二十八話 アイラと聖女聖女 その二
「で?で?アーサーとどうな感じなの?」
と、ニヤニヤした顔で話しているのは聖女チユである。全くもって、聖女のような表情をしていないが、本当に聖女である。
そして、顔をぽっと赤らめているこの赤髪で癖毛の縦ロール、そして紫色の瞳を持つ彼女はアイラ・ローレンス。公爵令嬢の長女であり、この国の第一王子アーサーとの婚約者である。
さて、何故こんな状態になっているかというと、それはチユが誘ったお茶会でのことである。
最初に二人が会ったのは、アイラがチユを怒鳴ってからのスタートだった為か、二人は少し気まずい空気を纏っていた。
「今日はお誘いいただきありがとうございます……。」
アイラは緊張していた。頭に血が昇っていたとはいえ、聖女様にあんなに怒ってしまったのだから。これはきっとお叱りを受けるのよ、そう思っていた。
「いえいえー……。」
聖女は緊張していた。高校の友達作りはうまくいったけれど、お嬢様ってどうするんだ?
ニコッとアイラが笑うのでこちらもニコッと笑って返す。
よし!これは私が誘ったのだから私から話しかけるしかない!そう覚悟を決めて私は口を開いた。
「で?で?アーサーとどんな感じなの?」
一瞬時が止まる。その後、ぽっと顔を赤らめるアイラ。
いけん、これニヤニヤが止まらんよ。
「それは、その。私にはもったいない人ですわ。」
「え?そうなの?そんな事ないでしょ。」
すると、少し苦笑いし言った。
「聖女様だけですわ、そんなことを言うのは。皆、もっと努力しろと言うの。」
「そうなんだ、そうは見えないけどなー。」
そんなこんなで、私達二人はアーサーについて話した。
アーサーと出会ったのは十歳の頃らしい。その頃にアイラが一目惚れして婚約に至ったそうだ。
学園でも仲は良く、アイラはアーサーのことがどんどん好きになっていったそうだ。と、顔を赤らめて話していた。
どうやらアイラは恋愛のことになると素直になる様だ。それ以外だと、
「私のことはチユと呼んで!」
と言っても、
「それは、お断りしますわ!聖女様を呼び捨てだなんて出来ませんわ!」
と断られ、どうしてもと言うと、
「しょうがないですわね、ち、チユ様?これでよろしくて⁉︎」
と、ラブコメで見る様なツンデレを発揮していた。見ていて可愛い。これはアーサーも可愛いと言うわけだ。
「それにしても、アーサーに愛されてるねー!」
そう、私が言うと、アイラは少し黙り、
「本当にそうかしら。」
と、言っていた。やっぱりなんか様子がおかしいな。
「そうでしょ。え、逆にどこが愛されてないと思うわけ?」
「好意に思っているのは感じていますわ。でも……。アーサー様のことがよく分からないの。」
「分からない?」
すると、アイラは静かに語り出した。どうやら話によると、アーサーの反応が何をやっても、にこやかな笑顔で返される。それがアイラにとっては感情が読めないそうだ。だから、自分がアーサーと釣り合っているかとか考えてしまうんだそうだ。
「はぁ……。」
そうため息をつくアイラ。
私はその様子を見て思った。どうにかアーサーがいつもとは違う反応を引き出す様な案はないだろうか、と。そして、一つ妙案が思いついた。
私は元の世界で中学生だった時、アニオタ、そして漫画オタクだったのだ!その為この時のテンプレートはなんとなく分かってしまうのだ!あっははは!
「私が、今度のパーティで今よりめっちゃ可愛くしてあげる!ネイルとかもどうよ!」
「ネイル!最近、聖女様がしていると噂の!いいの?」
「勿論!」
こうして、私はアイラを可愛くするというミッションができたのだった。





