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友達以上の存在だから

「明?」


僕は動揺しながらそう聞いた。


「晴なのか?

 とりあえずドアを開けてくれ。」


明はそういった。

だけど僕は怖かった。

だけど明だ。

あんな男とは違う。

そうチャラ男とは違うのだ。

そう心にいいながらドアを開けた。


「晴どうしたんだその格好。」


僕は白シャツ1枚でそれ以外何もきていなかった。

そして明から僕の胸に視線を感じた。

その途端あの男が明と重なって。


「どっか行って」


僕は明を突き飛ばしてしまった。

そしてふと冷静になって。


「ご、ごめん明。」


謝るのだった。


「晴何があった?」


そう言って明が近づいてきた。


「それ以上近寄らないで!!」


僕はそう言った。

あぁなんてひどいことをしてるんだ。

そう思った。

わかっている。

明はそんなことをしない。

わかっているはずなんだ。

だけど男って思うと近づくだけでも僕は体が震えてしまう。


「大丈夫か晴?」


明はこんな僕のことでも心配してくれたけれども、


「無理ぃぃぃ。」


僕は叫びながら布団の中に入った。

そしてドアの閉まる音がした。


「すまんが入るぞ晴。」


明はそう言って堂々と入ってきた。

そして男が同じ部屋にいる。

その事実だけで吐きそうになった。


「ごめん。なんかしたのならほんとにごめん。」


明は土下座で謝ってくる。

でも本当にそれ以上近づかれると、


「それ以上近寄らないで。

 ほんとに無理だから。

 でも悪いのが僕だから。

 ごめんなさい。」


僕はそう言うしかなかった。


「晴。

 少しずつでいいから話してくれないか?」


明は優しい声でそう言ってくる。


「わか・・た・。」


「ゆっくりでいいから。」


僕はゆっくりと話をしていった。

それは明からゲームをもらった次の日に女の子になったこと。

でもそのままゲーム内で自由に楽しんでいたこと。

そして今日あったこと。

全てを話した。

すると明は、


「それは本当に申し訳なかった。

 晴のお母さんにも謝りにいく。」


「待・・て。

 お・・さんには・いわ・・・いで。」


辿々しい口調になりながら僕はそう言った。

あぁこんなにも苦しいんだ。

僕はそう思った。

頭では理解している。

けれども体が拒否してくる。


「わかった。 

 今日はもうこの辺で帰るな。

 鍵はしっかりと閉めろよ?

 まぁ安心しろ。

 俺はどんな姿になろうと、

 俺はいつだって晴。お前の味方だ。

 そして一生友達だ。

 だからまた克服したら一緒に遊ぼうな。」


明はそう言って帰っていった。

僕は明が家に出た途端鍵を閉めて。


「すごいなぁ明は。」


声も漏らすのだった。






ー明視点ー


俺は本当に最低なやつだな。

俺はそう思った。

晴はあれほど嫌な目にあったにも関わらず一生懸命いつもの自分でいようとした。

けれども俺が初めにしたことはなんだ?

体を見て可愛いな。

だぞ?あまりにも最低じゃないか。

あれほどまでに嫌な経験をした晴相手に性的な感情を少し芽生えてしまった俺。


「どうしたものかな。」


とりあえず晴を犯したやつは徹底的に潰すとして、

それでも晴はきっとトラウマになるだろう。

だから少しずつ改善させてあげないといけない。

ただでさえ、女子に冤罪をかけられていたと言うのに、

女になったら男に狙われる。


「これ一応晴のお母さんに言ったほうがいいかもしれないな。」


俺はそこで悩むのだった。

晴はお母さんに迷惑をかけることを嫌がる人だ。

いつも迷惑を掛け続けているからこそ、

それ以上迷惑をかけたくないそんなことを考える人。


「そういえば晴のお母さん再婚したんだっけ?」


俺はその件について晴のお母さんに連絡するのだった。


「もしもし晴のお母さんですか?」


『いや違うよ。

 晴のお母さんの再婚相手だ。

 それで何用かね?』


「実はですね晴のことで聞きたいことがあるんですよ。

 あなたと二人で話せませんか?」


『どんなことだ?』


少し威圧的にそういう晴のお父さん。

俺はその行動で愛されているんだなと思うのだった。


「今日のショッピングモールのことです。」


『わかった。

 どこに行けばいい。』


「晴の家の前でどうでしょう。」


『わかった。

 20分ほど待っていてくれ。』


通話が切れるのだった。


「これでいいんだよな俺。」


そしてそのあと時間はすぐに経過して晴のお父さんがやってきた。


「ども晴の友達の北宮明と申します。」


「俺は黒沢涼だ。」


「よろしくお願いします。

 話をしたいんで車の中に入ってもいいですか?」


「まぁいいぞ。」


晴のお父さんはそう言った。


「それで今日晴に何があった。」


「待ってください。

 その前にある程度敬意を教えてください。

 俺は晴から聞いただけなんで。

 それと晴自身はお母さんに迷惑をかけたくないって言ってるんであまり大事にしないでください。」


「わかった。簡潔に言うとだな、

 俺の娘の雲雀がトイレに行っている間に晴がどこかに行き、

 1時間近く行方がわからなくなってお母さんが電話したら出てきて、

 それ以降ずっと家族の仲が悪くなってしまった。

 こんな感じだ。」


「そうですか。

 それじゃ俺が知っていることを言いますね。

 簡潔に言うとその1時間の間に晴は見知らぬ男性に犯されました。

 そして晴は皆さんに迷惑をかけたくないと思いそのことを言わずにいました。

 誰にも言わないでと言われましたが、

 それどころの話じゃないと思ったので晴のお父さんに相談させてもらいました。

 晴現在おそらくですがかなりの人間不信。

 もしくは極度の男性恐怖症になっています。

 そして晴とお母さんが隠していることがあります。

 彼は性別反転化症候群です。

 元々男でした。

 これは晴のお母さんも知らないことですが、

 春はこの一年で女性に痴漢の冤罪を2件そして一人の方は好きな人に冤罪をかけられました。

 彼は相当な負担を抱えています。

 それでもあなたは晴をどうにかできますか?」


俺は真剣に晴のことについて話すのだった

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