいけど……。」
すると、チユは少し不思議そうな顔をした。
「え?でもでも、キーラってすごい魔導士でしょ?もと聖女の、孫?でもあるし。」
「孫ではないな。一応、子孫って話だ。」
そうか、子孫かと呟きチユはまた歩き始めた。それに続いて僕たちも歩き始めた。
この心臓のドキドキは、先程驚いたのが原因だと納得させながら。




