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聖女はギャル!  作者: 如月冬香
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二十五話 王子とレンの日常

「へぇー、そんな感じだったんだ。」

「そうなんだよ。」

アーサーが一通り話し終わった後チユはある疑問をもった。

「でも、レンっていつの間にアーサーに心開いたんだろうね。」

「うーん、それは僕も分からないんだよね。ただ一つ心当たりがあるのは……。」

「あるのは?」

だが、アーサーは口を噤む。どうしたのかと見ていたら、アーサーはニコッとと笑って言った。

「違かったら恥ずかしいからね。秘密だよ。」

「えー!」


 アーサーは思い出していた。その出来事とは、野外実習が終わってからの出来事だった。

 ある朝、学園にて。

「やぁやぁ、おはよう。」

そう声をかけるのは、第一王子であるアーサー・ランネス。

「……おはよう。」

そう返事をするのはレン・ユーリスである。アーサーは、このようなやり取りをするのが最近の日課であった。

 野外実習があったあの以来、レンは魔術が使え、強いという噂が回って、クラスから一目置かれる存在になっていた。何故、噂が広まったかというと、たまたまあの野外実習のチームだった人が広めたのだろう。

 僕はというと、レンに付きまとうようになった。最初は興味を持っただけである。だが、付きまとう様になってからは、友達になりたいと思うようになっていった。だが困ったことに、朝挨拶を少しするようになった事ぐらいはあまり心を開いてくれていない様だった。だがあまり踏み込み過ぎてもいけないだろう。


 そんなある日のことだった。

「……あ。」

そう言ったのはレンである。

いつもの様に僕がお昼を誘った時に話である。誘った後、面倒くさそうに席を立った後何かあったのか、声を上げた。

「どうかしたのかい?」

そういうと、少し困ったような、面倒くさそうな顔をして、

「次、使う教科書がなくなってしまった。」

「……またかい?」

そう、最近レンの周りでものがなくなる事が多くなったのだ。

「まぁ、次の授業までに見つからなかったら僕のを使えばいいさ。」

「あ、あぁ。その時は、よろしく。」


 それにしても、何故急にものが無くなってしまうのか。大体は予想がつく。多分だが、この出来事はある人物が関係してると言える。それは、ジン・グレス。彼は、伯爵家の子息で、この学園の人気者、という立ち位置だった。

 だが、彼はあまり性格が良くない。それでいて、あまり頭が切れる方でもない。幸いなのは、彼の兄の方は相当頭が切れる事だろうか。そんなことを知っているのは、僕ぐらいだろう。何故ならば、僕は彼、ジンの兄と交流があるのだ。と言っての少しなのだが……。その時に「弟に手を焼いてる。」と話していたのを覚えている。

 そんなジンが何故レンのものを盗んでいると、僕が思ったのには理由があるのだ。

 彼は、クラスの人気者という立ち位置だった。それが、急に転校生が来て、しかもあの野外実習で魔術が使え、とても強いという噂がクラスだけでなく、学園全体で広まってしまった。それが彼の癪にさっわてしまったのだろう。彼はこんなちっぽけな事をする奴なのだ。


「これは、確かめる必要がありそうだ。」

 僕は、このことを調べることにした。第一王子としてもそうだが、友達としてだ。まぁ、相手は友達だとは思ってないだろうが。それに、この学園では盗みは禁止とされているのだ。

 僕は放課後、人を待ち伏せをした。この時間に物が無くなっていることが多いということはもう分かっていたからだ。

 しばらくして、案の定ジンが教室のまた入って来たのである。ジンの様子をこっそりと見ているとやはり盗みを働いていたのだった。


「ジン、やはり君だったんだね。」

そう言うと、彼は少しビクッとして恐る恐る振り向く。

「あ、アーサー様。」

「で?何か言うことは?」

ちなみにだが、後ろには教師もいる。もしかしたら、盗みを働いているものがいるかもしれない、一応来てくださいませんか?と言うと先生はすぐに来てくれた。

「くっ!少し、少し困ればいいと思ったんだよ!」

 だが盗みは盗み、ジン・グレスは二ヶ月の謹慎処分が下された。レンのものを盗んだ回数が少し多かったのか、長めの謹慎処分だった。

 こうして、レンの知らないうちに犯人を捕まえる事ができたのである。まぁ、謹慎後も、ジンはレンに突っかかっていたが、レンは基本的にスルーしていた。


「よかったね。盗みがなくなって。」

そう、僕が言うと、

「そうだね、なんか色々……ありがとう。」

僕は固まる。レンからの感謝なんて珍しいからか、それとも……。

「なんで、アーサーはそこまで僕にまとわりつくの?」

そう、まっすぐな目で見られる。僕は迷いなく答えた。

「ははっ!それは友達になりたいからさ!」

すると、あはははっと笑って、

「そっか、これからよろしく。」


この日以降、僕達は仲良くなったのだと思う。


「今思えば、バレてたんだろうなぁ。」

「え?」

僕の独り言に、目の前の聖女様は反応する。

「なんでもないさ。」

この目の前の聖女様は首を傾げる。レンが魔術以外に興味を持った唯一の存在、チユ。僕としては、レンの隣にいて欲しいと思っている。なんとなくだが、この聖女様と仲良くなれそうだ。



 

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