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はたして俺の異世界転生は不幸なのだろうか。  作者: はすろい
六章 帝都ガラニス 
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墓地に行こう

 幸せな、夢のような時間は過ぎ去り朝を迎えた。いや、帝都にいる限りこの時間は続くのだろう。それは今朝だって同じことだ。


「おはよう、アルマ君。朝食出来てるよ」

「まだあるんだろ?俺も運ぶの手伝うぞ」


 俺とカシムのそんな会話を座っていたコルナがにこやかに眺める。その隣に座っているノアはメモを眺めながら思案に耽っている。俺の後に起きてきたコユキは目を擦りながら席に着いた。

 そんな当たり前の暖かい時間、俺の手からこぼれ落ちたはずの時間。


 だが、いつまでもうつつを抜かしてはいられない。俺やノアはすべきことがあってこの帝都に赴いた。それを遂行しなくてはならない。


 五人で食卓を囲み、朝食を口に運ぶ。

 やがて全員が食べ終わったところで、ノアが口を開いた。


「アルマさん、今日は墓地の調査をお願いしてもいいですか?」 


 帝都の片隅に設けられた墓地。

 そこには天寿を全うした一般市民や、帝都軍の兵士たちが眠っているという。

 その墓地ではアンデッドが目撃されているらしい。アンデッドの目撃件数自体は両手の指で数える程度でしかないが、そのいくつかが墓地またはその付近で確認されている。

 


「分かった。ノアはどうするんだ?」

「僕は聞き込みをします」


 ノアはメモを片付けながら続ける。


「墓地は有力というだけで、死霊術師に確実に繋がるわけでは無いですからね。ですからアルマさん、何か一つ手がかりを見つけられたら上々です。それと戦闘など、帝都軍の目につく事は控えてください。あとは・・・」


 くどくどと喋り続けるノアの言葉を聞き流し、俺は思考を巡らせた。

 昨夜ノアから話を聞いた時から、俺には一つ気掛かりに思っている事があった。それは死霊術師の行動が活発な事だ。

 件数自体は多くない。だが王都と比べると格段に多い。それが帝都に死霊術師がいるかも知れないと考えられる根拠だ。

 それにしてもアンデッドが目撃されすぎている気がする。危機感がないというか。まるで帝都にいるのが露見する事を恐れていないかのような、そんな感じだ。


 と、そこで思考を振り払った。

 どうせ考えても仕方ない。俺にできるのは死霊術師の居場所を探す事、それだけだ。


「以上です」

「あ、終わった?」

「あら、今日はお出かけ?」


 俺たちの話を傍で聞いていたコルナが話しかけてきた。


「はい、この後すぐ家を出ます」


 ノアがそう受け答えした。

 家を早く出て、調査を始めるに越したことはないだろう。


「コユキは・・・」

「妾は街を回る」

「はいはい」

「妾が居ないのだから無理はするなよ。お前は危なっかしくてかなわん」


 コユキは墓地には来ないと。

 だが、コユキのいう通りかも知れない。万一命の危機に瀕した時、俺を助けてくれる頼れる仲間はいない。これは気を引き締めなくては。


 その後、俺とノアは身支度を済ませ、家を同時に出た。

 その直後、俺たちの背後にカシムの声がかけられる。


「行ってらっしゃい!」


 大きく手を振り、そこまで離れていないのに大声でそう告げた。


「「行ってきます」」


 意図せずノアと被った言葉は、簡素ではあったが確かに気持ちの籠ったものだった。 

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