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はたして俺の異世界転生は不幸なのだろうか。  作者: はすろい
六章 帝都ガラニス 
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次の一手

「ぐっ・・・!」


 常人とは比類なき巨体を持ったアンデッドの攻撃を受け流す。両腕に痺れを覚えつつも、右から割り込む別のアンデッドの攻撃をすり抜けて切り伏せる。一体倒した余韻に浸る間も無く、次々に死者が押し寄せる。


 ノアも俺と同じく苦戦している様子だ。騎士団での鍛錬で俺よりは複数戦に慣れているノアだが、流石に終わりの見えないアンデッド相手には手を焼いている。


 しかし、それでもまだマシな方だ。

 というのも俺とノアが相手しているのはいわば普通のアンデッド。申し子スキルを持ったアンデッドをコユキが引きつけているのだ。

 俺とノアとは比べ物にならない負担を抱えているコユキは涼しい顔をしている。あれは化け物だな、人間が敵う相手ではない。


 そんな思考ごと切り裂く様に、眼前を銀の閃光が過ぎ去った。

 死体の軍勢の向こう側に、死霊術師が顔を覗かせる。憎たらしくほくそ笑みながら俺たちが悪戦苦闘する様を眺めている。

 奴が俺達の破滅を確信し、それを心待ちにしているのが手に取るように分かる。そして悔しいが、このままでは奴の思い通りになってしまうだろう。

 コユキは大丈夫だろうが、俺やノアはここで屍を晒すことになるだろう。


 退路はなく、死霊術師へ続く進路もない。

 着実に追い詰められていくこの現状をどうにかしなければならない。


「おい!アルマ、ノア!ここは妾が相手する!お前らは先に進め!」


 コユキから思ってもみない一声。


「とは言ってもどうやって!?」


 コユキがこいつらを引き受けると言っても、死霊術師まで続く道が無ければ話にならない。


 などと言う俺の心配はすぐに掻き消された。

 中空に舞うコユキがそのまま手を払うと、氷の道がアンデッド達の頭上にかかった。


「早う行け!」


 その言葉に従って、俺とノアはその道を通り、死霊術師の元へと向かった。


 俺たちが道を渡り切ると、すぐさま氷の道は崩れ落ちた。そして次の瞬間、アンデッド達を取り囲む様に氷の壁が現れた。


「さて、悪いが先には行かせんぞ!代わりに妾の相手をしてもらおう!」


 壁の向こうからコユキの声が聞こえる。

 なんとも頼りになる仲間だ。


「こっちはこっちの仕事をするか」

「はい」


 ノアと言葉を交わし、死霊術師の顔を見据える。

 その顔には悔しそうな表情が・・・と思っていたが存外余裕そうだ。


「どうやら侮っていた様です」


 浮かべた笑みをそのままに、優しく俺達に言葉を投げる。


「俺達の力量を、か?」

「あの少女の、ですよ。あなた達は想定の範囲内です」

「そうは言っても、ここまで来れば追い詰めたも同然。諦めろ」


 いつもとは違う強い口調でノアが発言する。

 ノアの言うように、この状況は俺たちが優位に立っている。なぜなら死霊術師は、アンデッドに戦闘を任せていたことから戦闘能力には長けていないと思われるからだ。


 にも関わらず、未だに余裕そうなのはどう言うことだ。


「追い詰められたというのなら、次の手を打たねばなりませんね」


 言葉の次に耳に入る靴の音。目の前の暗闇からコツコツと響くその音は次第に近づいてくる。

 やがて足音の正体が姿を現すと、俺は目を見開いた。


 白い頭髪に、白いローブ。どこか高貴さを窺わせるその容姿に俺は確かな覚えがあった。


「再び貴方と合間見えることを、私は光栄に思います」


 手をゆっくりと広げ、その男は名乗りを上げた。


「私はヌール・ドグラズマ。此度は迎え撃つものとして貴方の『愛』を見定めましょう」

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