一歩前進してみる
イベントが終了し全プレイヤーが強制ログアウトさせられた。
「アップデートのため2日間の時間がかかるのか。
原因はやっぱり僕かな。」
僕はそう思った。
運営側もゲーム内の自由性を謳っている。
だからこそ制限などを設けることは嫌なのだが、
「あそこまで行けるようにするにはかなりの時間がかかったんだけどな。」
現在僕の使っている技術は僕が独占している状況だった。
だからこそレシピや作成物などを望むものもいるだろう。
しかし運営がそんなことを許すとは思えない。
だって誰かの努力を簡単に踏み躙るわけだから。
そんなことを考えていると電話がなった。
「も・もし・・・」
僕は声が出なくなる。
自分の世界にいるときは自由に声が出せる。
けれど自分の世界から離れ外の世界に触れると声が出なくなる。
『急ですまない。
お前の父になった涼だ。
晴の状況は明くんから聞いた。
もちろん母さんには言っていない。
だが母さんは自分でもどうしたらいいかわからないと嘆いていた。』
「す・・ま・ん。」
やっぱり声が出ない。
『それでだが、
明くんと話した結果、
晴は夏休み明け俺の知り合いの学校に転入してもらう。
新しい環境ならなんとかなるかも知れないからな。
まぁ無理をしないでいい。
明くんもついって言ってくれるそうだ。
一応これでもお前の父親だ。
何か嫌なことでもあったりしたら言ってくれ。』
「あり・・・う・」
『なんてことないさ。
晴はな自分を出さなさすぎだ。
もっと自由になっていいんだぞ?
自分が不運だとかネガティブ思考になっていると、
ネガティブなことしか起きない。
だから少しポジティブに考えろ。
もっと気楽に生きろ。
そっちの方が人生を楽しめると思うぞ。
まぁ今何を言っても変わらんだろうが。
少しずつ前進していけ。
晴には味方がちゃんといるから。』
お父さんはそう言ってくる。
どうしてそこまで僕に構うのかがわからない。
だけど優しいことはわかった。
だから少しは勇気を出さないとそう思った。
今変わることが出来なくたって、
いずれ少しずつ変わっていけばいい。
「頑張ってみる。」
『辛くなったら自分で抱え込むなよ?
周りに相談しろ。』
お父さんはそう言って電話を切った。
「やっぱりすごいや明は。」
僕はそう思う。
いつも僕のことを救ってくれる人。
どんな時でも僕の味方になってくれて優しい人。
「ポジティブに考えるか。」
僕は頑張ってポジティブに考える。
今までは序章だった。
これからはきっと幸せな日がくる。
僕はそう思うことにした。
「どうかこれから幸せな日々が続きますように。」
僕はギラギラと光り輝く太陽にそう願うのだった。




