二十二話 ギャルと王子 その二
レンが護衛魔導術士を外されてまだ一日しか経っていない。が、私の暇さ加減は加速していた。いつも、朝の準備が整うぐらいにはレンが来てくれていたのに、今は騎士や魔導士が交互で私の部屋に立っていてメイドも用事がある時にしかこないのだ。といっても仲の良いトトと、ララとは話すのだけれど彼女達も仕事があるから私は遠慮している。なので現在、私はベッドの上でゴロゴロしているのだった。
「スマホ……欲しい。」
マジで!スマホ中毒の私にスマホを取り上げた異世界召喚許さん!なんて心で怒ってみたりしたが暇なのは変わらなかった。しばらくベッドの上でゴロゴロしていると、コンコンとドアの音がなった。レンかなと思って思いっきりドアを開けるとそこにはいつもの黒髪はなく、金髪の髪が見えた。第一王子だった。
「ははっ!レンかと思った?」
と、口元に手を当てて笑う王子。
「えっと、王子様、何のようで…?」
やべっ、焦って鈍ってしまった。やっぱり地元の言葉出てしまう。
「アーサでいいよ。」
「じゃぁ、アーサー。私もチユでいいですよ。」
「ははっ!躊躇わないんだ。普通の人は躊躇うんだよ、流石聖女様だね。」
なんか馬鹿にされたような?まぁいいや。
「とりあえずまた中に入りますか?」
「いや、今日はパーティーに向けてダンスレッスンをする予定だよ。ダンスの先生が俺がチユを呼びに行けって任されてしまって……。びっくりさせてしまって申し訳ない。」
と、目の前に手を出して、
「エスコートしてもいいですか?」
と、ニコッと笑われる。ぐぁ!美の暴力‼︎
「ぐぅっ!勿論。」
と、私は直視出来ないまま差し出された手を取った。
そのまま、聖女の舞をした部屋へ連れて行かれた。
そこには紺色のドレスを着て深い緑の髪をお団子にしている中年ぐらいの女性が立っていた。アーサー曰く、この人がダンスの先生らしい。私は、パーティーのダンス練習だと聞いていたので身構える。ある程度のステップと知識を教えてもらっていざ踊る。
まず、アーサーが私の方へ歩み寄り、お辞儀をする。それを私が了承すると、アーサーが構えるので私も右手を手に左手を肩にし構える。
「ゆっくり行くね。」
と教えてくれたのでタイミングはバッチリ。
いきなり踊るのはいくら何でも、流石の私でも身構えるが、アーサーのエスコートが上手いのかすんなり踊れる。ステップは、日本にいた時に流行っていたダンスと少し似ていたので難なく踊れたのだった。
「なんか今日はありがとうございました。」
「こっちこそ巻き込んでごめんね〜。」
そう会話している場所は、王宮の庭である。
ダンスレッスンが終わると、アーサーは私にお茶を誘ってきたのだ。何でも聞きたいことがあるとか何とか……。
「それで聞きたいこととは……?」
と、恐る恐る聞く。だってさ、怖くね?王子が私に聞きたいことって言ったら……もしかしたら私が無意識で何かやらかしたとかでの事情聴取かもしれんやん!
あれかな、勝手に庭の花をすこーし摘んで部屋に飾ったこととか、厨房のお菓子を盗み食いしたとか⁉︎…‥でも誰もいなかったし……。いや、レンはいた。待って、てことはレンがチクった⁉︎神に誓ってチクらないと約束したと言うのに⁉︎
などと思考がぐるぐるする。するとアーサーは本題に入る。
「あぁ、それなんだけど、君といた時のレンの様子について聞きたいんだよ。」
と、にこやかに予想外のことを言われたのだった。




