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はたして俺の異世界転生は不幸なのだろうか。  作者: はすろい
六章 帝都ガラニス 
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帝都の家族

 ノアから告げられた事は、帝都でのアンデッドの目撃件数がいくつかあったということ。そのことからこの帝都に死霊術師が潜んでいる可能性が高いと見られている。


 ノアはこれまで聞き込みによって情報を得て来たらしい。その中で二箇所ほど気になる場所があると言う。その二つはどちらもアンデッドの目撃情報があった場所。もしくはその周辺でアンデッドを目撃されている、とのことだった。

 ノアは王都騎士団の団員であるため、聞き込みまではできても、現場に赴き調査するという行動は取れない。調査に向かった場で戦闘が発生した場合、どんな結果につながるか分からない。

 よって、必然的に俺が調査に向かう。まあ帝都に来た理由がそもそも同じ理由だから今更反応することもない。


 ノアは帝都での調査のメモを卓上に置き、事細かに説明してくれた。


「ということなので、早速明日から行動を開始しましょう」


 そう締めくくり、話し合いは終了した。話し合いと言ってもノアの調査結果を俺たちが聞くだけだったが。


「あのアルマさん」


 低く真剣だった声音から打って変わって、軽い印象を持たせる声でノアが話し始めた。


「なんだ?」

「エルリアル様から伝言です。『本当は私が行きたかった!』だそうです」

「あやつは子供よのう」


 お前が言うか、と思わず突っ込みたくなるコユキの一言。だが同感だ。


 それは伝言という扱いでいいのだろうか。いろいろ面倒ごとが片付いた後、何気なく言えばいいものを。エルらしいといえばエルらしいけれど。


「ノアはいつからこっちに?」

「アルマさんと会ったその週には王都を出ました」

「結構早い段階で来てたんだな」


 となるとこっちに着いたのは三ヶ月くらい前か?


「アルマさんにコユキちゃん、帝都はどう?」


 俺たちの何気ない会話にコルナが参加する。


「正直、王都よりもワクワクします。なんか男心をくすぐられると言うか・・・」


 要塞、って感じの佇まいがどことなく感じられて凄くグッとくる。


「妾ももっと早うこっちに来たかったわ。王都には飽き飽きしてたのでな」


 コユキは帝都が気に入ったと言うより、王都には居たくなかった的なニュアンスだな。

 ふてぶてしく話したコユキをコルナは微笑みながら見つめる。


「なら、我が家でゆっくりしてね。コユキちゃん」

「うむ。くれぐれも妾に粗相のないように!」


 早くもコユキの扱い方を理解したようだ。これから母になろうとする者だからか、子供の扱いがうまいな。


「お前、失礼なこと考えたな?」


 俺が感心しながらコユキとコルナのやりとりを眺めていると、コユキがこちらを睨むように見てきた。


「そんなのいつも考えてる」

「な!?・・・アルマよ、ここらで格の違いというものを教えてやろう」

「悪かった。すまん」


 結構本気でお怒りの様子のコユキ。

 さすがに俺とコユキでは天と地ほどの差があるのでこれ以上はやめておこう。


 そんなやりとりをしていると、奥の方からエプロン姿のカシムがやって来た。その両手には料理を持っている。


「ははは。盛り上がってるね。はいこれ、今日のご飯」

「手伝います、カシムさん」

「ありがとうノア君。なら、台所に置いてある料理を持ってきてくれるかな?」


 次々に卓上に並べられる料理の数々。

 どれも空腹を刺激する香ばしい香りを漂わせている。


「なんか申し訳ないな。こんなに用意してもらって」


 俺はエプロンを脱ごうとするカシムにそう告げた。

 今日が初対面で、こんなにも豪華な料理を作ってもらうというのは、なんだか遠慮したくなる気持ちさえ湧いてくる。とは言ってもここまでしてもらって拒むのも気が引ける。


「何言ってるの。アルマさんもコユキちゃんも、ノア君と同じ。今日から家族なんだから」

「そうそう。だから畏まらなくていい。そのかわり家事の協力はしてもらうよ?コルナが無理できない以上、それくらいはしてもらわなきゃ」


 コルナとカシムが柔らかな声色で話す。

 何故か、父と母の顔が脳裏に浮かんだ。


「これからよろしくお願いします」


 俺は二人に頭を下げた。


「うんうん。それじゃあ、ご飯にしよう」

「カシムさん、これで全部ですか?」

「ほれアルマ、いつまでそうしておるのだ。食べないのなら妾が全て貰ってしまうぞ」


 各々が賑やかに話し始めた。

 その日は久しぶりに暖かい食卓を囲んだ。

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