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はたして俺の異世界転生は不幸なのだろうか。  作者: はすろい
六章 帝都ガラニス 
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結果報告

「では、今日の調査結果を報告します」


 ノアはそう切り出した。

 空は赤く染まり、人々の動きも大人しくなり始めた頃。俺とノアはグレイ家で会議を始めた。

 だが、ノアの顔を見るに今日の調査で得られたものに期待はできなさそうだ。


「すみません。今日は特に情報を得られませんでした」


 俺の予想通りだったようだ。

 ノアは僅かな悔しさをその表情に滲ませた。


「謝らなくていい」


 ノアはこれまで、帝都で三ヶ月の間調査をしてきた。それだけの時間をかけて得られた目撃情報は十個ほど。毎日地道な調査を続けて、そして今なおその地道な作業を続けている。騎士団としての仕事だったとしても、気の遠くなるような話に腐ってもおかしくないところを、ノアは注力し続けている。

 本当に、謝る必要はない。


「なら次は俺か」


 俺の励ましの言葉はノアに届かなかったらしく、顔を顰め続けている。このまま引きずられてもなんだし、俺は話題を切りかえるついでに自分の成果を発表することにした。


「俺が墓地に行った成果だがアンデッド、動く死体に遭遇した」

「本当ですか!?」

「ああ、お前の調査のおかげだな」


 今度は励ましが届いたらしい。ノアの表情が少しだけ晴れた。

 それを確認した後、俺は続けた。


「今までのアンデッドは知能のかけらもない奴らだったんだが、今回は違った。あいつは俺と言葉を交わした。会話をするだけの知能があった」

「なるほど・・・」

「だから出来るだけ情報を引き出そうとしたんだが・・・悪い。俺には無理だった」


 軽く頭を下げ、不甲斐ない成果を詫びた。

 あのアンデッドを倒したその後、墓地内を軽く見て回ったが特におかしなところはなかった。そして俺はとぼとぼと帰路についた。


「いえ。そのアンデッド、と遭遇しただけも大収穫ですよ」


 アンデッドという言葉はこの世界では使われてないのだろう、ノアはその言葉を若干たどたどしく口にした。そもそもアンデッドなんて魔物が居ないのだから仕方ないか。


「おそらく死霊術師は帝都にいる、と今回アンデッドに遭遇して思った」

「そうですね。それに知能があった、というのが気になりますね」


 確かに、その時は不思議だけど話が聞けるからラッキー、程度にしか思ってなかったが奇妙だな。


「死霊術が禁忌って言うのはどのくらい浸透してるんだ?俺は全然知らないんだが」

「まあ百人いれば九十人は知ってます」

「どのくらい前から禁忌って言われるようになったんだ?」

「分かりません。ですが年配の方でも知っているので、それくらい前のことです」


 禁忌として認識されて久しいわけか。そしてこの世界の人間はそれに準じて死霊術を忌避している。だからこそ死霊術を行使することは無い、いや無かった。

 となれば死霊術自体の知識も失われていくのではないか?

 そして俺たちが追う死霊術師はその失われた知識を研究し、最近になってそれが形になってきた。


 つまりこれまで会ってきたアンデッドは不完全だった。今日会った言語理解できる、知能を持ったアンデッドこそが完成形だった・・・とか?


 正しいか否かは分からないが、可能性はある。


「アルマさんが今日会ったアンデッドこそが本物だったということも考えられませんか?」


 どうやらノアも同じように考えたようだ。


「もしかしたら猶予はないのかもしれないな」

「かもしれません。死霊術師も着々と力を付けていると言うことですからね」

「む?帰っていたのか、アルマ」


 街に出ていたコユキがちょうど帰って来た。コユキは俺の顔を直視した後、なにやらにやにやとした表情を浮かべた。


「妾が居なくて不安だったか?」

「ああ、バッチリ命の危機に瀕した。なんとか倒したけどな」

「ええ!?アルマさん戦ったんですか!?」


 そうだった。戦闘行為は避けてくれって言われてたな、そういえば。


「いやでも、あれは仕方なく。やらなきゃこっちが死んでたし・・・」

「ですがわざわざ戦わなくても、逃げるなりすれば・・・」

「あら、おかえりなさい。二人とも元気そうね」

「もうすぐご飯出来るから、待ってて」


 今日も賑やかになりそうだな、グレイ家は。

 ノアの説教を聞き流しながら、そんなことを胸中で呟いた。

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