十四話 浄化できない⁉︎
私、西森千癒は中三以来初めて焦っている。理由は、あの湖を浄化することができないのだ。
どうしよう、どうしよう、ヤバい、ヤバい、ヤバい!そんな言葉が頭の中でいっぱいになる。
私はミスなく舞っているはずなんだ。さっきから視界の端で、めっちゃ戦っている騎士さんや魔導士さんが見える。それに奥の方で血を流しながら戦っている人が見える。
「チユ様!まだですか!」
「くっ……!早くしてください!」
と、遠くで騎士の声が聞こえる。私は失敗したらダメなんだ!ちゃんとしないと!そう思えば思うほど焦ってしまう。あの時もそうだった。確かあの時も緊張して……。
その時、私は気づいた。きっと私緊張しているんだ。それに気づいた瞬間、何故か分からないけど体が震えて気が付いたら地面に座っていた。
「チユ……?どうした‼︎」
と、遠くから声が聞こえる。いや、そんなに遠いわけでもないか、だって私の少し後ろでレンは守ってくれているはずだから。
「大丈夫か⁉︎」
レンが私の方に駆け寄る。私はついレンに抱きついてしまう。
「やばい!浄化出来ない!!」
私は、そう叫んだ。
あの時もそうだった。緊張していたのだ。
文化祭で私は昔から習っていた歌を披露することになった。勿論、舞台の演出でだ。
私のクラスは文化祭で劇をすることになり私の役は、顔にコンプレックスがある少女がある劇団に入り前を向いていく少女だった。ヒロインでも主役でもないけれど、この役は歌が一番重要な役だった。その歌とは、コンプレックスを克服した少女が、みんなの前でこれが私だ!と前を向く時の歌。
中学生の時、まだギャルではなかった私は今より自分に自信がなくて、みんなに馬鹿にされることが多々あったため、ただ歌を習っていると言うだけで決まったこの役は、私には荷が重かった。でも、
「きっとこの経験が糧になるよ!目の前のことをコツコツしてこ!」
と、勇気づけてくれたのは彼がこの学校に転校してきて仲良くなった柚木くんだった。
柚木君と一緒に何回も何回も練習をした。そして本番、私は緊張して足が震えてもうすぐ出番!というところで動けなかった。
「ど、どど、どうしよう!緊張して足が震えちゃう!」
……その時、柚木君はなんて言ってくれたんだっけ。
「チユ!しっかりして‼︎」
レンの声で現実に戻される。そうだよ!ヤバい状況じゃん!
「やばいじゃん!浄化出来ないとみんながヤバいやん!どうしよ!」
そう、焦ると、レンは真っ直ぐとこちらを向いて言った。
「落ち着いて。ねぇ、チユ目を瞑って深呼吸するんだ。」
私は言われたとうりにする。
「そしたら手を出して。」
ゆっくりと震える手を出すと、温かいもので包まれた。そして手の人差し指と中指の間ら辺を五秒ぐらいゆっくりと押される。私は驚いて目を開けると、レンは少し微笑んで言った。
「大丈夫。チユは出来るよ。あんなに練習したんだ。あとはこの村の人達のことを考えるだけだよ。」
次回は久しぶり(?)のチユちゃん目線です!




