私は人当たりの良いOL
「おはようございます!今日もいい天気ですね!」
「あ!おはよう!お姉さんは今日も綺麗だねー!」
駅から会社までの道のりの途中にあるコンビニの駐車場を掃除していた店員さんに声を掛ける。
元気に挨拶をすると、相手もいい印象を持ってくれる。
いつも同じ時間にこの通りを歩くので顔見知りになってしまった。
私の名前は緒方美智子。
27歳で物流会社の事務員をしている。
私は自慢ではないが、顔もそこそこ整っており、人当たりも良い。
男性が多い会社では、結構チヤホヤしてくれる。
私が彼氏持ちだと知っていても、だ。
女性社員は、52歳の先輩がひとり。
先輩にも愛想良くしているので、可愛がられている。
なので、凄く居心地が良い。
やっぱり皆に愛想良くしていると、人間関係が円滑になって仕事しやすいなー。
そんな事を考えながら会社に着く。
「おはよーございまーす!!」
「あっ、お、おはようございます!」
まず最初に挨拶を交わしたのは、新入社員、23歳の綾瀬君。
「どう?仕事は慣れてきた?最初の頃に比べたら随分と落ち着いて仕事が出来るようになったみたいだけど?」
「あ、ありがとうございます。皆さん丁寧に仕事を教えて下さるので、おかげさまで。」
「そう。私に出来る事があったらいつでも頼ってね?」
「あ、はい!頼りにしてます!」
ふふん、私の事を憧れの目で見てる見てる。初々しくて可愛いなー。けど、こないだスマホの待ち受け見ちゃったんだけど、なんかアニメのキャラクターだったんだよね。イヤイヤ、もったいないなー。せっかく顔もそこそこ整ってるのに、それはナイわー。ナイナイ。女の扱いも慣れてなさそうだし、もしかして童貞だったり?あー残念!まぁ、そういう子がいいって女もいるからねー?私は趣味じゃないけどねー。頑張って生きてね?そのうちいい事あるよ!知らんけど。
「あっ、おはようございます!課長!」
「おう、おはよう!今日も綺麗だね、緒方さん。」
「ありがとうございます!課長も素敵ですよ!」
「おいおい、おっさんを褒めても何も出ないぞ?」
「いえ、お世辞なんかじゃないですよ?」
「そ、そうか?まぁ、困ったことがあったら相談するんだぞ?」
「はい!ありがとうございます!」
この人は、課長の露木さん。
36歳のちょい悪な感じのイケオジだ。昔はちょっとヤンチャしてたって言ってたな。それ自分で言うの結構イタイなー、イタいイタい。それにこの人見た目は良いんだけどあんまり仕事出来ないしなー。困ったことがあったら相談するんだよキリッみたいな感じだったけど、アンタに相談したって何も解決出来ないですからー。残念!!あと、女社員の先輩に何か甘えてる感じするんだよねー。マザコンか?マザコンなのか?うわー、ないわー。奥さん可哀そう。いや、もしかしてそういうプレイが好きとか?毎日バブバブしてんの?今日もバブっちゃう?バブっちゃうの?おい!バブちゃん!ちゃんと仕事するんだぞ?
「おはようございます!渡会さん!」
「おはよう、緒方さん。今日も元気ね!」
「はい!それだけが取り柄みたいなとこあります!」
「そんなことないわよ、緒方さんはしっかりしてるわ。」
「ありがとうございます!」
この人は先輩の渡会さん。
52歳で、私を含めてたった二人の女性社員のうちの一人。面倒見はいいんだけど、結構細かいのよねー。お孫さんもいるみたいで、幸せそうだ。息子さん夫婦との仲も良好みたいなこと言ってたけどホントかな?結構口うるさい姑やってんじゃないのー?〇〇さん、ここちゃんと掃除したの?とか言っちゃって。ギャー、やだやだ。妖怪嫌味ババアが居ますよ!鬼〇郎かぬ~〇~呼んで下さい!あと、結構若作りしてんだよね、この人。不倫でもしてんじゃないのー?家ではお嫁さんイビリして外では男にイジメられちゃってたりするのー?キャー、探偵さん、不倫!不倫ですよ!
「おはようございます!部長!」
「おはよう。緒方君。」
「この間はご迷惑をお掛けして、申し訳ありませんでした!」
「いや、構わないよ。」
「お茶どうぞ!」
「ありがとう。」
この人は部長の野田さん。
50歳で無口なタイプだけど、仕事は出来る。感情を表に出さないタイプなので、何を考えているのかわからない。あー、こういう人に限ってドスケベだったり変態だったりするんだよねー。なんか性欲強そうだし。こわいなー、私の胸とかお尻とか気付かれないように見てそうでこわいなー。この人この年で独り身だけど、夜に一人で女物のパンツとか被ってそう!ぎゃー、変態!!変態が居ますよ!!お巡りさん、ここです!!おい!パンツマン!そんな真面目そうな顔して仕事してても私にはわかってるんだぞ!聞いてるのか?パンツマン!!
「おはようございます!専務!」
「おお、おはよう!緒方さんは今日も綺麗だねー!」
「専務?そんなに褒めてもお茶しか出ませんよ?」
「お、ありがとう!いや、御世辞じゃないんだがね。」
「ありがとうございます!だったら嬉しいんですけど。」
「いや、ホントホント。俺が30歳若かったら放っとかないんだがねぇ。」
この人は専務の村上さん。
63歳で地方銀行からの出向で五年前にこの会社に来た人だ。仕事は出来るし口も上手いんだけどちょっとセクハラチックな言動が目立つ。古いタイプの人なんだなーって思う。っていうかさー、この人多分ヅラなんだよねー。わかっちゃうんだなー、私ぐらいになると。スケベ親父でハゲってお前は亀〇人かよ!なんだ?かめは〇波でも打つんか?ギャルのパンチー欲しいんか?ああん?スキがあったらズラ取っちまうぞ?なんだかオラワクワクしてきたぞ!
「やあ、皆、おはよう。」
「「「「おはようございます!」」」」
「社長、お茶です。どうぞ。」
「ああ、ありがとう、緒方さん。」
この人は社長の田上さん。
「43歳で、先代の社長の長男。まぁ、いわゆる2代目社長って奴ね。ボンボンとも言う!いいよなー、人生イージーモードで。何の苦労もしてないんだろうなー。この会社だって周りに優秀な人がいるから成り立っているけど、正直社長って居ても居なくてもいいんじゃない?ざんねーん!今日からお前のあだ名、空気人間な!おい!空気人間!給料上げてくれよ!いいだろ?お前空気なんだからよー、給料いらないよな?その分私にくれたっていいだろ?ホント頼むぜ?エアーマン!!」
「「「「「「えっ?」」」」」」
「えっ?」
最後までお読み頂きありがとうございました。