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道案内

「晴ちゃん。

 化粧についてどのくらい知ってる?」


「あんまり知らないです。

 僕は一度も化粧したことないですし。」


僕は正直に言った。

逆に僕がここで見栄を張ったとしてもボロが出そうだったから。


「そっかぁ〜。

 それじゃどうしようかなぁ。

 とりあえず下地は重要いや晴ちゃんは元が良いから。

 どうしたらいいんだろ。

 というかこれで化粧していないは反則でしょ。」


雲雀さんはそう言った。

僕には化粧がわからなかった。

というか買ってもらったとてもできる自信がなかった。


「化粧は大丈夫ですよ。

 僕買ってもらっても化粧しないと思いますし、

 だから大丈夫です。」


僕はそう言った。

というか僕が化粧したらなんか男として何かを失ってしまう。

そんな気がしたからだ。

男でも化粧をする人がいるのは知っているでも、

これは関係ないと思う。

だって女としての化粧をするのだから。

そんなことした僕のメンタルがもたない。

今でさえワンピースでメンタルがじわじわとダメージを受けているというのに。


「そっか。

 まぁ晴ちゃんがそこまでいうなら。

 それじゃこの後何しよっか?」


雲雀さんはそう聞いてきたが、

僕は何も案が出てこなかった。

僕的にはこういうことを早く終わらして家に帰ってダラダラしていたいのだが、

さすが陽キャということもあり、


「カラオケでもする?」


と提案してきた。


「僕は音痴なんでやめておきます。

 というかカラオケってここにあるんですか?」


「いやないけど?

 確かここを出て少ししたらある場所だけど。」


「そうですか。」


「晴ちゃん?

 さっきから言ってるけどなんか他人事って感じじゃない?

 もっとお姉ちゃんに関心を持ってよ。

 ほら頼れるお姉ちゃんがいるんだから。」


「すみません。

 僕そういうの少し苦手なんで。」


「そっか。

 あぁ。そこで待ってて。

 トイレ行ってくるから。」


そう言って雲雀さんは近くのトイレまで駆け込んでいったのだった。


「一人になっちゃったね。」


なんだか一人でいると少し寂しく感じながらも、

気分が少し楽になった。

そんな気がした。


「それにしても僕がこんなところにいるなんてな。」


椅子を見つけたのでそう呟いていると、


「ねぇ君。ちょっと聞きたいんだけど。」


ちょっとチャラそうな人に声をかけられた。


「な、なんですか?」


「いやーここ初めてきたんだよ。

 それで服屋さんでおすすめの場所知らないかなぁ〜って思ってさ。

 それで君教えてくれる?

 それと名前は何かな?」


「そ、その。」


「どうかしたのかな?」


チャラそうな男の人はそう言ってぐいぐいと質問をしてきた。


「今ひとを待っていて。」


「そっかそれはひどいね。

 君みたいに可愛い子を待たせるなんて。」


「いやそれはちょっと違くて、」


「何が違うのかな?」


「いや」


「どうかした?

 ほら言いたいことがあるんだったら何か言ってみなよ。

 とりあえず服屋さん。案内して。」


「人を待って」


「案内して?

 もう一度言うよ。

 案内してくれるよね。

 ねぇ?」


そのチャラい人はそう言った。

僕はどこか威圧的な行動をとる男の人に恐怖を覚えた。


「まぁいいや。

 もう連れていけばいいだけだしね。」


その人は僕の腕を掴みそして、


「それと大声とか出すなよ?

 わかってるよな?

 もし出したらどうなるか?」


僕はその言葉でどうすることもできなくなってしまった。

僕はあまりにも非力だったと実感するのだった。


「この辺でいいかな?」


その男は人が少ない場所まで僕の腕を引っ張り、

無理やり連行された。


「ほんと君みたいな子が最高だわぁ。」


「な、何をするんですか!」


僕は精一杯声を張って言った。


「黙れよ!」


大声で怒鳴られた。


「っひ。」


僕はその声にビビってしりもちをついた。


「とりあえずさ。

 今何円持ってるの?

 まぁカバン見せてよ。」


その男は僕のカバンを奪い取り中を確認するのだった。

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