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聖女はギャル!  作者: 如月冬香
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二話 聖女

「ギャルだもん‼︎」


 そんな声が王宮に響く。びっくりしたかなー?なんて聖女様は言っている。周りはザワザワと困惑の声が聞こえてくる。ギャル……とは何なのか。というか自分で言うものなのか?何かの職業名なのか?様々な疑問が生まれる。ゴホン、と誰かの咳払いが聞こえる。声の聞こえた方を見ると国王がこちらをチラチラと僕のことを見ている。どうやら聖女様が僕に話しかけられていたので国王がタイミングを伺っていたようだ。僕は少し頷き、俯きながら後ろに下がる。


「さて、我が名はゼルド・ランネス。ランネス王国の王だ。突然のことでびっくりしているだろう。申し訳ない。事情を説明する前に名前を教えてもらえないだろうか。」

 すると、ギャルと言った聖女様は辺りをチラチラ見ながら名乗った。

「あ、えーと西森千癒にしもりちゆです。」

 名前を聞いた瞬間、僕は何だか懐かしいような気がした。

「ニシモリチユ。」

……確かに発音が難しいよなぁ。

「あ、千癒と呼んでください。」

「チユ。」

 聖女様は混乱しているようで、先程とは少し様子が変わった。夢から覚めたような顔をしている。当たり前だろう。国王この国の説明、聖女について、など様々な説明をする。

 ちなみに、ここランネス王国の他に二つの国がある。東の国セルリス、北の国ベルリア。この三つの国はよく対立をしていた。だが最近この三つの国が同時に魔物や湖の穢れか酷くなってしまい、三つの国が協力して今回、聖女召喚を行うこととなった。我ら魔塔はこの三つの国ではどこにも所属してないらしいが、国からの支援で成り立っている為、いつも世界中を駆け回っている。言わば中立の立場と言うことだろう。僕はあまりそこら辺は詳しくはないのだが……。話が逸れたが聖女様は、魔物の浄化、湖の浄化、そして伝承には湖の底にある根源の浄化、封印が仕事だ。


「……えと、つまりは私が聖女でこの国に何か?を浄化するために私が召喚されたってこと?」

と聖女様は要約した。まぁ、要はそうゆう事だよな。僕は一人でうんうんと頷く。すると聖女様は少し震え始め、

「か、帰れるの?帰らせて……!」

と訴え始めた。

「すまない、帰れるかどうかは分からない。我が国、いや、この世界のことに巻き込んでしまって申し訳ない。」

「謝られても……。」

とうとう、泣いてしまった。すると国王も流石にいろいろ話が急過ぎたと感じたのか、部屋に案内をさせた。そして僕らも解散ということとなった。


 こうして今日、重大な日は幕を閉じた。

 まぁ、これからは僕が王宮に呼ばれることなんてあんまり無くなるだろう。あるとしたらアーサーに呼ばれることぐらいだろうか。あいつ結構呼びつけるからな。そんなこんなで、僕は塔の自分の部屋で眠りにつくのだった。

 明日、王宮にまた呼び出されるとは思わずに。



 翌日、僕は気持ちよく目が覚めた。昨日あれだけ魔力を使ったのだ、疲れていたのだろう。

「ふぁあ〜。今日はゆっくりしようかな……。」

と、背伸びをしているとバタバタバタ!と足音が聞こえてくる。何かあったのか?緊急呼び出しとかだったらめんどくさいなぁー、なんてぼんやりと考えているとバタンと自室の扉が開く。

「おい!早く起きろ!」

勢いよく入ったのはキーラこと師匠だった。長ったらしい銀色の髪の毛を一つにまとめ、青い瞳の垂れ目がこちらを見ている。肌は、外に出ろ!と思うほどに白い。

「な、何かあったのですか?」

すると師匠は、

「なんだ、起きてたのか。国王がお呼びだそうだ、急げとさ!今、緊急で電報があったんだよ。にしても珍しいな、アーサ様じゃなくて国王に呼ばれるの。」

と壁に寄りかかりながら言う。

「はぁ……。何の用でしょうね?とりあえず支度します。」

と、ゆっくり立ち上がると師匠は急げ急げ、と手を動かし俺をジロジロ見ている。

「あの、見ないでください。」

そう言うと、彼はニヤッと笑って

「別に良いじゃねーか。見られて減るもんでもないんだろ?」

と、いじられる。師匠はいつもそうだ。僕のことをいじる。昔の記憶がなく気づけばユーリス家にいた僕は、師匠と出会い魔力の稽古をしてもらっていた。いつの日か師匠は僕のことをイジるようになった。魔力の制御がうまくいかなくなった日とか、なかなか僕が婚約者を決めないこととか。ちなみに今だに僕は婚約者の影もない。

「もう、うるさいです。出ていってください。」

そう静かに言うが、なかなか出て行かない。

「いいじゃないの〜!どうせ女の一人もいねぇーんだろ?」

と体をくねくねさせる。だめよーダメダメ!くそっ!なぜかここの中でどうしても言いたくなってしまった……!にしても師匠気持ち悪いな!てか余計なお世話だ。と、心の中でツッコミが渋滞する。

「あぁ!もう、出てけ‼︎‼︎」

と、僕は風の魔術を使い、師匠を風で廊下まで吹き飛ばす。

「おい、こんなので魔力使うなよぉ〜!」

「うるさい。しつこかったのがいけないんだろ?」

つい、敬語を忘れてしまう。まぁ、いつもの事だしいいか。


 ある程度の支度が終わり、王宮に向かう。しばらく師匠は拗ねていた気がするが……何で拗ねているか分からないため無視をした。

 王宮に着き、僕は国王に挨拶をする。……やっぱりこのシーンとした空気、苦手だな。

「魔塔所属レン・ユーリスです。用、とは何でしょうか?」

と膝をつく。

「うむ。実はな、あれからチユ様がな……。」

 話によると、あれからショックで聖女様は部屋から出てこないそうだ。急に家族や、見慣れた国から離されたのだ。ショックで部屋から出てこないのも頷ける。

「また、食事も取らないのだ。昨日も今日の朝もな、食欲がないと……。無理に食べさせるのも可哀想だとは思うのだが……このままだと衰弱してしまうかもしれんだろ?そこで最初に話しかけられたレンに聖女の護衛を任せたいと思う。それに伴って、しばらくの間、チユ様を任せたいと考えておる。」

「僕を、ですか。でもいいのでしょうか?」

躊躇しているのにも理由がある。代々、聖女の専門で護衛につくのは魔導士だと決まっている。騎士もつくが、魔導士は魔術が使えるため最低でも一人は聖女につくのだが、その専門魔導士は聖女様が決めるのだ。ちなみに、二代目聖女様のキク様は当時、キク様の護衛魔導士だったエルバァン家の長男と結婚しその子孫がキーラ、僕の師匠だ。どうやらキク様はその護衛に一目惚れしたらしい。話が逸れたが、聖女様が指名するのに勝手に決めていいのか僕は躊躇している、と言うことだ。

「通常は聖女様が指名するのだが……部屋から出てこないのは今までなかった。チユ様と年はまぁ近い方だと思うし、あの時の様子と見ていると、レン、そなたが一番いいと思う。それから、レンが護衛魔導士をするのは一時的にしようかと思っとる。」

「……最善を尽くします。」


 こうして、僕は聖女様の一時的な護衛魔導士のなることとなった。

こんにちは〜!如月冬香きさらぎとうかです。なかなか続きを上げれず……。私生活がそろそろ落ち着きそうだから頻繁に書きたい!とは思ってます。

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