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はたして俺の異世界転生は不幸なのだろうか。  作者: はすろい
六章 帝都ガラニス 
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現れた手がかり

 コユキと共に、俺は再度墓地へやってきた。ざっと見まわしたところ、約二週間ぶりの墓地は以前訪れた時との変化はないように見える。


「細部まで迅速に調べるぞ、コユキ。俺は右から調べていくからコユキは左から調べて行ってくれ。少しでも違和感を感じたら教えてくれ」


 着いて早々、コユキに調査を開始することを告げた。


「構わんが、人の目に着くようなことは避けるべきでは無いか?」

「だから迅速に、と言ったんだ。それにノアはそのリスクを承知でこの調査を決行するよう言ったんだ」


 コユキはリスクという言葉が引っ掛かったようで、たどたどしく連呼している。この世界ではリスクと言う言葉は無いのか、それともコユキが疎いだけか。


「まあ良い。面倒ごとは早く片付けるに限るからの」


 そう言って、コユキは左へ進み墓地を調べ始めた。俺もコユキとは反対方向に足を進め、調査を開始した。


 地面や墓石を一つ一つ入念に調べていく。

 地面に怪しい痕跡は無いか、墓石になにかおかしな点は無いか。以前来た時に取りこぼした手がかりが無いかを目を凝らしながら調べる。


 一つ目、問題なし。二つ目、問題なし。三つ目、問題なし。四つ目、問題なし。


 苔生していたなら、苔を取って不審な点を探した。ひび割れていたなら、墓石に不自然な仕掛けが施されていないかを吟味した。

 あらゆる可能性を念頭に置き、そこから生まれる疑問を基に調べて、調べて、調べて・・・。


 そうして最後の一つに問題が無いことを確認した。


「妾の方は気になるところは無かったぞ。お前の方はどうだった?」

「全て問題なかった」


 やはりそう簡単に見つからないか。

 もともとここに死霊術師につながる何かがあったが、アンデッドが倒されたことを知り、その何かを隠滅したのか。それともあのときアンデッドと遭遇したのは単なる偶然なのか。

 いや、そんなことを考えたところでしょうがない。この墓地には何もなく、何の変哲もない墓地だったということだけが確かだ。


「ではこれからどうするのだ?」


 ノアと合流する。いや、夜になればノアと意見を交わすことは出来る。急ぐことではない。

 だとすれば、俺たちは俺たちで情報を集めるべきだ。


「そういえば、ここは教会の所有地だったな」


 ふと、そのことを思い出す。いかにも聖職者と言う恰好をした老人が俺に接触してきたのだ。あの老人に話を聞けば、ひょっとすると有用な情報が得られるかもしれない。


「コユキ」

「なんだ?」

「教会へ行こう。そこにいる爺さんに・・・」

「私に何か用ですか?」


 俺とコユキの会話を遮るように、しゃがれた声が聞こえる。

 声のした方には、あの時の老人が立っていた。


 あまりのタイミングの良さに、思わず何か裏があるのでは無いかと思ってしまう。だが話を聞くには好都合だ。


「ああ、そうなんだ」

「ふむ。あの時とは口調が違いますね」


 そういえば、最初に会ったときは丁寧な口調で話していたな。


「すみません、普段の口調が。失礼でしたね」

「アルマお前、気味が悪いうえに全然似合わんのう」


 コユキが視界の端で顔をしかめているのが分かる。


「いえ、そう堅くならずともよろしい」

「そうか?だったら、早速なんだが・・・」

「話の前に、教会へ行きましょう。立ち話もなんですし」


 と、促されるままに俺とコユキは男の後ろを着いていく。行先はもちろん教会だ。


「歩きながらで悪いが、ここ最近おかしなことは無かったか?」

「そう焦る必要は無いでしょうに」

「焦ってはいない。ただ長話になるんでな。教会に長居されるのはそっちも迷惑だろ?」

「なるほど」


 歩きながらそんな会話を繰り広げる。


「特にありませんでしたね」

「本当に?何か怪しげな人影を見たとか、そういうのは無いか?」

「あなた方が探しているのは不死の者でしょう?」


 ・・・なぜ知っている。

 教会で人の懺悔を聞く中で情報を得た?そんなことあるのか?懺悔というのは世間話のことを指す言葉ではない。仮にアンデッド関係で懺悔しに来る奴がいたとしたら、死人を利用したという己の過ちを悔やむ死霊術師本人だろう。

 だが奴がそんなことをするか?王都騎士団に手先を潜り込ませ、正体が割れることを危惧して帝都まで来た男だぞ。そんな奴が懺悔?冗談にしては出来が悪すぎる。


 ならばアンデッドについて知っている目の前の男は何者だ。


 そんな思考を巡らせているうちに、教会へと辿り着いた。


「分かっておるなら話は早いのう。ほれアルマ、回りくどい聞き方は辞めて直接聞いてみよ」


 教会に足を踏み入れると同時にコユキが言葉を発する。

 それと同時に、前を歩く老人の肉体から光の矢が放たれた。


 俺はすぐにコユキを引っ張り、その矢を避けた。

 ゆっくりと振り返る老人。その表情は恐ろしいほどに冷たかった。


 そして俺は確信する。

 この爺は死霊術師本人、またはそれに繋がる人物だ。

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