チャラ男の処遇はいかに
「明くん。
一応聞くがそれは本当なのか?」
涼さんはそう聞いてきた。
誰もが疑うだろうこんなこと。
晴いつも自分を取り繕っていた。
そんな晴を見ていたから自由なままでいられるゲームに誘ったのだが。
「はい。
本当です。
逆に聞きます。
こんな目に遭っている人を見せ過ごせるまで落ちぶれていないんで。
でも晴のお母さんは俺自身お世話になったこともあるので、
晴が心配かけないようにって言って秘密にしてと言われていました。
けれども晴のお父さんとなるとまた別です。
晴の身に受けていることを知る権利はあると俺は思ったからです。」
「明くん。
質問いいかい?」
「いいですよ。」
「俺はそんなにも頼りなく見えるか?」
涼さんはそう尋ねてきた。
頼りになるとは思う。
ただ初めてあった人。
そして自分の母を奪った人。
そう捉えることもできる。
「頼りがいはあると思います。
でもそれは一般人からしてです。
晴自身はお母さんが再婚することは否定したかったと思います。
でも晴はお母さんの幸せを願い否定しなかったんだと思います。
だからこそ涼さんは晴からしたら悪い印象しか残らないでしょうね。
でも晴自身は周りに迷惑をかけまいと我慢して閉じこもってしまうような人です。
最近やっと出てきたなと思ったらこれです。
もし神とやらいるとするならば不公平ですよね。
晴はこれといった才能を持っていません。
俺から言わせてもらうと平凡すぎる人です。
ただ一つ不運ということを除いては。
そして俺は逆に色々恵まれていました。
才能も容姿何もかも。
でも周りは変わりませんでした。
いつも俺はいじめられたばかりだったんですが、
晴が助けてくれたりしてくれたんです。
まぁ少し恥ずかしいですけど晴は俺からしたら友達以上の存在なんですよ。」
俺は少し恥ずかしいと思った。
「そうか。
まぁ色々教えてくれてありがとう明くん。
俺は家に帰って晴を犯した野郎をとっ捕まえるとするよ。
それと今通っている学校は辛いだろう?
だから俺の方でも伝手で別の学校に通えないか聞いてやる。
もちろん明くん。君もだ。
俺のといったらあれかもしれんが、
晴のことを助けてくれてありがとう。」
涼さんはそういった。
「わかりました。
一応連絡先を交換しますか?」
「それはお願いしよう。
晴について何か進展があればまた報告してくれ。」
「わかりました。
それではまた今度。」
俺はそういって車から降りた。
「家に帰るか。」
晴のマンションを見つめて。
「あいつ大丈夫かな?」
そんなことを思いながら俺は帰路を辿った。
ー涼視点ー
「クソが!!」
俺は車の中で一人そう言った。
「一旦冷静になるか。」
明くんから話を聞いていてあまりにもかわいそうだと思った。
彼いや晴は常人なら自殺するであろうことまでも抱え込みそして一人で悩んでいた。
「情けねぇな俺。」
俺は交渉を良くするとき顔を見て心をある程度読むことができた。
あの時の俺は少しテンションが下がったんだな。
時間が経てば元に戻るだろうと考えた。
でも実際はそうではなかった。
女になってこんなことがあったら耐えきれないだろう。
「とりあえずカメラを確認しないとな。」
俺はショッピングモールの管理者に連絡をとった。
「もしもし啓太?」
『なんだ涼こんな時間に。』
「お前の経営してるショッピングモールあるだろ?
そこの監視カメラちょっと見させてくれんか?」
『なんかあったのか?』
「実はだな...」
俺は事情を説明した。
『涼、お前それりゃあデケェ爆弾持ってくるなよ。
まぁいいか。今からこれるか?』
「いける。
というかいく俺は。」
俺は啓太のところに向かった。
「それで啓太。
監視カメラはどこだ?」
「一応指定されたカメラに言われた通り存在していた。
そして案の定人通りの少ない多目的トイレに連れ去られている。
まぁこの男は既に捕まえておいた。
安心しろ。こいつは余罪をたくさん持っていた。
それと晴だっけか?
記憶をいじればその辛い記憶を消せるけどどうする?
やるか?やらないか?」
「それは本人に聞いてから考える。
今はその男と会いたい。」
「そういうと思っていたよ。
場所はここからすぐ近くにいる。」
俺は啓太に案内された。
「こいつだよ。」
啓太が指差したところに人が倒れていた。
「うるさかったから寝かしておいた。
今から起こす。」
啓太は何かしらの薬品を投与して起こした。
「なんだテメェら?」
「お前今日ショッピングモールで女を犯しただろ。」
「あぁ犯したさ。
あいつはよかったよ。
初めは反抗的だったがよぉ。
一度心を折ればいいなりだ。
体も十分楽しませてもらったさ。
それでそれがどうかしたか?
俺は絶対に捕まらないんだよ。」
男はそういった。
「ほぉそれはどうしてだ?」
「俺はだなこの辺を仕切っているやつの息子だからなぁ。
俺をこんなことしたお前ら覚えておけよ。」
「そうかそいつの名前は龍門寺章介とか言わないか?
あいつは俺の手下だ。
分かるかその理由。
お前連れ去られた時何してた?
そしてどこにいた。」
そのセリフで自分は今どのような状況にいるか理解したようだった。
「大丈夫だよ。
豚箱には入れねぇからよ。
涼。後はお前に任せる。」
啓太にそう言われ俺はこの男に処遇など全ての権利をもらった。




