変わりゆく日々
「もしもしお母さん。」
僕は手に取ったスマホでお母さんに電話をした。
「お母さんごめん。」
電話をかけてすぐそういった。
そしてお母さんからは、
『お母さんもごめんね。
晴のことを考えないで、
好き勝手しっちゃって。』
お母さんもお母さんで後悔をしていたようだった。
「お母さんそれで今日会えるかな?」
『どうかしたの晴。』
「いやちょっと直接会って言いたいことがあるからさ」
『わかったわ。
少し遅くなっちゃうかもだけどそれくらいは許してね。』
お母さんはそう言ってくれた。
「うん。
待ってる。」
僕はそう言って電話を切る。
いつまで経ってもくよくよしていられないよね。
そう割り切るのだった。
それにしても僕はこんなにもすぐに性格が変わりやすい人ではないと思う。
というか僕は変わることが出来なかったからこうなっているのに、
なぜかここ最近適応しやすくなっている気がする。
「これも性転換したからかな。」
そう思うことにした。
そうでないと自分の心境変化の速度が早すぎる気がする。
それ以外にも勉強すればスポンジのように容易に吸収できるようにもなったし、
身体能力なんて男の時よりかは断然良くなっていた。
「一度病院に言った方がいいのかな。」
やっぱり急に性転換するのはおかしい。
でもそれ以上に異常と判断されることが怖い。
「どうしたらいいのかな。」
やっぱり自分一人で判断するということは難しい。
誰かと寄り添い相談した方がいい。
「そういえば僕転校するんだよね。」
転校先はどんなところだろうか。
僕はその場所で馴染めるのかな。
そんなことを思う。
明日になればまたゲームで遊ぶ
僕も少しずつ前進していけばいい。
「楽しむか。」
前までの僕は怯えていたけれど、
ちょっとしたことでも楽しむことができれば、
少し気軽くにいれた気がした。
「これからどうなるんだろ。」
切実にそう思う。
実際問題この性転換する病はあまり解明されていない部分が多い。
だからこそ研究の対象になるかもしれない。
でもそれはたらればであり、
そんなことがないかもしれない。
「ほんと僕って問題に巻き込まれやすい体質だよね。」
まぁ僕がそう思うことで、
さらに問題ごとがって思うだけかもしれないけど。
僕はそんなことを思いながら夜になるまでテレビでアニメを見ていた。
「もうそろそろかな。」
お母さんからメールが来た。
そしてお母さんは二十時ごろに来ると言っていた。
「後二十分くらいか。」
時計を見てそうつぶやいた。
今までの状況を説明する。
かなり勇気が必要だとは思う。
けれども家族に言わないといけないそんな気がした。
「大丈夫。
お母さんなら。」
どこからそんな勇気が湧き出てくるのか。
そんなことはわからない。
けれどもお母さんは親身になって聞いてくれるそう思った。
「早く来ないかな。」
また呟く。
最近独り言が多くなっちゃたのかも。
常に一人でいるし。
そんなことを考えていると家のチャイムがなった。
「今開けるから。」
僕はそう言って玄関の扉を開ける。
「こんばんは晴。」
そこにはお母さんがいた。
「思ったより早かったね。」
「涼さんが送ってくれたのよ。」
「そう。それはよかった。」
僕はそういってソファにお母さんを案内するのだった。