捜索の方針
「のう、アルマよ。今日も騎士団のところに行くのか?」
「ギルダから呼び出しがあってな。お前も来るか?暇だろ?」
ギルダに協力要請を受けた日から三日。
あの時は協力を持ちかけられただけだった。詳しいことについては後日擦り合わせると言っていたことから、今日の要件はそれに関する事だろう。
「ふぅむ。じっとしていても退屈だからの。王都の街にも飽きてきたところだ」
今日の話し合いの内容次第でコユキの退屈が覆るかもしれない。
俺としても、それを望むばかりだ。
* * * * *
「俺だ」
団長室の扉の前に立った俺は、そう告げた。
「入っていいぞ」
部屋の中から声が入室を許可する声が聞こえた。
その声に従い、扉を開ける。
「よく来た」
デスクに座るギルダが口元に笑みを浮かべる。
俺はデスクの正面に置かれた椅子に座る。
その膝の上にコユキが座った。そんなコユキを見てギルダは目を見張る。
「その子、闘技大会の時」
「そうか、ギルダはコユキと戦ってたな」
正確には時間稼ぎ、と言ったほうが正しいか。
ギルダの攻撃をコユキが淡々と避ける作業、戦闘と呼ぶには少し違う。
「全く歯がたたなかった。間違いなく、今まで戦った相手の中で一番強かった」
まあ無理もない。神と人間では決定的な差がある。
「まあな!妾は最強だからのう!」
コユキは腕を組み、胸を張った。
「ははは。じゃあ、本題に入ろう」
ギルダは軽く受け流した。大人の対応だ。
コユキの強さは確かに他を寄せつけないものがあるが、その内面は子供も子供。それが今の短いやり取りに表れている。まあ分かりきっていたことだが。
「死霊術師の居場所は王都である可能性が高い」
ギルダはそう断言する。
「何故だ?他の都市である可能性もあるだろう」
「まあ聞け。偽物の護衛には死んだはずのディールが居たな?」
「そうだな」
「我々がディールの死体を回収したのは闘技大会の二週間ほど前の事。ここから最も近い神都を拠点にしていたとしても二週間の間にディールの死体を運搬、死霊術による傀儡化、再度運搬をするとしたら時間的な問題が発生する」
確かに、ここから神都までは馬車で一週間。往復で二週間。死体の横流しにかかる時間がどれくらいのものか分からないが、短期間で終わるとは思えない。
それに
「それに君の話によると王都周辺で死んだはずの両親を見た、そうだな?」
俺の考えと寸分違わない言葉を、ギルダは口にした。
そう、そのことからも王都に居る可能性が高いと言える。
「そのことから、我々騎士団はまず王都内部を重点的に調べ回る事にした。その他、遠方にも団員を向かわせ調査を進める」
「そのことに異論はない。で、俺はどうしたらいい?」
ここまでの話に不満は無い。むしろ最善の手だ。
だが、話を聞く限り俺の力は必要ないように思える。クレシオの時と言い、俺の必要性が皆無に等しいな。
「君にしか出来ないことがある」
「それは?」
「他の大都市への潜入だ」
その言葉に俺は首を傾げた。
コユキは舟を漕いでいる。
「王都騎士団はその名の通り王都の抱える組織。そんな我々が大勢を率いて他の大都市に向かうとどうなる?」
心証は良くないだろう。
他国に軍隊を引き連れて行くようなものだ。それが原因で大都市間で諍いが起こり、争いに発展する可能性も考えられる。
「なるほどな、分かった。協力しよう」
「一応、騎士団からも一人助っ人を用意しよう。それとどの都市に行くか、いつ行くかなどは指示を待ってもらいたい」
「それまでは王都にいればいいか?」
「そうしてくれ。情報伝達は迅速に行いたい」
騎士団が王都内部を調べると言うのなら、俺は周辺を調べてみるか。郊外に拠点を構えている、というのも考えられる。
「ともかく、これからの方針はこんなところだ」
「分かった。他に言うべきことは?」
「特に無い。今日伝えるべきことはこれだけだ」
その言葉を聞いた俺は席を立ち、コユキを起こす。
「んむぅ・・・終わったのか?」
「ああ、もうしばらく王都に滞在だ」
「そうか。仕方ないのう」
眠そうに受け答えするコユキ。
俺たちは扉の方へ向かい、ギルダに別れを告げた。
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拙い作品ですが、今後ともよろしくお願いします




