写実主義
(犬という知恵のかたまりはもちろんニャアと鳴く獣でもわかる話)
まず、広く共有できる社会的テーマを扱う写実主義がうまれた。
小説はテーマと表現技術。
写実主義は現実社会のテーマ重視です。
現実を適度適当にデフォルメして現実社会に必要なテーマを明らかにしろ。
そう坪内逍遥や二葉亭四迷は言うわけですよ。
代表作としては『当世書生気質』と『浮雲』を読んでおけばいいでしょう
社会的に通用する客観的テーマ表現ために必要なの適度なデフォルメのことを「箸小棒大」と坪内逍遥は言いました。
現実社会の言葉遣いを使うのが、【言文一致体】です。
現在の実作者で気がつくひとは気がつくと思うのですか、現実社会の言葉遣いだけで書くと言うのは、わりと縛りプレイなのです。
現実にありえない特殊な語尾とかを使ったキャラづけなどは禁止。
後の擬古典主義の尾崎紅葉は「言文一致でいいのならば落語の速記本だけで十分である」と笑いました。
ただ、当時の現実社会にありえない言葉遊びといった表現の技術を制限したため、写実主義の比喩の工夫や場面による説明の技術がとても発達したのですよ。
場面による説明って、わかりません?
アレですよ。
異性にもてる学生キャラを説明するために、登下校時の下足箱にラブレターが一杯はいっているとか。
強さを見せるためにザコ敵を一掃する場面を一応は入れておくとか。
そういう場面で説明してしまうやり方。
━━SFは絵だ━━
そういうことが昭和SFでは言われていました。
・言文一致体・多数に共有できる客観的テーマ重視(浪漫主義との区別)
・現実社会のデフォルメ(自然主義との区別)
・場面による説明(新現実主義や白樺派や余裕派との区別)
・メタ表現や言葉遊びの回避(擬古典主義や余裕派との区別)
・比喩表現・擬人法・体言どめの工夫。
・起承転結といった全体構成の工夫
このあたりが写実主義の技法と言えるでしょう。