プロローグ ある日の推し事。
業界にはあまり詳しくないです。
お手柔らかに((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル
「はうぅ……可愛いよなぁ、御堂橋エレナ」
俺はその日、いつものように某バーチャル配信者の放送を見ていた。
画面の奥には赤髪の活発少女が映し出されており、おっかなびっくりにホラーゲームをしている。彼女の名前は御堂橋エレナ。大手配信者事務所に所属しているライバーであり、その箱の中でも俺が最も推している人物だった。
普段の雑談配信では上から目線な発言が目立つが、ことホラーゲーム配信になるとすぐに叫んで涙目になり、配信越しでも分かるほど狼狽えるのだ。
「いい……。そのギャップが、実にいい……!」
俺――高梨ソウタは、そんな彼女をデビュー時から見守ってきた。
とはいっても、変に後方腕組をしたいわけではない。指示コメントなんて絶対にしないよう、打ち込んだ後に数分の吟味を重ねるほどだった。
こちらとしては、いうなれば――そう『壁』となりたいのだ。
認知されたいわけではない。
ただ、彼女の楽しげな様子や、悲しげな様子をそっと共有していたい。
「さて、それじゃ……今日も最後に、スパチャを……ん?」
そうこう考えていると、もう終わりの時刻となっていた。
しかし俺はそこで、とある違和感に気付く。
『あー、そうだ。最後に告知なんだけどさー……』
画面に映った御堂橋エレナは、不意にそう言った。
そして、やや鼻息荒く続けるのだ。
『実は明日、アタシが推してるライバーさんとコラボすることになりました!』
いつにない興奮からか、声が上ずっている。
よほど嬉しいのだろうと思われた。御堂橋エレナは、意気揚々とそのコラボ相手を発表する。
『事務所という垣根を超えて、飛葉ねるちゃんがきてくれます!!』
そうして語られたのは、とある小さな事務所に所属しているライバーの名前だった。
飛葉ねる――御堂橋エレナとは対照的に、どこか大人びた印象を受ける女の子ライバー。エレナ単推しである俺は詳しく知らないが、ひとまず調べてみようと思った。
スマホで検索をかけると、そこに映し出されたのは青髪に金の瞳をしたイラスト。
やはり、記憶と齟齬なく淡々と配信するようなスタイルらしい。
『というわけで、明日は初対談! 頑張るので、みんなきてね!!』
そうこうしているうちに、エレナの配信が終了する。
――あ、スパチャし損ねた。
「……でも、推しの推し、か。なんか変な感じだな」
俺はそう思いながら、パソコン電源を切る。
ベッドに横になりつつ、明日の配信情報を確認しつつ呟いた。
「でも、エレナが楽しいなら。それでいいか……!」――と。
しばらくは継続的に更新します。
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