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聖女はギャル!  作者: 如月冬香
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十九話 聖女のお楽しみ

討伐から二日後が経つ。昨日は宴などをしたり、湖の調査だったりと忙しかった。僕はほっと一息つき、目の前で繰り広げられている光景を紅茶を飲みながら椅子に座って眺めていた。

「うわぁっ……!」

と、感激の声をあげているのは村長の娘ルテスちゃんである。

 今日はルテスちゃんの兄ダスくんの誕生日である。それを無駄に記憶力が良いチユは覚えていたらしく、張り切っていた。するとそこにルテスちゃんがやってきて、兄にプレゼントを渡すから自分を可愛くして欲しいとの依頼がきた。すると、チユは、

「任せなさい‼︎私の腕を舐めるんじゃないよ!」

「誰も舐めてないよ……。」

と、どんどん張り切るチユは今、ルテスちゃんの顔をメイクしているのだ。

 そして、三十分ぐらいでパパッと出来たようで冒頭の感激の声が部屋に響いたのだった。

「凄い凄い!可愛くなった!」

「ふっふっふっ!この年頃の子は私のギャルメイクより清楚系ナチュラルでしょ!私の主観だけど!」

と、よく分からないことを誇らしげに語っていた。

「でも、やっぱり物足りんねー!つけまとか、アイラインもゴリゴリにしたいしカラコンもつけてネイルもしたいねー!」

と言っている。

「でも、カラコンもアイラインも無いしなー!つけまもないし……!ネイルもない!いっそ作る⁉︎」

と、一人でぶつぶつ言っている。そんなチユ達を僕は元気だなーとぼんやり眺めていた。

 何故、僕がこの場所にいるのか、疑問を持ったことだろう。何故ならばここは僕の部屋だ。何故ここに来たのかは知らない。たまたまチユがここにいた時にルテスちゃんが来たので流れでここですることになったのである。

「カラコン、ネイル……?何、それ!」

「カラコンはね、目の色とかを変えれて、ネイルは爪が可愛くなるんだよ!私の世界にはあったんだけどなぁー。」

「え!やりたい!お姉ちゃんが可愛いって言うんやったら絶対可愛い!」

すると、くるっと百八十度度ぐるっと周り僕の方を向いて、ドライヤーと一緒に作って!お願い!となんだか可愛いくお願いされた。

「作って作って!」

と、ルテスちゃんも同調した。

しょうがない……、作るか。ドライヤーよりかは簡単そうだ。僕は飲んでいた紅茶をゴクっと飲み、分かったよと言ったのだった。

 チユはメイクが終わると髪をいじり出した。ヘアアイロンないーー!と謎のことを言いながら。耳下で三つ編みをし、輪っかのような形で結ぶ。

「なにそれ!不思議な形!」

と、ルテスちゃんも不思議な顔をしている。

「えー?可愛くない?めっちゃ可愛いよ!」


 こうして、ルテスちゃんのメイクアップとヘアーアップが終わったのだった。と、その時、コンコンと部屋のドアを叩く音が聞こえる。すると、ララの声が聞こえた。

「ルテスちゃん、ここにいますか?」

「あぁ、いるよ。どうしたの?」

そう返事をすると、奥から知らない男の人の声が聞こえた。

「その、ルテスちゃんに早急に話があって。」

こうして入ってきた男はエプロンの様なものを着ていた。どこかで見たことがある様な……。

「あれ?お菓子屋のおじちゃん?どうしたの?」

成程、どこかで見たことがあると思ったら、お菓子屋さんのおじさんか。僕とチユが村を回った時のお菓子を買った時のお店の人だ。

「ルテスちゃん、あの元気になるクッキー、おじいちゃんにあげちゃった?」

僕とチユは顔を見合わせる。だってそのクッキーは湖の中だ。

「もしあげたなら食べないで捨てろと言っておいてくれたかな?」

僕とチユは更に首を傾げる。なんでだ?

「おじちゃん、ごめんね。そのクッキー、湖に落としちゃったの。せっかく作ってくれたのに。」

すると、ホッとした顔をしてそっか。と言った。流石のルテスちゃんも首を傾げる。

「おじちゃん、え、何があったん?」

と、チユが聞く。丁度僕も聞こうと思っていたので良かった。すると、少し気まずそうな顔をして話し始める。この時僕達は衝撃的な話だとは思ってもみなかった。

「あのクッキー、元気になる薬草を倍に入れてたみたいなんだよ。」

「……それは今日気づいたんですか?」

「そうなんだよ。」

どうやら、薬草を日にちごとに分けていたのだが、今日の分が少なく、おかしいことに気づいたそうだ。その時、あのルテスクッキーを作った時なんか多いな…‥と思っていた事を思い出し早急にルテスちゃんのところに来たと言う事らしい。

「いやいやいや!ちゃんと確認しろよ‼︎」

と、チユが叫ぶ。

「そうだよ!おじちゃん!」

流石の心が寛大のチユ様も少しキレている様だ。当たり前だろう。薬草は用量を守らないと大変な事になるからだ。オーバードーズになるかもしれない。因みにそれは知り合いの薬剤師から聞いた話だ。

「も、申し訳ない……。でも、何事もなくて良かったよ。」

「本当にね⁉︎」

と、チユは目をかっ開いて腕も組んでルテスの後ろからつっこむ。

「てか、あの魔物が元気になってたのもそれのせいだったりしてー?」

と、チユが冗談っぽく言う。だが、それを聞いた僕とララは、冗談には聞こえなかった。

「確かに。それだと合点がいく。分からなかったんだ。なんで魔物がこんなに怪我をしているのに元気だったのか。クッキーだよ。溶けかけていたクッキーの薬草が魔物の体内に入って元気になっていたんだよ。」

「そうですね、その可能性が高いです。」

と、ララも同意をする。

「そ、そんな。」

と、お菓子屋さんのおじちゃんは顔を青くしている。チユもマジで??と、こちらに顔をこちらに向けている。


 後日、クッキーからの成分だと判明。過剰に取ってしまった魔物はオーバードーズ気味になってこちらを襲っていたそうだ。

「「「「どんだけ入れたんだよ!!」」」」

と、僕とチユ、そして師匠と髭ニコ先輩は、騎士団と、魔道士に呼び出されたお菓子屋さんに思わず叫んでしまったのだった。

だってしょうがないじゃないか。それだけ今回は大変だったのだ。


ちなみに、ルテスちゃんは、おめかしした状態で例の花を渡しお兄ちゃんは号泣をしていた。

「お兄ちゃん、ごめんね。この花をどうしても渡したかったの。だから森に……。」

「そうだったのかよー!それでもダメじゃないか、にしても今日可愛いぞーー!」

と、更に号泣しながら妹に抱きつくのだった。一つ分かったのは意外とダス君は泣き虫だったと言う事だった。ふとルテスちゃんを見ていたチユを見ると、私の腕が良かったな!と言わんばかりにドヤっと笑っていた。


こうして、この村から城に帰る日を迎えた。

先週、忙しすぎてあげれませんでした!さて、ブルーメ村の話も終わりが見えてきました。来週も上げようと思います!頑張ります!

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