二十四話 王子とレン
アーサー目線です!
初めて、レンを見たのは僕が学園に入学して約五ヶ月が経った時、まだアーサーが十五歳の時であった。レンは急に編入してきた。ユーリス家として。これまで、ユーリス家は子供がいるという話はなく、今回レンは養子としてユーリス家に入ったそうだ。レンの自己紹介は、無に等しいぐらいさっぱりとしていた。
「レン・ユーリスです。よろしくお願いします。」
僕は、結構クールな奴だなとその時感じた。そして、レンは僕と隣の席になった。レンが一番後ろの窓側、僕が窓側から二番目の列だった。
「やぁ、僕はアーサー・ランネス。知ってると思うけれど、この国の第一王子だよ。」
「はぁ、そうなんですね。あまり詳しくなくて……。」
と、どうやら僕のことは知らなかったようだ。ちなみにだが、一応この国の第一に王子だから、市民でも知っていることである。顔が分からなくても、名前を聞いただけで分かるレベルである。
だから、僕は新鮮だった。僕を知らない人が居るなんて思いもしなかったからね。
「ははっ!じゃぁ、よかったら今日から覚えてよ!よろしくね。」
興味を持ったのはレンが初めて参加する野外実習での出来事だった。たまたま、席が隣同士だったのもあり、野外実習のグループが同じになった。
「やぁ、同じチームになったね。」
「そうですね。」
と、相変わらず冷たい。
今回の実習は。森の奥にある洞窟に宝石が置いてあり、それをとってくることだった。だが、魔物は最近増えており、とても多かった。こうして僕とレンは森の中にはいった。
森の中には順調に進んだ、はずだった。洞窟の少し前に魔物の集団があるのを見つけた。それに気づいた僕とレンは木の影に隠れて様子を伺っていた。
「やばいな。この奥に宝石があるのにな。」
そう僕が焦ると、レンは落ち着いて、と言う。
その時、僕は木の枝を踏んでしまい、魔物が一気に飛びかかってきたのだ。
「気づかれた!これは、一時撤退にしよ……。」
そう、撤退を呼びかけていると、レンに止められる。
「そんな事しなくていいよ。」
すると、魔術で一気に襲いかかった魔物を倒したのだった。あれは……火の魔術だっただろうか?
それ以降、僕はレンについてもっと知りたくなった。魔術が使えるのは魔術師か、一部の人間だけ。魔術が使えるのに驚いたというのもあり、僕はどんどん惹かれていったのであった。
「ねぇ、ねぇ、レン!今日は用事があるのかい?」
と、あれ以降僕はレンに付き纏うようになっていた。というより、ここまでしないと仲良くなれないというのが事実なのだが。
「アーサーに言う必要ない気がする。」
そういってはぐらかさせる。それでも続けていると、とうとう無視までされた。だが諦めなかった。その成果か分からないがいるの間にかレンは僕に心を開くようになっていった。そして少し笑うようにもなっていった。
「パーティ?」
ある日、僕がパーティに誘ったらレンは目を丸くして聞き直す。
「そうさ、君もユーリス家なら出ておくべきだろう。この年齢だと婚約者がいて良い頃だ。僕もいるんだよ。アイラ・ローレンスという綺麗なお嬢様が僕の婚約者さ……。」
「そうなんですか。」
「どうだ?一度来てみないか?」
そう聞き返してみると案外乗り気で、
「いいですよ。」
と言われる。てっきり断られるかと思っていたので驚いたのを今でも覚えている。
パーティ当日、僕はアイラをエスコートする。赤い髪に紫の瞳を持つ彼女は、白と黒のドレスを着ていた。
「綺麗だよ。」
「お褒めの言葉、嬉しいですわ。」
と、言葉では少し素っ気ないものの見るからに上機嫌になっていて僕は嬉しくなるのだった。
アイラをエスコートし、壁にずっと突っ立ているレンの方へ向かう。
「どうだ?」
そう聞く。すると、レンは無言のままだった。ふとレンの目線の先を見ると、灰色の髪の長い女性を見ていた。
「お、あんな感じの子がタイプかい?」
そう行くと、やっとこちらに気づいたようで返事をしてくれる。
「いや、なんだか知ってるような気がしたんだよ。でも違かった。そういえば、なんだか注目されてる気がするんだけど、気のせいかな?」
「いや……、気のせいじゃないと思う。レンみたいな黒髪は聖女ぐらいしかいないからね、珍しいのもあるけど……一番は、君の容姿が優れてるからだろうね。」
すると、レンは何を言っているんだ?というような顔をして、パーティ会場を後にした。やはり興味はなかったのだろう。
そんな感じで、僕とレンは学生時代を過ごしていったのだった。
そして、卒業してからもこの関係は今現在まで順調に続いている。




